━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
木野龍逸の「ニッポン・リークス」
                   2019/9/3(No.66)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【No.66】排気筒でなにが起こってるの?ートラブル多発の原因を考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■排気筒でなにが起こってるの?ートラブル多発の原因を考える

<東京新聞のすっぱ抜き写真から進展した排気筒解体>

少し長めの梅雨が明けたと思ったら、酷暑が続く近年の夏が戻り、気がつけば9月になってしまった。今年もあと4か月しか残っていない! どんどん月日が経つのが早くなっている今日このごろ、みなさまにおかれましてはお元気で過ごしていらっしゃるでしょうか。

ところで欧州も今年は、パリの最高気温が40度を軽く超えるなどとんでもないことになってるようで、もともとエアコンの設置数も少ないからどうなることかと思ったけども、日本のように熱中症でバタバタと人が倒れたりはしてないようだ。

欧州在住者の話では、湿度が低いこともあるけれども、パリのアパルトマンは石造りの家が多く、壁が厚いため、部屋の中に熱気が伝わるまでいかず、扇風機でなんとかなっているらしい。厚い壁は冬の寒さにも威力を発揮する。そういえばドイツは法律で、省エネにするために壁の厚さや窓の構造がきちんと決まっていた。この話を取材したのは10年ほど前のことだ。

日本でも省エネ建築の話が出ることはあるけれど、どうも、安さを求めて反対する業界があるらしく、いつまでたっても薄い壁と薄いガラスと金属サッシが使われ続けているので、夏は暑く、冬は寒い。古い家でも窓を変えるだけでずいぶんと省エネになると思うのだけど、公営住宅はとくに、そういうコストはかけたくないらしい。

窓枠の話だけでなく、いろいろな場面で変わっていないことが多い日本に対して、欧米もアジアもこの20年で急激に変化した。それと比較すると日本は、失われた20年というか、後退した20年なんじゃないかと思うことが多いんだけども、みなさんはどう思いますか。

そんなわけで、初期コストをかけずに作業をしようとしたらトラブルが続発して、見ている人たちを不安にさせている福島第一原発の排気筒解体工事について、現状を見ていきたい。

排気筒解体作業は、ご存知のようにトラブル続き。ようやく9月1日にてっぺんから2m、重さ4トンの頭頂部の切断が終わったけども、この作業は当初、2日で終わるはずだった。それが1か月かかったのだから、まさに「ようやく」だった。

排気筒解体作業は、作業開始前からクレーンの高さを間違えるという素人のようなミスが出たのをはじめ、実際に作業を始めてみればトラブル続きで、2日で完了する作業が1か月以上もかかり、その間には心底、なんでこんな素人作業になるんだ〜、と、泣きたくなるようなことも起きた。

東電に、トラブルの原因をきちんと確認しようとする姿勢が見えないこともあり、今後も計画通りに作業が進む期待はほとんどできないので、今はもう、無事の作業完了を祈るだけになっている。