映画の歩き方

『君の名は。』鑑賞後に推奨する作品と考察(1)『はるのあしおとOP』の類似性など

2016/08/29 16:43 投稿

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滅多に使わない汚い言葉で気持ちを表現すると、映画『君の名は。』は クソ素晴らしかった『シン・ゴジラ』に続き、ちょっと整理しておこう。

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド

■今回の言いたいこと
A.新海監督が監督になる前の作品『はるのあしおと』OP と構成が凄くシンクロしていて楽しい。!つまり、作家性はかなり変わらず
B.監督が進化したのは、長編のテンポを身につけたこと

ここでは、自分の思考を整理するために、鑑賞後に推奨する作品を整理した。
まず、過去の新海作品から3つを取り上げる(うち、2つは定番ですが)。
次回で、新海作品以外を取り上げる。

ゲーム『はるのあしおと』 オープニング との類似性
◇そもそもの作家性というか、扱う題材は、映画監督になる前から変わっていない
ここで挙げるのはゲーム『はるのあしおと』のオープニング。いわゆる、エロゲー。新海監督が映画を作る前に手掛けていた仕事の一つ。

はるのあしおと おりじなるそんぐあるばむ はるのうた


笑っちゃうくらい『君の名は。』と似ているので、『君の名は。』を思い出しながら見るととても楽しい。



ひとまず、筆者は15個ほど共通点を書き出してみた。

1. 朝。目覚ましとともに起きる場面
2. 次に、鏡を確認する図
3. 田舎の橋の上を歩いて通学する図
4. 自然の中にある学校の図
5. ビル群を歩く青年。田舎を歩く少女。この2分割の比較の図
6. 行き交う電車の図
7. 歌詞「空の色が輝いている」
8. 青年が電車に揺られて田舎まで旅する図
9. 少女が教室の窓際の席にいる図

10. 歌詞「ノートの隅に書いた(小指の)気持ち」//隅ではないですがノートでやりとりした
11.歌詞「めぐる季節揺れる心 いくつ重ねるの?」 // 季節の描写は少なかったが、年月はめぐった
12.歌詞「風に乗せる想い綴って」 // いつもよりは、力強い風の描写は控えめだったかな?
13. 雲の上から勢い良く田舎を眺める図
14. 歌詞「夢で見たこと本当にして
15. 最後の歌詞は「止まってた時計の針が いま動き出す」。この場面で青年と少女がすれ違う!!!!

もう、『君の名は。』でこのオープングを作り直せるのではないかと思うほどだ。過去の新海劇場版作品の中でも一番シンクロしている。例えば、
5番の「ビル群を歩く青年。田舎を歩く少女。この2分割の比較の図は、下に載せたアートワークの構成と変わらない。絵柄を忘れれば、『はるのあしおと』オープニングの0:25あたりと差し替えてても違和感ない。

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド


このように、作家性・扱う題材は、映画監督になる前とそう変えてきていないし、むしろ過去劇場版の作品よりもブラさずにしているのである。



■では、何が進化した?定番作『ほしのこえ』『秒速5センチメートル』の系譜で感じること。
◇長編らしいテンポが作れるようになった!
作家性は『はるのあしおとOP』でわかるように、かなり原点に忠実であった。また、『ほしのこえ』と『秒速5センチメートル』同様、今回も「男女の距離感」の映画であった。
では、どこが進化したのかを考えたい。

筆者が言うのもおこがましいが、元来、新海監督は短編になるほど力を発揮する人だ。先述のゲームのオープニングもそうだし、出世作であり一人で作り上げた『ほしのこえ』も短い劇場作品である。

ほしのこえ

成功作『秒速5センチメートル』も「連作短編アニメーション」とBlu-rayのパッケージにあるように、短編を3つ組み合わせた構成だ。その最後の短編が圧倒的だったと筆者は捉えている。

秒速5センチメートル [Blu-ray]

そんな短編が得意な新海監督が、今回、長編のテンポを手に入れた。これが、確実な進化だ。冒頭10分の主人公達の会話だけでも、明らかに長編向けの間だ。伏線の数もバランスもはるかに過去作より上だ。
例えるなら、小品を作ることが上手かった店だったのに、これまで、無理やりコースを作ろうとしていた。今回は、小品を上手く纏めた構成のコースを作れるようになった。その技術が上手くなったんだろうし、厨房のスタッフも何故か分厚くなっている」と筆者は捉えている。

次回
新海監督作品以外の引用?を考察します。

映画『転校生』など
リンクはこちら


P.S.1
この前、『シン・ゴジラ』の引用考察で『太陽を盗んだ男』のロケ地を挙げましたが、今回の『君の名は。』でも、反射的に見つけてしまった・・・。これは、ただの偶然だと確信している。別に、なんでも『太陽を盗んだ男』に結びつけて考えているわけではないのだが。なんにせよ、ロケ地探訪が楽しそうな映画ですね。そこそこ目星つけているけれど、どうしようかな。

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P.S.2
押井守監督作品『アヴァロン』ポーランドロケ地探訪 後編のアップが遅れています。お待たせして、すいません。
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P.S.3
筆者の『君の名は。』評価点数
以前筆者が書いた『100年後の学生に勧める映画2112本』にて、新海誠監督の『秒速5センチメートル』を10点満点中9点にしたのだが、今回はそれ以上の分厚さとテンポがあった。個人的に9点より上の点数は聖域。意地悪く「作家レベルの文脈ならともかく 映画史的新規文脈はない」とかイチャモンつけてバランス調整したい気分だが、とにかく傑作だ。


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■書き手について
KIYASUWALKER(きやす・
うぉおかあ)
映画の旅人。チュニジア・トルコ・ロシア・アメリカ・中国・ウクライナ・・・と世界20カ国くらいの映画ロケ地旅探訪をしている。映画は年に1,000本くらい観るが、最近はペース控えめである。こっそり? モノ書きをしていたりする。





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