今日もキノコ日和

その29:梅雨虫草モーニング

2016/07/17 03:07 投稿

コメント:4

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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添ってもらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。

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7月の話! やったぞみんな今月のことだ!

 7月第一週の日曜日、私は夜行バスに乗って名古屋にやってきました。先週お流れになってしまったどろんこさん案内の虫草観察会、その振り替えがこの日に決まったのです。残念ながら突発的に決まった(というか中止そのものが前日に発覚した)代替スケジュールなのでいんたーさんは参加できず。

oso「おはようございます。一週間ぶり」
私「なんか地元の友人より顔合わせてる気がする」


 名古屋駅でosoさんに拾ってもらって高速へ。途中のPAで一日に備え朝食をとります。夏の山中は体力が要りますからね。osoさんはすでに食べてきたとのことで一人でうどんをすすりました。途中カーナビが荒ぶったり色々ありましたが、無事目的地へ到着。私が深夜バスで動いたせいで早すぎる時間帯なのでどろんこさんが来るまでキノコでも探そうと思っていたら、

泥「あれ? 何か探されてるんですかー?」

 と白々しく登場してきました。虫草の師匠たるどろんこさんです。この野郎。

 手始めにオサムシタンポタケの標本を見せてもらったり、osoさんが見つけたハマキムシイトハリタケの生個体をどろんこさんに渡したり、手持無沙汰でふらふらしたりしました。ふらふらしてたのは私だけですが。今回向かう場所は公園内で立ち入りも採取も禁止されている区域なのでどろんこさんが申請をあげてちゃんと許可をもらいました。許可が下りた証として一人一枚腕章を渡されます。おー、かっこいい。

私「ジャッジメントですの!」
oso「アニメ見てないんでよく知らないんですよ」
私「俺もです」


 じゃあやるなよ。

 腕章をもらったところで園内を移動開始。ちなみに腕章は邪魔っけだったので腕に付けずリュックにつけときました。ポイント周りはとにかく湿度が高く、次第に上がっていく気温と相まって不快度が青天井です。こういう多湿な環境が虫草に向いているんだとはわかりますが、動き回るには辛いですね。聞けば年中通して湿度80~90%は保ってるんだとか。これに比べると私が見つけた場所なんて乾いてるほうだなぁと実感。もっと探し回らんとダメですね。

 いざ探し始めようとする前にまずどろんこさんが現物を見せてくれました。




 出たぜ! これが今回の目玉にして目標のハヤカワセミタケです。虫草の中でも発見例が少ない珍菌中の珍菌。画像はどろんこさんが断面図を作ったものですが、小型のセミの幼虫(ニイニイとか?)に寄生するセミ生の虫草で、写真のようなVの字型に分岐する子実体が最大の特徴です。ビクトリーム!

 図鑑で見ると何とも雄々しくカッコ良かったハヤカワセミタケですが、こうして実物を見ると……なんというか……。

oso「小さくない?」
私「うん」




 こんくらいの大きさ。私の指先は大体1.5cmなので3cmちょいくらいでしょうか。虫草ではよくあるマクロ写真詐欺です。図鑑に載っているような写真はマクロレンズで拡大されたもので、実際見るとその小ささにビビらされるという初心者泣かせのトラップ。

 加えてこの個体はまだ未成熟で子嚢殻が作られ始めたばかりなのだそうです。しかし未成熟とはいえやはり自力で見つけたいところです。しっかり実物を目に焼き付けていざ探索開始。湿気や虫と闘いながら、地面を舐めるように探します。

oso「ハヤカワどこだぁー」
どろ「ハヤカワー」
私「出てこいハヤカワ、おら!」


 早川さんがいたら戦慄するだろう光景です。もう完全に虫草探してる会話じゃないですね。そうこうしていると、

oso「あった!」



 osoさんが別個体を発見しました。やはりこれも未成熟個体ですがお見事です。ゲストが無事に発見してくれたので案内役のどろんこさんも一安心。さあ残りは私一人です。一つ見つけてから気生型探しに切り替えた二人を尻目に地面を睨み付けます。その眼光は鋭く、まさしく狩人のそれです。しかし同時に、どこか頭の中でめぐる思考もありました。

 あ、これいつものパターンだ……。

 今までの虫草観察会でもどろんこさんやosoさんが見つけて私だけ見つからないというのが度々ありました。どうにも私はキノコ探しが抜けきっていないというか、切り替えできていないというか。そもそも根本的な根気や集中力が足りないようです。


 

 もう見つかるのはカメムシタケばっかり。うん、お前は見つかりやすくて助かるよ。ハヤカワにも言っといてくれ。

 途中osoさんが空腹に耐えかねていたので私が持ち歩いている非常食の男梅を分けてあげました。だから朝ごはんちゃんと食べておけばよかったのに。これは遭難したりしたとき用の非常食なんですよ? 半分近くおやつに食べちゃってるけど。

 その後延々と探し続けましたが結局自力での発見には至らず、お二人の見つけた個体を写真に撮らせてもらいました。osoさんは他にもタイワンアリタケに寄生されてまだ生きているアリを動画に撮ったりとホクホク顔。動画はosoさんのブログで公開されてるのでそちらからどうぞ。かなり貴重な映像資料です。


 それから遅めの昼食をとって別のポイントへ移動しました。こちらは虫草ではなくキノコの珍菌、アンドンタケの発生場所です。

 

 これがアンドンタケ。カゴタケなどと同じアカカゴタケ科のキノコです。最初は釣鐘状のカゴを作るのですがやがて写真のように二つに割れて反り返ってしまいます。この見た目からわかると思いますが、くっさいです。内側についている暗褐色のグレバ(胞子液)は悪臭を放ち、それで集めたハエなどの虫を利用して胞子を広げていきます。鼻を近づけて嗅いでみるとガツンと殴ってくるような刺激的な悪臭です。よくサンコタケスッポンタケの臭いを糞臭と表現しますが、うんこ臭いというならばこっちのほうがそれっぽい気がします。これ、うんこついてるんだよって言われても信じるレベル。うんこうんこうんこ!



 開く前の幼菌と開きかけ。



 二つ並んで。基本地面から出るキノコなのですが、写真のように材の上から出ているものも多く見つかりました。おそらく効果的に臭いを振りまく(=胞子を広げる)ためにより高いところに菌糸を伸ばして子実体を作る習性があるのではないでしょうか。

 アンドンタケも無事見つかったところでこの日はお開き。まだ日は高いのですが疲れを残さぬうちに解散することとなりました。前に集まった時は終わりが遅くなり、そこから夕食などとなったので帰りがさらに遅れ、結局終電を逃すという事態にもなりましたので早朝に集まって夕暮れ前に帰るという今回のタイムスケジュールの素晴らしさを改めて実感しました。

 帰りの高速で立ち寄った岡崎SAで奮発して和牛丼を食べました。その時osoさんと話したのですが、今回見つかったハヤカワセミタケはどれも未成熟な若い個体ばかりでした。ということは先週の観察会が予定通り行われていれば見つからなかった可能性も高いのです。これは結果的にどろんこさんのおかげで見れたのでは……。

 そこまで話が及んだ時点で私もosoさんも口をつぐみました。このことは本人には言うまいという固い決意が暗黙のうちに交わされていました。

 調子にのせるとうざいんですよ、あの人。
 皆さんも黙っておいてくださいね。

コメント

森屋
No.2 (2016/07/17 06:47)
アンドンタケ、いいな~
錦田
No.3 (2016/07/17 17:22)
アンドンタケいいですね~
セミ生の虫草をほぼ見た事ないので、○○セミタケはどれも羨ましいです
ガガンボ (著者)
No.4 (2016/07/17 20:18)
>>森屋さん
アンドンはかっこいいですね。できれば二つに割れる前の状態も見たかったんですが、それは朝早くいかないと見れなさそうです。

>>錦田さん
自分もオオセミタケとか地元じゃ見つけられてないんですよね。あれも見つけやすい普通種のはずなんですけど。自力で見つけた発生地はツブノセミタケくらいです。でもあいつはセミ生って言っていいんですかね?
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