今日もキノコ日和

その60:梅雨八丈島アイランド(2日目-前編)

2017/07/21 21:42 投稿

コメント:3

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  • ガガンボ(東方手描き作者)
  • 八丈島
  • ヤブニッケイモチ病菌

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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添って
もらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。

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 ネットカフェで一夜を過ごした翌朝。私たちは最寄駅で再集合しました。アパホテルに泊まったというosoさんに「例の本あった?」と尋ねたら「あった」と言っていました。私はそれを聞いて「へー本当にあるんだ」と思いました。正直寝起きでよく頭回ってません。
 それから再度羽田へ向かいました。出発前にも天気は確認しており、今日は問題なく出発できそうです。というかこの日も飛べなかったらさすがに帰ります。

 羽田空港で木下さんとも合流。これで今回の観察メンバー四人が勢ぞろいしました。挨拶もそこそこに昼食もかねてちょっと遅めの朝ごはんです。私が「ハンバーガー食べたい! ハンバーガー食べたい!」と駄々をこねたのでハンバーガーに決まりましたが、お店がいっぱいで待ち時間がけっこうかかりそうなので別の店にしました。せっかく駄々こねたのに。

 食事も終わればいよいよ搭乗です。去年も驚きましたが最近は搭乗手続きも簡単になっているのですね。荷物を預けるのも自動ですし(私は受付でやりましたけど)、その後もバーコードを読み取らせていけばすいすいってなもんです。金属探知機にやたら引っかかって立ち往生したりもしましたが(ベルトでした)、問題なく飛行機に乗れました。
 座席は2席2席でとっていて私の隣は木下さんでした。エンジンの轟音と共に加速して一瞬の浮遊感とともに地面を飛び立ちました。離陸の瞬間、木下さんが妙に神妙な顔をしていたような気がします。それから八丈島まで一時間弱といったところですが、私は窓側の席でもないので早々に寝付いて気づいた時には着陸の寸前でした。八丈島近いな。



 思い出したように撮影した八丈島空港。

 外に出ると梅雨特有の湿った空気がお出迎え。空には灰色の雲も広がり、今日来れたのも結構ギリギリだったんじゃないかとうすら寒い思いをしました。レンタカーは去年借りたところと同じお店に頼みました。osoさんは前回乗った赤い車をやたら気に入っていたようですが、私は冷房が効いて坂道を登れば何でもいいです。運転するの私じゃないし。
※前回借りた車は冷房効かないし坂道登らない奴でした。

 運転はosoさんで助手席には私、木下さんとアメさんは後部座席の並びです。私は一応一回来たことがあるというのでナビ役ということなのでしょう。しかし認識が甘かったな。私は地図を見るときくるくる回すタイプの人間なのだ! 結局オプションで付けたナビは検索がまるで役に立たず、私の記憶もおぼろげなので木下さんがスマホで誘導して宿に向かいました。


アメ「西表に比べたらお店も充実して都会ですね」
私「西表もいつか行ってみたいねぇ」
アメ「いいとこですよ。夜に川行ったらテナガエビがうじゃうじゃいました。向こうのはコンジンテナガエビっていって余裕で20cmくらいになるんですよ」
木下「それもうエビじゃん!」
oso「エビですよ」

 エビです。でも言いたいことはわかります。

 宿についてからはとりあえず予約していた木下さんが受付を行い、その間私たちは外で遊んでいました。ふと見るとアメさんが宿のすぐそばの植え込みを覗き込んで何かはしゃいでいるので何やってんだと近づいてみると、



 うおおお! かっこいい!
 実に凶悪な外見をしたこいつはサソリモドキという虫の仲間でアマミサソリモドキだそうです。サークル仲間に虫屋の仲間がいるため本人も虫知識があるアメさんが色々教えてくれました。名前の通りサソリのような外見をしていますが、分類的にはクモに近い仲間なんだとか。本土では鹿児島とかに行かないとみられませんが南方の離島ではけっこう普通に見られるらしいです。前回来たときは全然見なかったし、そもそも探しもしませんでした。

アメ「しっぽの先から酢酸を出すんですよ」
oso「あ、ほんとだ! 臭い!」




私「こんなサイズなんです?」
アメ「いやもっと大きくなりますよ。こっちに死体ですけど大きいやついましたし」
私「は~、こんくらいになるのか」
アメ「僕が飼ってるのもこれくらいですね」

 今さらっと変な事言わなかった?

 どうやら聞き間違いじゃなかったらしく、その後飼育用に大きいのがいたら捕まえたいというアメさんがしばらく周りを探していました。そこに木下さんが戻ってきて手続きが終わったので荷物を移すことに。ほれ、アメさん行くぞ。





oso「おー! すごい!」
私「やっぱこうでなくっちゃねぇ……」

 今回選んだのは『ロッジオーシャン』という宿。値段もかなり安い部類でしたし、何より魅力的だったのが築2年という新しさ! 前回は安さにつられたどろんこさんがイモリと虫まみれの宿を選んでくれたので、今回は慎重に選び抜いた結果です。この後色々案内していただく現地の方からも「いい選択だ」と褒めていただきました。
※昨年どろんこさんが選んだ宿は「あそこか……」と苦笑いしてました。

 画像には映っていませんが小型の冷蔵庫とエアコン、薄型テレビも完備で電波もばっちり届きます。和室にしたのは私が足伸ばして寝たいからです。広さも十分でこれに朝食もついてくるってんだから至れり尽くせりですね。もう腰を落ち着けて一休みしたい気分。

 しかしそうのんびりもしていられません。既にもともとの予定は一日過ぎてしまっているわけですから、ここから先は速さが勝負。必要な荷物を持って早速出かけることにしました。
 宿の駐車場で合流したのは昨年もお世話になった大場さんしょうどんさん。大場さんは光るキノコを専門にされている方で、キノコ界隈ではかなりの有名人。しょうどんさんは八丈島の風景をドローンで撮影してニコニコやyoutubeに投稿していらっしゃいます。八丈島は発光菌を観光名所の一つとしており、両人ともガイドの経験がある方たちです。今回もお世話になります。

 心強い助っ人と一緒にまず向かうのはヤブニッケイモチ病菌の発生地。いきなり聞き慣れない単語だと思いますが、モチ病菌とは植物病原菌の一種で担子菌類が植物に感染して引き起こすものです。感染する植物ごとに種が分かれるそうで、多くは葉っぱに感染し名前の通り餅のように膨らんだ姿になってしまいます。今回見に来たのはそれのヤブニッケイ版でこいつは葉っぱではなく幹に感染して奇妙な角のような突起を作り上げます。もともとは世界中でもこの八丈島でしか見ることができないと言われていましたが、最近は小笠原諸島でも見つかってちょっとしたニュースにもなったそうです。私はそんなの全然知らなかったのでosoさんと大場さんの会話をへーって聞いてました。

 もともとヤブニッケイモチ病菌はosoさんがたいそうご執心でして、前回八丈島に行った時も見に行きました。しかしやはり9月では時期的に遅かったのか(osoだけに)、既に残骸が残っているだけの状態でした。そこで今回こそはと梅雨時期を選んでの再挑戦です。




しょうどん「あそこですね。後こっちのほうにも出てますけど」
oso「う~ん、どれも古いですね……」
私「あれはもうだめなの?」
しょうどん「白くなったのはもう古いやつ。新鮮なのは茶色してます」

 これも今年の変な梅雨のせいでしょうか、出ているには出ていますがどれも古い個体ばかりでosoさん的には満足いかない様子。その後少し周りを探しましたが、osoさんは大場さんと何やら話し込んでるし、木下さんとアメさんはしょうどんさんに教わってなんか虫とってきゃっきゃ遊んでるし。ここは私が本気を出さねばならないようですな。

 周囲がノリノリの時は黙ってついていくけど、気もそぞろになってくると俄然張り切りだすのが私です。まだ見ていないやぶの中に顔を突っ込んだり、這いずり込んだりして探し回った結果――。



私「あったよ! 新鮮なヤブニッケイモチ病菌が!」
oso「でかした!」


 古いものと違ってやや淡い褐色で硬いながらもグニグニとした弾力があります。まあでもこれらも出かたとしては大人しいほうみたいですね。激しいものだとサンゴのようにごばっと出てきます。そこら辺は画像検索しといてください。
 写真撮影を交代してosoさんがカメラをセッティングしているのを眺めながら、ふと思いついたことがあるので大場さんに聞いてみました。

私「ヤブニッケイモチ病菌って食べられるんですか?」
大場「いや、食べたという話は聞いたことないですね……」


 というのも前述で述べたとおり、モチ病菌の仲間は樹種によってさまざまな種類がいます。その中でツバキの葉に出るものなどは「つばきもち」なんて呼ばれておやつ代わりに食べられているのだそうです。ならば同じモチ病菌のこいつも食べられるのでは?

私「宿主のヤブニッケイに毒がなければ大丈夫のはずです」
大場「毒はないと思いますけど……」
私「osoさーん。撮影終わったらそれ齧っていいー?」
oso「齧るの!?」


 ということで採取したヤブニッケイモチ病菌です。できるだけ新鮮そうなのを選んできました。とりあえず断面を見てみようというので割ってみたのが上の写真。


 もう一本別のところから採ったやつは少し緑色が差している感じでした。

私「菌糸構造ではないっぽいな」
oso「というかこれ木だよ。木」

 それを確認するために齧るのです。自分一人でいいかと思っていたらなぜかosoさんたちも齧ることになり、果てには案内役のお二人まで巻き込んでの試食会となりました。さてそのお味は!?

全員「渋っ!!!」

 歯ごたえや舌触りは筋張った植物のそれ。つーか木の枝です。そして味はというと一瞬口の中に広がるかすかな甘みと次の瞬間にはそれをかき消す渋み。渋柿に近いように思いました。ただあれよりも苦みやえぐ味の成分も強いようです。それに後味は割とさっぱりしていて、漢方的な不味さというのがしっくりくるところでしょうか。
 ここで気になるのはこれは果たしてモチ病菌の味なのか? それともヤブニッケイ自体の味なのか? というところですね。これまた大場さんたちに確認してからヤブニッケイの枝を一本切り取り、齧りついてみました。生きた植物特有の青臭さとは別に、爽やかな香りが口の中に広がります。味にも特に不快感はなく、燻製のウッドチップとか上手くすれば料理に生かせるんじゃないのってくらいです。

 結論:ヤブニッケイの方がまだ食える。

 私「これで今後ガイドするときに味を聞かれても答えられますね」
大場「そうですね」


 そんな奴がいるかどうかは知りませんけどね。

コメント

ガガンボ (著者)
No.1 (2017/07/21 21:43)
多分いない
K.K
No.2 (2017/07/22 01:01)
カコツです。 ^^) _旦~~
悲報:ここまでキノコの収穫0・・・とはいえそれを感じさせないような密度ですね!
同定のためでなく純粋に味を見に行くとは、ガガンボさんにしては珍しいですね。実用性皆無でしょうけどww
皆さまが自然科学系のフィールドワーカーばりにモリモリと経験値稼ぎ出してるのが伺えました。(^_^)v
続きも楽しみにさせて頂きます。(`・ω・´)ゞ
青fungi
No.3 (2017/07/22 21:13)
かこつです。
 ツツジモチ病菌もメジャーではないですが、いろんなとこで食べられていたみたいですし、トウモロコシ黒穂病はメキシコで感ず目にするほど愛されています。マコモタケは言わずもがな。
 人間って、意外とああいう異常肥大したもの気になるみたいですし、結構うける豆知識なのかも、とか思ったりします。ヤブニッケイモチ病菌の味。
 そういえばこの間の採集会でもこちらのサークルにも同士がいたので、昼食のBGMは、サソリモドキ談義でした。
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