今日もキノコ日和

その67:夏虫草カーニバル(2日目)

2017/08/31 02:29 投稿

コメント:5

  • タグ:
  • ガガンボ(東方手描き作者)
  • キノコ
  • 冬虫夏草
  • 虫草祭
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添って
もらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
虫草祭二日目の朝です。一日目の余韻と眠気を噛みしめながらの4時起床。もともと虫草祭でのスケジュールとは別に朝食前に有志で探しに行こうという話になっていました。お誘いいただいたるねこさんやAさん達と合流し、近くの山の中へ向かいます。この辺りの土地勘は全くないので先行する人たちに黙々とついていきました。


 途中それなりによさげなポイントもあって、他のメンバーはフトクビハエヤドリタケとかコツブイモムシハリタケなどを見つけていきます。対して私は何も発見できず、口数少なく地面を這い回っていました。何か見つけたと思ったら別の人がキープしてたやつだったり、ただのゴミだったり。
 そろそろ時間的に厳しくなった頃合いでようやく見つけたのはハリタケ型の何か。おそらく先述のコツブイモムシハリタケあたりだろうと思います。自力発見は初なので、意気揚々と採取に取り掛かり、慎重に落ち葉をどけようとしたところで

「時間なので戻りますよー」

 ヤブの外から聞こえた声に反射で振り返り、慌てて手元に目を戻すとギロチンした虫草の姿が……。虫草探す時は時間に余裕を持っていきましょう。

 早起き以外の疲労感を抱えつつ宿舎に戻り朝食を摂りました。これからの活動に向けてしっかりエネルギーを補給しておきましょう。これで朝一の調査で収穫でもあればもっとおいしく食べられたのでしょうけど。へへ、この焼き鮭やけにしょっぱいな……。

 ご飯を食べたら集合写真を撮っていざ調査地へ。現地は登山や渓流釣りでも人気の場所で駐車場もあるそうですが、こちらは50人を超える大所帯。参加者の車に乗り合わせて舗装されてない山道を進みます。山中で一般の登山客の方と話をしたところ、いったい何事かと思われたそうです。


 案内をする方の話では川を渡って山道を奥に行ったところが一番のポイントなのだそうです。そうと聞いたら行かなくてはなりません。山道の手前や駐車場周りも一応ポイントだというお話でしたが、ためらうことなく奥へ向かう道を選びました。

 山道へ入るための吊り橋。足場は狭いし土台もぐらぐら揺れるので一人ずつ渡るようにとのこと。吊り橋効果は期待できそうにありませんね。みんな慎重にわたっていくため、橋の前では渋滞が起き、辛抱溜まらず下の川を歩いて渡る人もいました。みんな長靴が水没したり、靴を脱いで渡ったりしてましたがガンガン突き進んでいきます。私はこういう橋を渡るのが結構好きなので大人しく列に並んで待ってました。



 吊り橋の待機列で出遅れつつも山道に入ると見事なブナ林が広がっていました。こういう環境だとやはり倒木から生える朽木生型が狙い目ですね。最近地面から出る地生型にはやや食傷気味だったので、これ幸いと朽木を探してまわりました。ところが探せど探せどこれぞ、という朽木が見当たりません。よくよく見れば生えているブナもまだ細いものが多いように思えました。後で聞いた話では私が探していた辺りはかつて薪炭林として使われていた場所なのだそうで、林としてはまだ新しいところだったようです。道理で見つからないわけだ。ようやっとあったいい感じの朽木も既に先行していた人たちが観察を始めていて、ムラサキクビオレタケなどを見つけていました。倒木を求めて私はさらに山の奥へと足を進めました。



 

 途中で見つけたアワフキムシタケ。名前の通りアワフキムシから生える虫草でぱっと見はハチタケやマルミアリタケによく似ています。わかる人に言わせれば微妙に違うそうなんですが私は正直よくわからないので宿主を掘って判断しています。

 宿主の好みか虫草の好みかは知りませんが冷涼な環境が好きなようです。岡山でも見つかるのは県北ばかりで、県南で見つけたことはありません。ただ生えるところにはかなりの数がまとまって生える習性があり、慣れてくると飽きるほどに見つかります。



 朽木から出ていたサビイロクビオレタケ。こいつは他の朽木生型が生えるにはまだ硬い倒木でも生えていることがあります。そういうのは倒木の表皮のすぐ下側にいることが多いので採取も比較的楽な相手です。



 サビイロクビオレの採取を終えて、立ち上がろうとしたところで見覚えのある白い影を見つけました。拾ってみれば案の定ウスキヒメヤドリバエタケです。こいつは前の記事でも紹介している通り、岡山で既に見ている種で、この夏だけで発生地を3か所見つけていました。なのでここでもまたお前かってなもんでとりあえず回収しておしまい。

 ちなみ今回の現場では初見の虫草を見つけることができず、時間を惜しんで探し回っていたので採取後の写真しか残してません。この後に出てくるキノコの写真は諦めて帰ってる途中に撮影したものです。



 やったぜ! キイロスッポンタケだ! と喜んだのもつかの間、隣にいたAさんから「ヒメスッポンタケじゃない?」と指摘されました。帰って調べなおしたところキイロスッポンタケは柄の色がもっと白色の強い淡い色合いをしているようです。まあヒメスッポンもいいキノコですよ。臭いし。



 なんかのちょうちょ。



 クチキトサカタケ。ブナ材から生える日本特産のキノコです。なかなかいいキノコなので近くにいた参加者の方に「クチキトサカタケですね」と言おうとしたところ、頭の中が虫草モードになっていたせいか、「ミドリトサカタケですね」と言ってしまったらしく、しばらくかみ合わない問答を続けてしまいました。



 よくわからないチャワンタケ。よくわかりません。




 ヒメベニテングタケ。こちらもブナ林特有のキノコ。ちょうど傘を開いている綺麗な個体がなかったので幼菌だけです。岡山県の山でも北の方へ行けば見つかるのでベニテングタケに比べたら低めのところに生えるキノコのようです。
 

 せっかく山形まで来たのだから何かこちらでしか見られないキノコでもないかと期待していましたが、まだ本格的なキノコシーズン前ということもあり、出会ったのは上記くらいのものでした。虫草に関しても先述のもの以外だとハチタケやカメムシタケといった過去に見たことのある普通種ばかり。こりゃ今回は外れだったかな、と思いながら山道を戻り、集合場所に戻った私に信じられない言葉が飛び込んできました。

「アリヤドリタンポが出たんだって」

 まさか! いったいどこで!? 問いただす私に帰ってきたのは無情な答えでした。
「駐車場のすぐそばの沢沿いで見つかったらしいよ」
 うそーん……。私は何のために……。



 そしてこちらが発見者の許可をもらって撮影したアリヤドリタンポタケ。歴戦の虫草屋も思わず唸るほどのレア虫草! そもそもの発生数が少ない上に見た目も地味でめったなことでは見つからない相手です。この日、本種を見つけたのはお一人だけでなんと今回が虫草祭初参加なのだとか。いまいちアリヤドリタンポの凄さにもピンと来ていないらしく、やはり純真無垢な心が必要なのだなと改めて思いました。

 フィールドワークを終えて宿舎に戻ってからは昼食をとりながら各々同定作業に入ります。この時配られた用紙に自分が見つけた虫草の名前を書き、調査全体の記録を残します。また珍しい虫草を見つけた人には『珍菌賞』といって理事会から商品が貰えたりもします。

 まあ今回はアリヤドリタンポで決まりだろうとちょっとトイレに抜けたすきに珍菌賞の発表が始まっていました。ちょうど三位の発表をしているところで部屋に戻ると、何と私の名前が呼ばれているじゃないですか。

 え? なんで? と思っているとウスキヒメヤドリバエタケが入賞していたようです。この夏に何度も見ることがあったのでそんな珍しくもないものだと思っていたのですが、聞いた話だとそこそこ珍しいやつだったみたいです。知らなかった、お前珍しかったのか。ぞんざいに扱ってごめんな。



 ちなみに前日からお世話になっているるねこさんも同率三位でした。写真はるねこさん発見のヨコバイタケ。そういえば気生型は全然探さなかったな。これどこに生えてたんですか、と聞いたところ、「駐車場の近く」とのことでした。……やっぱりか。

 ともかく、虫草祭に参加し始めて3年目、初の珍菌賞受賞です。新規発見ができなかったのは残念ですが、十分な成果と言えるでしょう。どうですか、錦田さん。これが虫草屋歴3年の実力という奴です。なあに錦田さんは今回が初参加ですから、まずは経験を積んで、

錦田さんは2位でした。



 こちらが錦田さんの見つけたアリヤドリツブタケ。アリから生える虫草でハリタケ型になるという何とも珍しいやつです。奇しくも初参加の方が見つけたアリヤドリが1・2フィニッシュという結果になりました。というかこんなのいるんですね。全然知りませんでした。もっと経験を積んで出直してきます。

私「ところで、これってどこら辺で見つけたんですか?」
錦「ああ、これは駐車場の近くで」




 でしょうね。

コメント

るねこ
No.3 (2017/08/31 20:55)
虫草祭、お疲れ様でした、お世話になりました。
虫草屋まみれの二日間はすぐに終わってしまいますが、楽しすぎですね。
駐車場付近を探索したのは吊り橋が嫌なのと人が少ないからでしたが、結果オーライでした。
ウスキヒメヤドリバエタケはかなりの珍種でしょう。
茨城県の坪についてですが、余裕ができましたら、どろんこさん経由でご連絡ください。お待ちしています。
錦田
No.4 (2017/09/01 07:48)
アリヤドリツブタケは原色冬虫夏草図鑑に載っています。
講演もしていたYさん曰く、アリヤドリタンポタケへの重複寄生菌ではとか。
確かに宿主となるアリが似ています。(ケアリ?)
子嚢胞子はツブノセミタケやクチキムシツブタケと同様でした。

初の虫草祭、大変楽しかったです。申し込みの際はご心配おかけしましたが、無事参加できて良かったです。
次にお会いするのは来年以降かもしれませんが、またよろしくお願いします。
青fungi
No.5 (2017/09/10 12:44)
かこつです。
 やっぱその道の極まった人が集まるとこいくと勉強になりますよね。
 クチキトサカ…そういえば見たことないなぁ。時期にブナ帯にいかないからだろうけど。
 こちらは富士山でゆったり採集してました。アカネアミアシないかなぁ、とかいいながら。
 艦コレのイベ終わったら、気になってるとこ確かめに行くので、良さそうだったら声かけますね。
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事