のっくだうん99のアレ

いい加減書評その2:『走れメロス』

2015/04/12 00:20 投稿

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第二回は定番のアレ。

■子供が読むにはまだ早い

クソ短い上に単純な話に見えるので、小学校なり中学校なりで教材として扱われますが、
残念ながら未熟な頭では「いい人と悪い人が出てきて、悪い人が改心する話」としか
受け取れません。

その小学生が後年『人間失格』あたりを読んだ際、『走れメロス』に関して
「太宰治らしからぬ明るい話だ!」「『走れメロス』は異色!」と漠然と
感じてしまうのが、この短編の不幸なところだと思います。


■太宰治はタチの悪いインテリであると知れ

ざっくり言うとですね、太宰治って物凄く嫌なやつです。
自信家で捻くれていて、謙遜しつつ内心では相手を思い切り見下すような人間なんです。
で、これが良いほうに出ると『カチカチ山』なり、『女生徒』なりといった、なにかこう、
皮肉とウィットに富んだおもしろ作品へと結実するのですね。


■太宰はメロスを見下している

まぁ太宰がそういう人間だとわかった上で、『走れメロス』を読み返してみましょう。
これ誰もが知ってる冒頭なんですけど、
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
太宰は何を考えながらメロスを描いていると思いますか?
答えは「救えないバカだと思っている」です。
太宰がこのテの、ある種プロレタリアート的な愚かしさを見下していないわけがない。


■アンバランスな感情の表出

ただ、これ最後にメロスが王様を改心させちゃってる、要するに成功してるってのもミソで、
太宰がここで何を言いたいかっていうとですね、
「このテのバカほど成功する。俺みたいな頭がいいやつは成功しないんだ!」
とかって考えてるに違いないんですよ。

この辺の太宰の心中は非常に複雑だと私は思っていて、何故かと言いますと
この小説、ラストに至るまで描写自体は凄く綺麗なんですよね。

要するに太宰治自身メロスのような人間とか、社会そのものを否定しているわけじゃない
んです。むしろ多少の憧れを抱きつつ描いているような節があって、
『相容れないので否定しつつも、その一方で憧れ妬んでいる』
みたいな、非常に人間的…と言うか子供っぽい感傷が見て取れるんですよね。

『走れメロス』の面白さってそういった太宰治自身の持つアンバランスさみたいなのが
ストレートに出ているところが面白い短編だと思うのですけど、これを読む小学生には
おそらく理解できないのです。その辺が悲しいなぁと。

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