今日もキノコ日和

その4:夏キノコタイフーン

2015/08/05 23:03 投稿

コメント:15

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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添ってもらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。

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久々に中国地方を直撃した台風11号から数日。
台風一過とはよく言ったもので、からりと晴れた青空が広がりました。折しも梅雨の終わりと重なって、梅雨明け十日の熱気が夏の到来をこれでもかと伝えてきます。
ようするにめちゃくちゃ暑いです。このうだるような暑さには身体も頭も参ってしまいます。

なのでキノコ狩りに来ました。

やってきたのは行きつけの自然公園。台風の影響はどんなものか、観察ついでに見ていきましょう。真夏の時期はキノコも少なくなりますが、山林などの日影を探せば結構残っていたりします。夏休みの自由研究に困ったら探してみるのもいいんじゃないでしょうか。

まずお出迎えはズキンタケ。
透明感のある色合いにグミ状の弾力ある肉質が特徴です。
ムニムニと触るのが楽しい奴です。




お次はニオイコベニタケですね。
赤色のベニタケ科は判別が面倒くさいのですが、こいつはわかりやすい方です。傘表面が粉っぽくなっているのと、柄 が薄く紅色を帯びている点がポイント。何より最大の特徴はカブトムシのような独特な臭いがすることです。今の時期ならホームセンターなどで売っているでしょうから、興味のある人は売り場に嗅いで確かめてみましょう。



「うおー、こりゃすげえな」


台風の影響で10mほどのアカマツが倒れていました。根元が崩れて風に耐えきれなかったのでしょう。マツのまわりはキノコの生えやすい環境なので悲しい限りです。


ちょいと古いイグチ科キノコ。幼菌はカビにやられています。管孔の穴はナメクジの食べた跡かな。傷ついた管孔が褐色に変色しているのがわかりますね。チャニガイグチでしょう。






この前も見たクロハツ……、にしてはなんか違うな。
そもそもここいつもクロハツが生えるポイントじゃないし。ヒダは乳白色を帯びているし、クロハツに比べても変色が遅い。ニセクロハツの方かな。



死亡例もある猛毒キノコ。やったぜ!
ちなみに齧ってみたところ味は普通のキノコ味でした。


乗りました。


おー……お? 何だお前。
初めはアカヤマタケの黒変したものかと思ったのですが、それにしては様子がおかしい。赤味が全くないのです。黒変したアカヤマタケも地は赤橙色ですから、完全に真っ黒にならない限りはその色を残しています。



白色のヒダを軽くこすると赤変した後に黒変。
んー、わからないですね。知らない子です。



以前クルミタケを見つけたポイントの近くです。
折れた枝やら葉っぱやらが散乱してこの有様。やっぱ台風すげーなぁと思いました。


クルミタケ。
前回見つけたものはぶった切ってしまったので、貴重な一個だったらどうしようと思っていましたが他にも出ていたので一安心。

でもこれカビちゃってますね。
まあ繁殖できていると信じてまた来年探してみることにします。

アシボソニガイグチ。



キイロアセタケとかその辺。

以前紹介したキノコたちですね。オッスオッスと挨拶をして流していきましょう。
同じ場所に通っていると顔なじみも増えてきます。これもまた楽しみの一つです。




ありゃりゃ、通行止めです。やはり道が崩れた個所があったようですね。いつもはここを進んで一周する流れなんですが、仕方ありません。これもいい機会なので、普段は歩かない方へ足を向けてみることにしましょう。



……。
……ハチの巣か。ざっくりしてるなぁ。ハチって何ハチなんだろう。スズメだったら流石に怖いけど、アシナガとかならまだそんなに……。いや、そもそもこの注意書きはここにあったものなのか? 思いっきり地面に落ちているので、余所にあったのが飛ばされてきた可能性も否めない。ただその場に落ちただけならこの近くに巣があるということになるのでしょうが、うーむ。

考えるのも面倒なので帰ることにしました。進んで刺される趣味はありません。
別ルートはまたの機会に歩くことにしましょう。

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それからまた数日後。
今度は県北の山へ足を運びました。最近虫草に興味が湧いてきており、少し前に専門家の方から直接レクチャーを受ける機会があったので復習がてら実践に赴いた次第です。

虫草で大事なのはとにかく湿度。普通のキノコが嫌うような沢周りを歩くため、長靴装備で山へ入ります。山の空気はムシムシと湿気をはらみ、まとわりつくように降りかかります。

というか、雨が降っています。



「おのれ……、夕方までは50%じゃなかったのか……」

この山、予報で雪と言えば晴れ間がのぞき、晴れと言えば雨が降るというへそ曲がりな地域にあるので逆に大丈夫かと思ったのですが、そもそも根本的な考え違いをしていました。
そう言えば私は雨男だったのです。

雨の程度は服が濡れるほどもないごく些細なもの。シトシトとした絹より細い雨糸が視界をくすぐります。
とはいえ雨の中の登山はなかなか危険な行為です。道は滑るし、沢は増水するし、場所によっては土砂崩れの危険もありえます。キノコ探しに関しても、暗さが増せば探しにくい上、写真も撮りづらい。虫草のような小型菌はまず無理でしょう。ここは判断のしどころです。

まあ、登るんですけど。


ここはもう今年だけで10回近く登っている山で、道中でにわか雨に捕まったこともあります。初見ならまだしも、危険な個所は把握しているので近づかなければ問題ありません。雨自体も小雨が降ったり止んだりするくらいなので、歩いていれば案外晴れるんじゃないかという期待も乗せて、一歩一歩と山へ足を進めました。


最初の竹林で見つけた何かの卵。

ぶよぶよとしたゼラチン質に包まれた幼菌です。
おそらくスッポンタケ系のキノコじゃないでしょうか。ここはキヌガサタケの発見報告もあるので、もしかしたらそれかもしれません。ただ周りを見てもあるのはこの一つだけでした。さすがに割ってしまうのも忍びなく、そのままにしておきました。

こういうときにキノコを思って自重できる大人が私なのです。


びっしり生えたツノマタタケ。
こういう小型菌が群生している様子はぞわぞわしてきて好きです。図鑑で見るともっと橙色が鮮やかなのですが、割と色あせたものも見かけます。私が別種を混同しているだけかもしれません。



ヤマイグチの仲間。
この属は柄に特徴的な細かい鱗片をつけるので割とわかりやすいです。
ない奴もいますけど。

管孔は白色で擦ると淡い褐色に変色。


別のところで見た個体。
傘表面の凸凹が気になりますね。スミゾメヤマイグチあたりかと思ってたんですけど、スミゾメは管孔に変色性ないらしいです。謎。


キツネタケとナガエノチャワンタケ。










そこらで見るので軽く流していきましょう。オッスオッス。


ドクツルタケ低地型。
有名菌でもまだよくわからない奴です。



サンコタケ。
もうグレバも流れてへたってました。この手のは生長が早い分、朽ちるのも早いですね。
臭いも嗅いでみましたが、それほどでした。



「どおおおおおっ!?」

肩にかけたカメラに違和感があり直そうとしたら妙に硬い感触。しかも蠢いている。反射的に手で払うと何やら虫がくっついていました。肩にかける際、紐の間に挟まってたみたいです。


なんだお前は。ビビらせるなよ。


雨は止みません。べたべたとまとわりつく空気がうっとおしくて仕方ないです。



なんかの花。
変な奴なので撮りました。何かは知りません。ギンリョウソウとかの仲間?

※追記:ナンバンギセルという花だそうです。言われてみればキセルっぽい。


今年も出てましたね、ヤグラタケです。
この登山道はクロハツが大量にでるポイントがあり、ヤグラタケもよく確認できます。



しばらく歩いていくと難所の一つの急こう配にたどり着きました。
ここは傾斜が高いだけじゃなく黒土の露出した部分が多く、水気を含むとやたらと滑ります。

「お、おっおっ、おおー?」

体重を預けた足がずるりと滑ると、もう片方の足元もずるずると下がり始めました。咄嗟に両手を広げ、さながら水上を渡るサーファーのように泥の坂を滑り降ります。来た道を2mほど戻ったところで足は止まり、私は転びました。

「結局コケるのかよ!」

他に人がいないので自分に突っ込みつつ、慎重に立ちあがります。まずは落ち着いて被害状況を確認です。倒れる際に両手をついたので特に怪我もなし、捻った個所もありません。
ただ地面についた側の汚れはいかんともしがたいですね。上半身は雨合羽を羽織っていましたが、下半身はズボンのままです。雨脚が弱いからと横着したのがダメでした。
リュックは雨よけカバーをかけていたのでこれまた平気でしたが、肩から提げていたカメラケースが泥だらけ。中身は無事なようなのは一安心でしたが、これって丸洗いできるのかな?

とりあえず両手についた泥を落とそうとリュックに挿した水を引っこ抜きました。普段山に入るときはスポーツドリンクと水の二本を携帯するようにしています。片方を水にするのは怪我をした時などで洗浄に使えるからです。こういうとき手を洗うのにも使えますね。

あまり使いすぎるわけにもいかないので軽く手の平にこぼすと、予想に反して何やらぬるりとした感触。あれ、これって……。
いろ○す「アロエ味」
甘味があって、美味しいね。ちくしょうが。

やけくそ気味にアロエ味で喉を潤し、滑り落ちた先を仰ぎ見ました。物言わぬ山道はこちらを高く見降ろし、どこか無力さをあざけるようにさえ思えました。しかしこの程度でひるむ私ではありません。行く先をキッと睨みつけ、己を鼓舞するためにも声を上げました。

「舐めるなよ。泥汚れは男の子の勲章なんじゃい!」

今年で三十路を向かえた男の叫びが山の中に消えていきました。

さて、いくら吠えたところで山には登れません。
行軍の続きです。こういう滑りやすい泥道は雪道の歩き方と似ています。まず歩幅は小さく、毎回踏みしめるようにするのがポイント。重心が高いとバランスを崩しやすいので中腰になって、杖なども短く使い突き立てるようにして固定しましょう。抵抗を増やすために足はやや内また気味に、場所によっては完全に横歩きで登るのも手です。道の脇に草が生えているようならば、脱線しない程度に寄るのもいいでしょう。草の根が土を捕まえて安定します。


難所を越えて山道を進んでいると誰かが踏み崩したような跡を見つけました。その中に何やら目に引っかかるものがあります。こういう違和感はキノコ探しに大切です。

↑の画像に二つ写ってます。

拾い上げて見ると、やはりでした。泥にまみれていますが表面を覆うイボ状突起が特徴的、ツチダンゴというキノコです。何やら今年は地下生菌と縁がある気がします。

実物は初めて見ましたが、思ったより小さいことに驚きです。

ツチダンゴは菌寄生菌のタンポタケやハナヤスリタケの宿主として有名なキノコで、これらの発生から本種が見つかることが多いようです。ちなみに期待を込めて周りを探しましたが、寄生菌は生えていませんでした。


いくつかあったので一つ割ってみましたが、中身は黒い粉塊状でした。


帰り道でも見つけたヤグラタケ。
行きは見落としたキノコが帰りで見つかることもよくあります。視点が変わったからか、余裕が出てきたからでしょうか。



傘表面に厚膜胞子が作られています。


こっちはまた別の個体。子実体が生長してヒダも作られています。




ヤグラタケは担子菌類の中では珍しく有性世代と無性世代を持つキノコです。
傘表面にできるきな粉のような胞子は無性世代のクローン的なものです。ヒダの方で有性的な胞子を作ることもあるのですが、日本で見つかるのはほとんどが無性世代なのだそうです。ちなみに有性世代と無性世代でそれぞれ別の学名が与えられています。


イボタケの仲間かな。これも行きしは見落としていました。



イボタケの仲間は臭いに特徴があるものもいますが、これは普通にキノコ臭いだけでした。


表。                   裏。



ユリ。
※追記:ユリじゃなくてオオキツネノカミソリあたりだそうです。食べちゃダメです。


麓の方まで降りてきて見つけました。こんな目立つものを何故気付かなかったのか。



サマツモドキですね。
以前見つけた個体よりもずいぶんと大きいですが、ときには20cmを越えることもあるのだとか。しかし、図鑑で見る限り柄は上下同大か根元がやや細まるらしいのですが、こいつはシメジのようなこん棒状ですね。まあ面倒くさいので個体差の内ということにしましょう。


その後、軽く沢の水で泥を落とし家路につきました。帰りついてからリュックやカメラケースを丸洗い。衣服はそのまま洗濯機に入れることもできないので、手洗いで綺麗にしました。

男の子の勲章って落ちにくいものですね。


コメント

take
No.14 (2015/08/07 00:27)
>>9
縁起の悪い名前ばかりついていたから,本格的に食べる人が少なくて毒抜きの仕方が確立しなかったのでしょうかね。
にしても,水にさらしたり,発酵させたりで毒が抜けるなんて,よく気づくものですよね。
ガガンボ (著者)
No.15 (2015/08/07 11:02)
>>12さん
傘表面の毛羽立ちからクロゲヤマタケかな、とも思ったのですがどうにもしっくりきません。
謎です。
森屋@すみぞめ
No.16 (2015/09/07 07:09)
すんません、思いっきりブログ更新見逃してました!!てか、ナンバンギセルじゃないですか!なかなかのレアものです。昔、ススキの草原に潜ってよく探しましたよ。「思ひ草」なんて詩的な古名もある、意外と昔から知られた草花です。ズキンタケ、いまだ憧れのキノコです。
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