今日もキノコ日和

その28:梅雨キノコフレンズ

2016/07/15 03:32 投稿

コメント:6

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  • ガガンボ(東方手描き作者)
  • キノコ

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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添ってもらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。

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いつになったら6月の話が終わるのか。


 これはちょうど6/26日に名古屋で行われたイベント「アンダーグラウンドカーニバル」の前日のことですね。もともとこの日は私とosoさん、そしていんたーさんの三人でどろんこさんの坪を案内してもらおうという、虫草観察兼オフ会みたいなことを予定していました。

 ところが早い段階でいんたーさんが事情により参加できないこととなり残念だなーと言っていたら、どろんこさんがうっかりダブルブッキング! 遠征そのものが中止ということになってしまいました。まあそうは言ってももともと「どっか飯食いに行かね?」レベルの気軽なものなので流れたら流れたでしょうがないかって感じです。加えて天気予報的にも雨模様だったので、また次の機会にしようぜってことになりました。今さらそんなので気兼ねする仲でもないしね。だからどろんこさんも気にしないでください。
 貸し一つです。

 そんなこんなで一日予定が空いた私です。当初の考えではどろんこさんのフィールドを見に静岡まで行く→名古屋まで戻りネカフェで一泊→名古屋のイベントへ、という流れでした。これで移動費が節約できるなぁと思っていたのですが、おのれどろんこさん。

 これで貸し二つです。

 実際は深夜バスのチケットが取れたので予算的にはとんとんか、外食やネカフェ代を考えたら得してるくらいなのですがそこら辺は黙っておくことにしましょう。皆さんも言わないでおいてください。

 
 まあそこら辺はもうどうでもいいとして、一日予定が空いたとき皆さんは何をされますか?
 そう、キノコ狩りですね?

 というわけで地元の公園へ足を向けることにしました。さすがに遠くまで出かけるのも面倒なので通いなれたいつもの場所です。梅雨時期ということもありますし、何かしらは見れることでしょう。





 最初に見つけたのはクリイロイグチ……にしては小さいな。ビロードクリイロイグチの方ですかね。名前の通りビロード上の傘が栗色をしています。正確な同定には傘表面の組織構造を顕微鏡で見なきゃいけないらしいです。





 周辺に群生していたムラサキホウキタケモドキ。モドキじゃないほうのムラサキホウキタケも見たことがありますが、正直あんまり似てないです。このちょっとくすんだ紫灰色ともちゃっとした分岐具合がモドキの方の特徴です。もちゃっとしてるの。もちゃっ。






 微妙なイボカサタケ。代表的なのにシロイボカサタケとキイボカサタケとアカイボカサタケがいますが、これは何とも言い難い。キイロっちゃ黄色いけどシロっちゃ白い。なので間をとってウスキイボカサタケでいいんじゃないかな。いや、テキトー言ってるんじゃなくてそういうのがいるらしいです。ただ詳しくは知らないんですよね。結局白でも黄色でもない中間色をそう呼んでるだけなのか、ちゃんとした見分け方があるのか。
 とりあえずこの仲間は傘中央のイボがポイントです。これけっこう取れやすいんであんまりつついたりしないであげてください。






 アンズタケの仲間。本家のアンズタケじゃないですね、大きさとか全然違います。一応小型のアンズタケにはヒナアンズタケっていうのもいますが、こっちはもっと柄が長くなるのでまた違います。なんなのかは謎です。近縁種ってことで一つ。






 赤色のベニタケはもう無理です。聞いた話だと最近ではこのタイプが10何種類にも別れることがわかったとかで、専門の人以外はスルー案件なのだとか。表皮がむけるとか味が辛いとかだけじゃもう絞りきれないみたいです。






 コナヨタケとかその辺。






 マツの生木からなんか出てますね。上から見てチャヒラタケとかかと思いましたがしっかりした柄があります。モリノカレバタケ属とかそこら辺かな。そこから先はもうわからないんですね。不明種です。ちゃんと調べればわかるような気もしないでもないですが。



 

 

 アシボソニガイグチ。苦いらしいですがかじってないです。ていうか苦いとわかってるのに喜んでかじるなんて変態じゃないですか。



 お? 何かの幼菌が生えてますね。これだけだとわからないのですが、一つしか見当たらないので割ってしまうのもかわいそうです。このままにしておきましょう。というか、近づいた時点で私の興味は別に移っていました。



 この写真をよく見てください。中央の白いのが何かの幼菌。その右上の落ち葉の上に何か白いものが乗っているのがわかるでしょうか。



 

 今日の虫草。葉っぱの裏についたものが葉っぱごととれて落ちてきたみたいです。謎の幼菌につられて近づかなければまず見落としていたでしょう。ありがとう、謎の幼菌。これがなければばっさり切ってたところだよ!

 さて感謝も済んだところで虫草の方にかまいましょう。小型のクモから突起状の菌糸が多数伸びています。この見た目には覚えがあり、私はてっきり以前見たAkanthomyces novoguineensis( アカンソマイセス ノボギネンシス)だと思っていました。


 これが去年見つけたノボギネンシス。(参考記事)

 そしてこれが今回見つけた虫草。なんか違いますね。アカンソマイセス・ノボギネンシスは伸ばした菌糸の先っぽが細く尖るという特徴があるのです。上の画像ではそれがわかりますが、下の方では確認できません。じゃあGibellula leiopus(ギベルラ レイオパス)かと思ったんですが、こちらは宿主を覆う菌糸は薄い黄色で胞子は薄紫色なのだとか。真っ白なこいつはちょっと合致しませんね。というわけで謎虫草です。クモ生のギベルラ周りだとまだまだ分類も進んでいないので名前もついてないのがいくつもあります。たぶんそこら辺の何かじゃないでしょうか。

 ちなみに私は写真を見ながら図鑑で確認するまでずっとノボギネンシスだと思っていたので、(もう標本持ってるからいいか)とそのまま残して帰ってきました。クソマヌケ。




 ヒトヨタケの仲間。古いので細かい同定は厳しいですが、とりあえずこれはナヨタケ系のヒトヨタケですね。ヒトヨタケと名前の付くものにはナヨタケ科ヒトヨタケ属とハラタケ科ササクレヒトヨタケ属の二つがあります。インク上に溶けるという特徴はどちらもありますが、傘全体が溶けるのはナヨタケ科の方で傘は残りヒダ部分だけが溶けるのがハラタケ科の方という違いがあります。アルコールと一緒に食べると中毒を起こすいわゆる悪酔い毒があるのはナヨタケ科のヒトヨタケです。


 

 シワナシキオキナタケ。シワのあるのが特徴のオキナタケの仲間でシワがなくて黄色いので皺無黄翁茸。うん、覚えやすい。



 ワカクサタケ。いい色してます。こいつは出る場所もわかっていてもう何度も見ていますが、見つけるたびについ写真撮っちゃいますね。しかし生で見るのと写真ではやっぱりまた違うんですよね。ヌメリガサ科のキノコはすぐ劣化・退色してしまうので生えているところを見るのが一番です。なので探しに行きましょう。



こいつもちょっとよくわかんないやつです。去年の記事だとフサタケとか書いてた気がしますが、やっぱフサタケとは違うよなぁ……。かといってカレエダタケともまた違うみたいだし。カレエダの幼菌とか? 


 

 テングノメシガイの仲間。その20の記事で紹介しましたが、あれとはまた別の奴ですね。まず発生時期が2か月近くずれてますし、色味も違います。前回のは真っ黒でしたが、こちらはやや褐色を帯びています。出ている場所も違うしまた別の種なのでしょう。特定はできないので、ここではざっくり行かせてください。


 表面に毛がびっしり生えてます。


 これはカビてるだけです。




 

 

 モミの木の近くに生えていたチチタケ属。傘は中央がくぼんでいて表面がやたらとねばつくというか、ぺとぺととくっついてきます。で傘の縁が内側に巻いていています。チチタケと言えば乳液を出すのが最大の特徴ですがこいつはとにかく乳液の量が多いですね。手で持っただけでもどんどんあふれ出てきます。そしてこれが辛い! 辛い乳液を出すものはいくつもありますが、これは特に辛いんじゃないですかね。乳液などに変色性はありませんでした。
 以上の特徴からヌメリアカチチタケだろうと判断しました。名前の通り湿った時の粘性が著しく、強い辛みの乳液を多量に出すのが特徴だそうです。その他の部分も合致したし、割と今回は自信ありますよ!



 ベニヒガサ。前々から紅緋傘って名前、紅色も緋色も赤色系統でかぶってんじゃん、と思ってたんですが、「紅緋」という色があるのだそうです。知らなかった、そんなの……。こういう古い色使いを入れてる和名って風情があっていいですね。




 

 ムジナタケ。もさもさした感じが獣っぽい雰囲気のキノコ。そこら辺で見ます。


 こんくらい群生してるのもざらです。



 

 ビョウタケ。


 じゃないです。よく似てるんですがこいつはニセキンカクアカビョウタケという長ったらしい名前のキノコです。ニセキンカクキン科の赤みがかった画鋲みたいなキノコなんで偽菌核赤鋲茸。よし、覚え……やすい?
 ビョウタケはビョウタケ科でこいつはニセキンカクキン科と科からして違います。ニセキンカクキン科と言えばツバキキンカクチャワンタケとかそこら辺の仲間です。外見は非常に酷似しており材から出るというのも一緒。ただビョウタケが見れるのは深い山の中のことが多く、低地で見つかるのは大体こっちニセキンカクアカビョウタケの方です。私がビョウタケを見たのも以前行った芦生原生林の中の一回くらいだと思います。加えて柄の基部が黒くなるというのも本種の特徴。二枚目の写真で確認できますね。

 このように科を超えて似たような形になるのは一種の収斂進化なのでしょうか。ものによっては担子菌と子嚢菌でそっくりなキノコとかいますしね。同定する側としては頭の痛いところです。




 キイボカサタケー! いえい! お前を待っていた。これくらいわかりやすい色してくれてたらこっちも迷わないんですよ。お前はほんといいやつだ。あって死亡事例もあるけどいいやつだ。これからも変わらぬ黄色でいてくれ。

 ちなみに死亡事例に関してですが、別に猛毒を持っているというわけではないみたいです。中毒したのが年配の方だったらしく、胃腸系の中毒症状による嘔吐下痢から脱水症状を引き起こし、そのまま亡くなられたのだとか。だからまあ毒性としては普通のキノコ中毒なんじゃないかと思います。だからと言って食べないでくださいね。




 ナガエノチャワンタケ。こいつも正確に見ようと思ったら顕微鏡いりますけどね。



 ヒメカタショウロ。毒です。



 鮮やかな黄色が映えるウコンハツ。こいつも見かけると写真撮っちゃうやつですね。



 

 ニオイコベニタケ。赤色のベニタケの仲間で数少ない有常キノコ。カブトムシみたいな特徴的な臭いがわかりやすいので助かります。一説によればこの臭いは防虫効果があるのでは、と言われています。だったら他のも同じ臭い出せばいいんじゃ……、いやダメだ。また判別がややこしくなる。




 

 こいつはちょっと古いけどキアシヤマドリタケかな? ヤマドリタケのチャームポイントたる柄の網目が見えないな。カビちゃったのか。


 近くに出てた幼菌。イグチの幼菌は愛嬌があっていいですね。




 クロサイワイタケ科のXylaria liquidambar。フウの実から出る子嚢菌の仲間。クロサイワイタケ科のキノコはとにかく虫草と見間違えやすいので最近私の中で評判が悪いキノコです。



 テングツルタケ。



 ハツタケ。



 チシオハツ。



 チチショウロ。こんななりをしていますが、これでもベニタケ科のキノコなんだそうです。ベニタケ科というと今回の記事で紹介した中だとヌメリアカチチタケ、ニオイコベニタケ、ウコンハツ、ハツタケ、チシオハツあたりがそうですね。似ても似つかぬ姿をしていますが、いつもマツの根元に出るのを見るとなるほどベニタケ科っぽいなと思いました。ベニタケ科の仲間はマツと共生しているのが多いですからね。




 今年も臭いアカカバイロタケ。干物みたいな臭いがします。



 クロノボリリュウタケ。殺意に目覚めたわけじゃないです。本家のノボリリュウタケに比べたら小柄なキノコです。



 ズキンタケ。グミのような半透明な子実体が愛らしいですね。柄についた細粒点も特徴の一つです。見かけどおりプニプニしています。



 ちょいと赤味が強いけどキソウメンタケかな。一本ずつ個別に生えてあまり束生しないのがポイントです。これがベニナギナタタケとかだともっと束になって生えます。



 オオヒナノガサとかそこら辺。ヌメリガサ科はよくわかんない。




 これ、公園内の遊歩道横にある石壁なんですけどね。中央のところに鳥が巣を作ってました。ちょうど私のひじのあたりの高さで道の横にあるんでそのまま覗き込める位置です。そんなとこに作って大丈夫なのか? とも思いましたが、卵からヒナが孵るまで無事だったようだし、それほど人通りも激しくないんでしょうか。



 ストレスにならないよう少し離れてからズームで撮りました。さて何の鳥でしょうね?




 チャウロコタケ。名前の通り硬くてツヤツヤしたウロコみたいなキノコです。白色腐れを起こすので風倒などには注意しましょう。
 




 

 帰り道に見つけたカラカサタケの仲間。まだ傘も開ききってない状態ですが、この大きな鱗片をかぶってる様子はドクカラカサタケっぽいんですけど、場所が街路樹の周りの草地だし時期は梅雨。オオシロカラカサタケの方じゃないですかね。変色性とか見ればよかったんですけど、若干疲れが出ていたので軽く挨拶だけして帰ってきました。あとこれ見つけたのが自宅から5分くらいのご近所なんで、知り合いに見られたら恥ずかしいなというのもありました。

 今更って感じではありますけどね。
 




コメント

gim_kondo
No.4 (2016/07/16 12:22)
材料や場所から憶測すると、巣の主はオオルリあたりですかね。
アマニタ!
No.5 (2016/07/16 23:27)
やっぱりキイボガサかっこいいですね。私も見てみたいです(特にドクツルww)
ガガンボ (著者)
No.6 (2016/07/17 00:30)
>>いぼがえるさん
ナシ赤星病もキノコっちゃキノコですね。一度見てみたいんですけど近くにナシ園もないしなかなか難しそうです。農家の人からしたらまずないほうがいいでしょうしね。

>>錦田さん
今までサボっていただけとも言えます。ベニタケ科とかウラベニガサ科はもうほぼ顕微鏡必須みたいな感じですね。長らく肉眼観察でやってきた身としては少し無念というか残念というか。

>>gim_kondoさん
オオルリ、調べてきました。確かに巣の感じも似ていますね。鳴き声も聞いた覚えがあるので可能性高そうです! キノコと違って鳥は全然見つけられないんですよね。こちらも目に入ってくるようになるのでしょうか。

>>アマイタ!さん
イボカサの仲間は割と低地でも見つけられますよ。場所によってはアカイボカサタケ、シロイボカサタケ、キイボカサタケが並んで生えてることもあります。ドクツルは図鑑に載ってるような本家本元だと高地に行かないと生えてないので私もなかなか機会がないですね。低地型はもう別種になっちゃいましたし。
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