今日もキノコ日和

その20:春キノコドリーム

2016/04/13 08:02 投稿

コメント:9

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  • ガガンボ(東方手描き作者)
  • キノコ
  • アミガサタケ
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≪注意≫
このブロマガはキノコ屋見習いの観察をまとめたものです。実際の同定に利用できるものではありません。
記事内容に訂正・補足がある場合はコメント等でご指摘いただければ幸いです。
なおキノコの正確な判別は経験者でも間違えるほど難しいものです。慣れない内はベテランの方に付き添って
もらうなどして、素人判断での採取・喫食は行わないでください。死にます。

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まだまだ朝晩は冷え込むものの、日が昇れば春の陽気も穏やかな季節となってきました。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。私は猫にベッドを奪われました。



私「なぜそこで寝るんだ! 俺のベッドなのに!」

怒りに震える私は腕を広げウンダーダンスで猫を威嚇しました。ウンダーダンスとは古代ドッコイ王国に伝わる秘伝の舞踊で、ほとばしるパッションを全身から放出することで外宇宙の神々のぼやきが聞こえてくると言われています。かつては年に一回国を挙げての大会が開かれ、もっとも見事に踊った者には名声と国王を三回腹パンしてもいいという権利が与えられたのだそうです。(四回目以降は死罪)

こういう怪文書を書きなぐりたくなるときは大体にしてストレスがたまっているときです。溜まってなくても書くときは書きますが、今回はストレスからです。というのも例大祭に向け同人誌の原稿に勤しむ今日この頃、あまりキノコを探しに出られていないのです。

そういう時に限って、やれアミガサを見ただのタンポタケを見つけただのと報告が届いてきます。信じていた同士森屋さんまでブログでシャグマアミガサタケを発見したと自慢してきました。自慢するような文言は一切ありませんでしたが、あれは私に対する当てつけだと思います。そうに違いありません。

こうなっては仕方がありません。キノコを探しに行きましょう。春眠暁を覚えず等と言っている場合ではありません。そもそも私はベッドが使えないのです。
いい加減ウンダーダンスにも疲れてきたので、私は身支度を整えることにしました。
猫は全く起きませんでした。



さてキノコを見ようと週末の公園を覗いたのはいいのですが、人が多いですね。流石に花見の季節とあってか、屋台も軒を連ねています。道沿いには菜の花が生垣のように咲き並んでいました。ここら辺の写真も撮っておけばいいんでしょうけど、あいにくマクロレンズをとりかえるのが面倒だったので結局撮らず終いでした。



あれ、まだいたのかお前。がんばるねえ。
この時期にはちょっと珍しいかな? 晩秋から早春のキノコ、ヒラタケです。新しく一株出てきていましたが、他は軒並み干からびていました。シーズン中に来れば型のいい個体が見れたのでしょうが、ちょっと残念です。まあ見つけてももう食べることはないでしょうけど。






こちらはまさに今が旬、ツバキキンカクチャワンタケです。
名前の通りツバキの下に生えるキノコなので大きさの割には見つけやすいキノコ。公園以外でも普通の家の庭に生えていることもあります。

私の家の庭にも出ていたのですが、ツバキの木の隣に倉庫が移ってから環境が変わったのか見なくなりました。いくつか持って帰って胞子を撒いてもらいましょうか。





近くに生えていたのはテングノメシガイ、の仲間ですね。
テングノメシガイはいくつかよく似た仲間がいて、正確に判別するためには顕微鏡観察が必須なのだとか。名前の意味は天狗のしゃもじ。言われてみればしゃもじっぽくも見えますね。






ツバキの下を見た後はモクレンの樹下を探ってみました。落ち葉をかき分けていくと視界の隅で白い影が揺らめきたちます。目を向けると小さなキノコ。刺激を受けて胞子を噴出したようです。出来れば胞子を飛ばすところを撮影したかったのですが、一回で打ち止めでした。

Cibolinia gracilipes(キボリア・グラキリペス)、だろうと言われているキノコです。正確には同種かどうかは未確定なんだとか。ともあれ私としては早めに和名つけてほしいなあといったところです。学名は綴りにミスが無いか確認するのが面倒なので。

最近ではもうモクレンキンカクチャワンタケ(仮)と勝手に呼んでいます。通じる人には大体通じます。(かっこかり、まで発音するのがポイントです)
あんまり仮称を浸透させるのもよくないんですけどね。



コケから顔を覗かせているのはヒメコガサ。
ヒメもコも小ささを表す接頭辞です。両方合わさっていることからもわかるようにとても小さなキノコです。それほど珍しくない、というかありふれた種なので通りすぎがちですが、眺めてみると面白いものです。

『ぼのぼの』というマンガでラッコのぼのぼのが友達のシマリスくんの手を見てすごいと言っていたお話があります。とても小さいのにちゃんと動いてすごい、というのがぼのぼのの弁でした。実際ハムスターでも何でも小動物の手足を見てると、こんな小さいのにちゃんと神経が通って血管があって思い通りに動かせるのかと思うとなかなかどうして大したものじゃないか小動物と思います。

ヒメコガサのような小さなキノコでも当然キノコとしての器官・機能は備えているわけで、拡大してみればまるで精巧に作られたミニチュアのような感動を覚えます。





地面から口を覗かせているのはカバイロサカズキタケですね。
正直どこら辺が樺色なんだ、という気持ちはあります。(ちなみにこんな色↓)

三枚目の写真、縁が外に巻き込んで裂けているのが実に可愛らしいと思います。



ミイノモミウラモドキ。
イッポンシメジ科のキノコで柄の部分がねじれていくのが特徴です。こいつも春先によく見るキノコですね。他の仲間は夏から秋にかけて出るのが多いんですけど、何ででしょう?
花見が好きなんでしょうかね。





大きいチャワンタケなのでオオチャワンタケでしょう。
一番大きいので12cmくらいありました。マクロレンズで撮りにくいぞ。
っていうかあれですね、こっちの方がよっぽど樺色してるんじゃ……。




ホコリタケ。
一回マクロのアップで撮ってみたかったんです。



タマキクラゲ。キクラゲとありますがキクラゲ科ではなくヒメキクラゲ科のキノコ。
春に落ちている細い枝からよく出ています。



ちなみにヒメキクラゲはこんな奴です。『ごはんですよ』じゃないですよ。
この枝からはヒメキクラゲと一緒にタマキクラゲも出ていました。ゼラチン質のキノコって発生環境が近しいのか、同じ材に一緒に生えているのを見る気がしますね。



春に生えるベニタケ科のキノコ、カラムラサキハツです。
ムラサキとありますが、色の変異が大きく黄色だったりほとんど赤色だったり色々います。一番の特徴は齧ってみると辛味があること。以前は確認を怠って失敗したので、今回はちゃんと味見をしておきます。

私「……」
私「…………」
私「………………」
私「……………………あ、辛い」


これで間違いないでしょう。大根おろしを舌先に載せたようなピリピリとした辛味が感じられました。ただ他の辛味があるキノコに比べるとカラムラサキハツは辛味が出るのが遅いです。口に入れたらしばらく味わわないといけません。キノコ嫌いには地獄ですね。






まだ早いかと思っていましたが、もう出ていました。ウラスジチャワンタケです。
この場所では毎年四月の終わりから五月にかけてがピークなので、まだ小さなものばかりでした。名前の通り子嚢盤の裏側に脈々と筋が通っているのが特徴です。断面を見るとレンコンみたいになってます。



コナヨタケ。どっちも同じキノコです。
同じ落ち葉の山から出ていたのですが、水気に偏りがあったのでしょう。乾いた状態だと左のように淡い色合いになりますが、湿った状態だと右のように濃い褐色を示します。ナヨタケとかオキナタケの仲間は乾湿での差が激しいので苦手な奴らです。


さてさて、ここまでいくつかキノコを紹介してきましたが、まだ足りません。やはり春キノコの代表と言えばこいつを出さないことには始まらないでしょう。以前動画にした年ではまるで見つからず、地元では無理なのかと諦めかけていました。

しかしついに昨年、念願の発生地を見つけるに至ったのです!
これぞ春キノコ! アミガサタケです!

やったー! かっこいい! 
なんて見事なデザインでしょうか。自然の造形美にはただただ感服するばかりです。
寝転がって眺めていても一向に飽きることがありません。間近で見ると電子顕微鏡の拡大写真にも似た、遠近感がおかしくなるような迫力があります。

名前の通り頭部が網状になっているのでアミガサタケ。特徴によって細々と分けることができるのですが、そこら辺も未だ未確定の部分が多いキノコです。これはチャアミガサタケだと思います。

私は見つけるのに苦労しましたが、実はそれほど珍しいキノコではありません。林の中から草地、道脇など様々なところに発生します。ただどこにでも生えるのでどこに生えるのかわからない、といういざ探そうと思えばちょっと面倒くさい奴です。古いサクラの周りに出る、と教えられましたが、このチャアミガサを見つけたのは植えられたユズリハの木の根元でした。


出始めた幼菌と桜の花びら。
愛らしいですねぇ、愛くるしいですねぇ。


こっちはちょっとのっぽさん。


ちなみにこことは別にもう一か所発生地は見つけていたのですが、そこは環境が変わってしまったので今年は生えていませんでした。

(2015年4月に撮影した写真)
チャアミガサタケとは別のアシブトアミガサタケ系で、老菌しかなかったので今年を楽しみにしていたのですが、残念でなりません。
アミガサタケは一度発生したら場所が悪くならない限りは毎年生えてきます。もしも生えているところを見つけたら大切に保存しましょう。


今回見つけたチャアミガサタケはいくつか採取して食べてみることにしました。まだ出始めで小さいものしかなく、今後のためにもいくらか残しておいたので手に入ったのは少数だけ。ここは慎重に調理しなければなりません。

調べてみるとバター炒めやクリームシチュー、パスタなどとの相性がいいとのこと。手間のかかる料理で失敗するのも嫌なので、ここはシンプルにバター炒めにしておきましょう。

とはいえ、実はアミガサタケのバター炒めは去年にも一回やっていたりします。その際の感想としては正直生臭さが残り、お世辞にも美味しいと思えるものではありませんでした。じゃあなんでわざわざ同じことをするのか、というと今度は一人で食べるのではなく、家族にも食べさせて感想を貰おうという腹積もりでした。

家族の中でキノコ嫌いなのは私だけなので、キノコを食べられる人間からしたらまた違った感想が得られると思った次第です。対照実験というやつですね。


塩水につけたアミガサタケは一度茹でこぼしをして水気を切っておきます。それをバターと一緒にフライパンに放り込みとりあえず焼き目が付くまで焼いてみました。
するとそこにちょうど帰省していた妹がやってきました。

妹「なにやってんの?」
私「バター炒めだ。これバターで炒めときゃいいんだろ」
妹「塩コショウくらいはした方がいいんじゃない?」



え? そうなの?
あれ? バター炒めって塩コショウとかすんの? バターで炒めるだけじゃないの? 
と聞くとそんなわけないだろうと一蹴されました。それならバター塩コショウ炒めじゃないかと食い下がると、野菜炒めには塩コショウも肉だって入っているだろうと言われました。
なるほど、その通りだなと納得しました。

というわけで塩とコショウを振って完成させました。家族やら妹の旦那(一緒に帰省中)も板手前写真は撮っていませんが、切りもせず丸のまま炒めたので上の写真に焦げ目をつけて油でテロテロしてるのを想像してください。

そして肝心の食べてみた感想ですが……、あれ、これ案外いけるかも?
しっかり火を通して塩コショウしたおかげか、キノコ特有の臭いはなくバターの香ばしい香りがします。食感も苦手なキノコの感じではなくて、しこしことした歯ごたえ。妹は焼きサケの皮の部分みたいとか言ってました。

うーむ、しかししっかり味わうには流石に量が少なかったですね。もともと大した数もなかった上に家族にも食べさせたものですから一口食べてお終いでした。あんまり使えそうな感想も聞けなかったし、これなら独り占めすればよかったか。とりあえず今のところは食べれる食べれないは保留にして、次の機会にはどっさり食べてみようと思います。

この試食での一番の収穫は塩コショウの重要性に気付けたことでした。

コメント

黒猫とまと
No.7 (2016/04/13 19:19)
せめてクックパッドくらいは見てから調理をお勧めします・・・「バター炒め」で検索するだけで山ほど出てきますし、おおよそのレシピは塩コショウか、最低限塩くらいは使ってるはずですので
塩は味の基本。それ抜きで不味いのは当たり前です。せっかくの食材、美味しく食べたいですし
自分にあった料理法が見つかったら、食べられるキノコ料理のレパートリーも広がるかもしれませんね。新たなキノコの境地を楽しみにしています
錦田
No.8 (2016/04/13 21:30)
記事乙です。
春キノコ色々見れていいですね!

私もアミガサタケはなかなか見つけられないです。
発生すると知ってる場所があるからいいものの、新天地の開拓は難しいですね~
青fungi
No.9 (2016/04/14 11:12)
かこつです。
 アミガサタケはそのまま、乾燥してから調理、冷凍したものを調理で味、歯応えがそれぞれ違って面白い食材ですね。
 乾燥を戻したものが一番味が出やすいです。
 バター炒めの時は塩を少し控えめにして、炒め終わりに焦がし醤油するとよく合って美味しいですよ。
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