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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添ってもらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。
まだ6月の話。
6月18日。私は朝っぱらから電車に揺られていました。ちょうどイベント新刊の原稿が上がり、さてどこに行こうかと思っていた矢先にosoさんから地元に来ないかと声をかけられたので二つ返事でお呼ばれした次第です。今回はいんたーさんも参戦。どろんこさんは金欠。というわけでの三人体制です。
今回は寝過ごすこともなく、無事に駅で合流できました。いんたーさんともどもosoさんの車に乗せてもらい最初のポイントへ。途中、ちょっと気になっているところがあるというので立ち寄ってみることになりました。
oso「まあカメラとかはいらないでしょ」
案内人がそう言うならと手ぶらで見に行く一同。数分後、車に引き返す一同。
出てるじゃねーか!
やってくれるぜ、全く。しょっぱなからかましてくれるじゃない。osoさんはこういうことやってくるから油断ならないんですよね。私みたいな人を疑うことを知らない純粋な人間は振り回されっぱなしです。
しかも多いじゃねーか!
出ていたのはクチキムシツブタケとい虫草です。甲虫の幼虫、今回はキマワリの幼虫あたりから出ているようですね。ただこれ虫に寄生して生えているのか、というとそうではなく
重複寄生種なんだそうです。要するに、「虫に寄生しているキノコに寄生しているキノコ」ってことです。こういうのは虫草ではちょくちょく見られるんですが、ぶっちゃけよくわからん奴らです。そのまま虫に寄生したほうが早いんじゃないの? と思うのですが、まあ好き好きがあるんでしょうね。
こちらはインターさんが発見したカメムシタケ。この県では発見例が少ないらしく、何気に貴重な発見だそうです。
これは私が見つけた別種。たぶんサビイロクビオレタケとかそこら辺。
osoさんが見つけたまたまた別種。のちに調べたところハチの繭に寄生しているヒメサナギタケモドキの近縁種とかそこら辺とからしいです。まだ和名はおろか詳しいこともわかっておらず、ベテランの間でも意見が割れている種なのだとか。
20~30mほどの範囲に4種もの虫草。どんだけ生えてんだよ。ここは探せば絶対もっと生えてるだろうと思いながらも次の場所へ移動しないといけないので泣く泣く切り上げです。え、ていうかもう今日はここだけでいいんじゃないの? 割とお腹いっぱいなんだけど。
次に案内されたのはとある神社の参拝道入口。流れている沢のそばに生えているイヌガヤの葉っぱの裏に出ていました。
レモンイエローの子嚢殻が美しいカイガラムシキイロツブタケです。カイガラムシに寄生して黄色い粒状の子嚢殻(胞子を作る器官。ツブツブしてる部分がそれ)を作るのでカイガラムシキイロツブタケ。はい、覚えやすい。
その後さらに場所移動。昼食を食べて向かうのはハチタケのポイントです。聞くところによるとハチタケは雨に流されたりして動くことが多いらしいので、流されたものがたまってそうな場所を重点的に探してみました。しかし見つかるのはブナの実から生えるブナノホソツクシばっかり。一休みしようと立ち上がり、傍らの木に手をかけると、
メキメキメキ。ズドォオオン。
oso・いんたー「!?」
軽く体重を預けただけで倒れ砕ける立ち木。やれやれ、普段セーブしている力の発端が出てしまったようですね。もっともこれでも全開の5%といったところなのですが、ちょっと気を抜くとこれです。
危ないので本当に気を付けましょう。
結局新しい個体は見つからなかったのでosoさんが定点観測している個体を撮影して終わりました。ハチタケはハチからならけっこう幅広くいろんな種から生えるのですが、やはりスズメバチから出るのは特別かっこいいですね。虫草のカッコよさは宿主も含んでる部分があるので、デザイン性の塊みたいなハチから生えるというのはそれだけで高ポイントです。これで女王蜂とくればもうたまらん、よだれズビッって感じでしょうね。
道中にあったカラカサタケの仲間。傘表面に明瞭なシワがあるのが特徴です。シワカラカサタケでいいんじゃないでしょうか。シワあるし。他にもシワのあるカラカサタケっているんですけどね。
次にやってきたのは以前の遠征で見せてもらったガヤドリナガミノツブタケの場所です。前に見たときはまだ未成熟だった個体がようやく成熟して子嚢殻を作ったというので、そもそも今回のメインはこいつだったりします。
ガヤドリも宿主のカッコ良さが映える虫草ですね。菌糸の白さと子嚢殻の鮮やかさが対照的なのも見事です。ただ気生型(宿主=寄生されてる虫が露出してる虫草:タイワンアリタケやヤンマタケ等)の悲しいところで少しぼろぼろになっています。特に羽周りは劣化が激しいみたいですね。
で、この三枚目の写真見てもらうとわかると思うんですけど、こいつ木の幹に固定するための菌糸からも子嚢殻を作ってるんですよね。……じゃあ菌糸を伸ばす意味は?
お前、胞子を遠くまで飛ばすために背中からそんだけ突起部分作ってんじゃないの? そこに作って大丈夫なの? 色々とよくわからん奴だ……。
その後ガヤドリの坪から少し離れたところにもう一つポイントがあるというので案内してもらいました。着いたのはヒノキの植林でキノコ的にはあまり期待できなさそうな場所です。
マクロレンズでちょっと引いた写真。どこに何が生えているか、わかりますか?
正解はこれです。画面中央の白いゴミみたいなやつ。
このツブノセミタケは数年通して発生する虫草で、去年の古くなった子実体の横からまた新しい子実体が伸びたりすることもあるのだそうです。ちなみにこいつもセミの幼虫から生えている、というわけではなく重複寄生の虫草みたいです。言われてみれば他のセミ生の虫草とは雰囲気が違って、上で見たクチキムシツブタケに似ていますね。
oso「これはぜひガガさんに採取してもらいたいんですけどねー」ニヤニヤ
いんたー「ですねー」ニヤニヤ
二人そろって不気味な笑みを浮かべてやがる。ツブノセミタケは宿主がかなり深いところにあることで知られている種です。ものによっては30cmは掘らなければ出てこないとか。しかも菌糸は細く、根っこなどに紛れやすいので相当神経を使うのだそうです。osoさんといんたーさんはすでに発掘済みでその時も小一時間くらいかかったそうで、その苦しみを私にも何とか味あわせたいのでしょう。全く、なんて奴らだ。
ですがあいにくのところ私は自力で発見した個体しか採取しないというポリシーの元に動いていますので、人に見つけてもらったものには手を出しません。ここら辺は虫草屋というかキノコ屋のこだわりです。やはり自分の力で達成してからこそ、糧になるというものですよね。
あ、でも場所を案内してもらうのは別なんで。
いい場所あったらどんどん教えてください。
コメント

No.4
(2016/07/15 20:50)
宿主も含めてかっこいいっていうと、Cordyceps ignota とか見てみたいですね。まあ、国内には居ませんが。…アシダカ軍曹から生えたりしないのかな、虫草。
ツブノセミタケ、一度は掘っておくといい体験になると思いますよ(ニヤニヤ)…いや、ほんと。
ツブノセミタケ、一度は掘っておくといい体験になると思いますよ(ニヤニヤ)…いや、ほんと。

No.5
(2016/07/15 22:16)
>>青fungiさん
実は既に見つけて掘っているのです。ただその日の記事に行くまでまだいくつかあるのです。いずれ私の華麗な採取をご覧に入れましょう。
実は既に見つけて掘っているのです。ただその日の記事に行くまでまだいくつかあるのです。いずれ私の華麗な採取をご覧に入れましょう。

No.6
(2016/07/15 22:28)
チッ・・・。
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苦しくないといいんですけど・・・。