今日もキノコ日和

その23:山キノコマウンテン

2016/06/21 16:29 投稿

コメント:12

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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添って
もらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。

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キノコ狩り行きたすぎて夢に見た。

 時期は梅雨真っ盛り、今日も明日も雨ばかり。そんな時分ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。私はここしばらく6/26(日)に名古屋で行われる東方イベント「アンダーグラウンドカーニバル」の新刊原稿でこもりきりの毎日でした。窓の外には絶好のキノコ日和が続いているというのに生殺しもいいところです。こんなとき、毎回もっと早くに作業を開始しておけば余裕をもって動けるのになと後悔するのですが、反省はしないのが私です。

 まあそんな原稿もこの度無事に終わったので少し遅くなりましたが、5月・6月に行ったキノコ狩りを順次まとめていこうと思います。イベント告知の記事もまた別途まとめる予定です。



 5月中旬。私は地元を離れ、とある駅に降り立ちました。


 駅から見える純白の城。やってきたのは姫路です。姫路城って駅からすぐなんだなぁと感心しましたが、特に用はないのでそのまま通り過ぎました。強いて思ったことといえば、岡山城で挟んだら黒くなるのかな、ってことくらいでしたね。

 そこからレンタカーを借りて一路北へ。もともとペーパードライバーだったのが、レンタカーを借りるようになってからけっこう乗っている気がします。それでも高速に乗るのは何年振りだったでしょうか。あれ、もしかして教習所で一回乗ったきりだったかも。まあそんなに事故らずに行くことができました。安全運転重点。

 


 そうしてたどり着いたのがここ、そう氷ノ山です! 氷ノ山といえば過去にガバガバな日程を組んで挑戦したことのある山ですが、あの時は秋。5月ならばまた違ったものが見れるのではないか、という期待の元、車を飛ばしてやってきたわけです。


 駐車場近くにいたカミキリムシ。
 まだ幼虫?








 車から降りて軽く伸びをしていると日が傾き、暗くなっていくのがわかりました。山は夕方になると一気に暮れだします。こんな時間に到着して何考えてんだ、と思われるかもしれませんが問題ありません。今回は車を一日レンタルしており最初から車中泊の予定です。この日はさっさと夕食をとって就寝、翌日の早朝からが本番です。


 この日の夕食。最寄りの(といってもけっこう離れてましたけど)スーパーで買いました。焼き芋とローストビーフと鯖寿司。これとは別にカレーも買っていましたが、それは美味しそうだったので写真を撮る前に食べてしまいました。店内に大きな鍋と炊飯ジャーが置いてあり、自分でよそってレジへ持っていくというシステムでした。味は懐かしい学校給食系というか、日本のカレーといった感じでしたね。やはりカレーは大なべで作るに限る。

 この後は暗い車内でヘッドライトつけてニンジャスレイヤー読みながら寝ました。


 翌朝、5時起起床。借りた車がフルフラットにできるタイプだったので多少はマシでしたが、やはり寝苦しいのは変わらないですね。私は無駄にタッパあるっちゃ~なので車の中で足伸ばして寝れたためしがないです。キノコ探す時も目線が高くなっちゃうし、頭ぶつけるし、キノコ屋にとったらあんまりいいことないな。

 昨日のうちに買っておいたおにぎり(春だし大丈夫でしょ、大丈夫でした)で朝食を済ませていざ山の中へ。氷ノ山は入口のところに入山届けが置いてあるのできちんと記入してから入ります。






 登り始めてすぐのところに炊事場があるのですが、そこの陰から出ているキノコを発見。使用済みの炭を隅に寄せていた場所のようです。(スミがかかっています。上手いですね)

 これはヤケアトツムタケというキノコで名前の通り焼け跡、たき火跡から発生するキノコ……と思っていたのですが違うみたいです。同じように焼け跡から出るキノコにはヤケノシメジなどもいますが、こちらはもっと色が暗いはず……。ということでよくわからんということになりました。見比べてみるとヤケノシメジの個体差か、その仲間って感じみたいですね。





 次にいたのはアラゲカワキタケですね。名前の通り荒い毛で覆われた革質のキノコ。初めは紫色を帯びていますが、次第に抜けて黄土褐色になっていきます。図鑑の最初の方に載ってたなぁという覚え方。





 木の上に生えていたキノコ。かなりの大物のようですが、近づくこともできずズームで精いっぱい。おそらくスギタケ系の何かだろうと思います。近くで見たかったなぁ……。





 砂防ダムみたいなところに上流から流れてきたブナの実がたまっていました。そこから出ているのはブナノシロヒナノチャワンタケとブナノホソツクシタケ。これは一つの実から両方出ていたものです。どちらもブナの実から出るキノコです。



 ブナノシロヒナノチャワンタケは長い柄と表面を覆う微毛が特徴。4~5月ごろが見頃です。
対してブナノホソツクシタケは以前紹介したXylaria liquidambarと同じクロサイワイタケ科のキノコ。この手の奴はぱっと見は似たようなのばっかりなので何から生えているかというのが重要になってきます。



 ベニカノアシタケ。小型ですが鮮やかな色合いが美しいキノコ。




 ギンリョウソウ。



 カエル。



 アワフキムシ。





 ぼろぼろの木から生えていたのはウラベニガサの仲間ですね。ここいらは正確に同定しようと思ったら本当に顕微鏡観察が必須レベルでややこしいので、まあ大雑把にまとめておきましょう。





 これは前に氷ノ山に登った時も見た覚えがあります。クロシワオキナタケですね。名前の通り特徴的なシワがよくわかります。傘表面のぬめりと相まって面白いキノコです。






 なんかの革質系老菌。微妙に橙色が残ってるのとけっこう弾力があることからマスタケあたりじゃないかなぁ、と思いました。





 山中の斜面で湧水にさらされている倒木を見つけました。そこから出ている黄色いキノコ。
キイロヒメボタンタケというキノコです。動画に出したカンムリタケや過去の記事に紹介したミズタマタケなどと同じ水生のキノコで、普段は沢や小川に浸った枝から出ていることが多いのだそうです。


 うむうむ、やはり高い山はいいですね。春でも様々なキノコを目にすることができます。ただ今回は普通にキノコを探すだけでなく虫草も見つけたいという思いがありました。他の人の話を聞く限り、もう結構な種類が動き出しているはずなんですが……。
 と、思って倒木を覗き込むと!


 お前かよ!
 一瞬おっ! と思いましたがすぐにわかりました。これは虫草ではなくコブリノマメザヤタケというキノコです。先ほど上に出たブナノホソツクシタケと同じクロサイワイタケ科のキノコなんですが、この仲間は同じ子嚢菌ということもあってか虫草と見間違えることが多く、俗に「虫草モドキ」などと呼ばれています。中でもこのコブリノマメザヤタケには何度ぬか喜びさせられたことか。

ほんまこぶりのまめざやだきゃーおえんわ。
(岡山の方言で「本当にコブリノマメザヤタケだけはだめだ」の意)


 まあこいつはこいつで不完全世代と完全世代があったりで面白いやつなんですけどね。





 黄色いキノコだからキシメジとかそっち系かと思ったら、この内被膜。このクモの巣状の内被膜はフウセンタケ科に見られる特徴です。タマアセタケとかそこら辺じゃないですかね。





 沢に浸った枝から出ていたミズベノニセズキンタケ。今度こそミズタマじゃないほうでしょう。比べてみると大きさが全然違います。水生のキノコは水没した材から出るのですが、水につかって呼吸できてるんでしょうか? キノコの多くは完全に水没しちゃうとすぐ死んで腐っちゃうんですけど、何か秘密があるのかな。


 このレベルで水の中にいる根性あるやつもいました。



 やや! 登山道脇に立てかけられた倒木に怪しい気配。この虫食い穴から顔を出すこいつは……もしや!


 木の皮をはいで見ると出ました! 虫に寄生しているキノコ、虫草です!
まだ未成熟な段階で子嚢殻もできていませんでした。未成熟ゆえ断定はできないが、ヒメクチキタンポタケっぽいと帰ってからosoさんたちに教わりました。

 ポイントは宿主(しゅくしゅ:寄生されてる虫のこと)がキマワリという虫の幼虫っぽいということと、宿主の胴体から不完全世代の子実体ができていることだそうです。


 他にもいくつか発生していました。このくらいの大きさです。
※私の指は人並みのものとお考えください。

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※2016/6/22追記
上記の虫草について、ヒメクチキタンポタケではなくサビイロクビオレじゃないかというご意見をいただきました。どうやら宿主もキマワリではなくキアブの幼虫で、不完全世代と思われた部分も菌糸が出ているだけだろうとのことです。
現状、手持ちの写真だけでは何とも判断できない状態です。とりあえずはヒメクチキタンポかサビイロクビオレのどちらかだろうということにさせてください。
いつか成熟個体を見つけたらばしっとドヤ顔で掲載する予定です。たっぷり。
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 ヒメクチキタンポタケは初見の虫草。しかも複数発生しているとなれば是非とも標本用に採取したいところ……。しかしこれはまだまだ未成熟個体。ここが近場なら日を置いてから成熟したころに採取、というのもできるのですが、早々来れる場所でもなし。うーむ……。

 考えた末、一つ持ち帰り追培養してみることにしました。

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●追培養とは!
 簡単に言えば未成熟な個体を持ち帰って成熟させること。植物に例えるならば、つぼみの花を持ち帰って花が咲くまで育てるようなものと考えればわかりやすいでしょうか。

 しかし植物と違うのはキノコの場合その本体は土中や材中にはびこる菌糸です。子実体であるキノコだけを採取してもそれを生かし続けることはできません。根も茎も残さず、花だけ切り取るようなものだからです。かといって菌糸が伸びている土や材を丸ごと持ち帰る、というのも現実的ではありませんね。下手したら世界最大の生物とまで言われるのがキノコです。

 ところが虫草の場合はこれが可能になります。なぜなら虫草が菌糸をめぐらすのは宿主の中、つまり宿主ごと採取することができればその個体を丸ごと移動させることができるからです。あまり植物に例えるのもあれなのですが、植木鉢ごと持って運ぶイメージです。
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 とはいえ、今まで追培養などやったことはなく初めての試みです。ここは一つベテランのどろんこさんにアドバイスを求めました。この方はツイッターなどでも虫草関連のつぶやきをされている方で、ちょくちょく坪を案内してもらったりもしています。

 で、どろんこさん曰く、
・ヒメクチキタンポタケならそれほど難しくない。
・温度は今の時期なら室温でいい
・湿度は水にぬらしたコケを絞って同封しておけばいい

 とのことでした。おお! なんかできそうな気がしてきた。これでワインセラーとかの設備で完璧な温度湿度管理が必要とか言われたら諦めていたところですが、よくよく考えればこの時期に出るということはその季節の常温が適しているということです。あとは湿度さえ絶やさなければいいというのも道理。俄然希望が湧いてきました。

 無事標本も採取したところでこの日のキノコ狩りは終了です。虫草は一種類だけでしたが、初見のキノコがいくつも見れたのでなかなか充実の一日でした。こういう山が近場にあるといいのになぁ、と思うことしきり。

 さあ残ったのは追培養のみ! 果たしてうまく成熟させることはできるのか!?
 その結果はこの後すぐ、コメント欄にて!




コメント

ガガンボ (著者)
No.11 (2016/06/22 20:19)
>>森屋さん
セダカコブヤハズカミキリ……虫の名前も十分わかりにくいですね。どこできるんだろう。
虫草探しは楽しいんですけどキノコ探しと両立しづらいのが悩みどころですね。機会が合えば是非ご一緒しましょう。京都の三国峠とかまた行きたいと思ってるんです。
下山純秋
No.12 (2016/06/22 22:50)
(このキノコ狩りに行ったのは5月中旬みたいですけど)サビイロクビオレの追記って6月22日の間違いですよね
ガガンボ (著者)
No.13 (2016/06/22 23:02)
>>下山純秋sann
なんか5月と6月がごっちゃになってました。
まあ似たようなとこありますからね。
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