その3からの続き

さようなら ジパング


次の仕事は割と早く決まったものの、始まるまでに3ヶ月の猶予があった。
暇だな―― そう思って暇つぶしに考えたのが天鳳雀荘戦のライブ配信だった。

消滅したアカウントは復活できるという話を聞いて
早速
シーエッグにその旨の連絡を入れてみたのだが――

「雁纏のIDは、誰かに上書きされているので復活させることはできません」

このやろう

仕方なく作った新しいIDが【罪歌】 当時見ていたアニメのキャラだ。
ただの暇つぶしだ。その程度に考えていたのでテキトーに名前を決めてしまったのだが

おい、将来おまえ、そのIDで仕事をしようとしているぞ

あの時の自分にそう教えてやりたかった・・・少し後悔している。
配信を立てるまでは良かったのだが、そこで大きな問題が生じた。雀荘戦は――

卓が立たないじゃないか

それで仕方なーく段位戦をやることにした。

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ご覧のとおり前IDでは、東南戦にほとんど触れてこなかった。
仕事で疲れきった後、時間のかかる東南戦などダルくてやってられない。

仕事後に東風を20回も打ってたら同じゃ・・・というツッコミは無視する方針。
とにかくだ!!今回は時間が十分ある。まったり東南戦でもやってみようか――

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という軽いノリで始めたのだが
やってみたら調子よくポンポンと昇段するので楽しくて続けてしまった。

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東南戦のスピードにもすっかり慣れた。じゃあ鳳凰卓でも
東南戦でプレイしようと思うわけだ。今では信じられないかもしれないが、昔の鳳凰卓は――

鳳南が過疎、鳳東しか立っていない

そんなこともあったのだ。この頃はむしろ鳳南の方が賑わっていた。
それも東南戦でやってみようと思った理由の一つだった。

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仕事復帰する前に8段に昇段したが、仕事を始めるとめっきり打数は減った。
仕事上の立ち場も変わり、今度は麻雀ではなく経営する楽しさを覚えた。

自分の策が当たって結果が出る楽しさ。麻雀の成績なんてどうでもよかった。
いや、どうでもいいは言いすぎた。麻雀の向上心を少し失ったといえばいいか。

天鳳もダラダラ続けて7段に降段した。競技麻雀やお店の麻雀はガラッとバランスを変えることができたが、天鳳だけは「ラス回避」だからと変えようとしなかったのだ。

昔の「劣化速攻堅守」のまま勝ったり負けたりを繰り返した。天鳳だけは別、特上卓では通用したんだから。そう強く思い込み「先制取れなきゃベタオリ」を繰り返したのだ。

変化のきっかけは同僚の元十段の一言だった。参照ブログ・天鳳十段
「木原さんはたいしたことない――」それが本音だったのだろう。こ○したい。

んじゃどうすりゃ勝てるんだ?

それまで人の観戦とか眠くなるのでしたことが無かったのだが
渋々やってみることにした。うーん・・・特に違和感はないけど・・・

そんな中で目を引いたプレイヤーが1人いた。
あ、なんかこの人―― あれだ、そう、簡単に言えば――

すごく共感できる

プレイヤー名は 独歩。そう、後の3代目天鳳位だ。

その打ち回しは、僕が仕事中にやっているものに近かった。
勝機とあらばギリギリまで攻める。いわゆるフリー雀荘の収支戦っぽい打ち回しだ。

なんだ、天鳳だからといって特別な打ち方をしなくても強いじゃんか――

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なんかこう吹っ切れた。ちょうど鳳凰卓1000戦目くらいだった。
そこからは特に天鳳を意識せず、普段フリーで打っているようなバランスで打った。

成績が落ち込んだ時は牌譜検討配信もやってみた。
この時はこういう風に考えたので――と、説明しようとして発覚したことがある。

なにか矛盾点してないか?

自分の説明と選択した打牌が一致しているかどうか。そんなことを考えながら打つようになった。仮説+検証の繰り返し。矛盾が生じたらまた仮説を1からやり直し。

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それまでの天鳳は必ず2窓で打っていた。
PC画面は常時左に天鳳、常時右にアニメorエロゲ。それが標準仕様だったのだ。

だって、見ててもあんまり変わんなくね?

そう思っていた。でも実は違った。今までなんとなくで決めていた押し引きの基準を理で説明できるようになってきた。そこからまた麻雀が楽しくなってきたのだ。

2窓していたらこの楽しみを味わえない

その後はフルスクリーンで打つようになった。それでも全く飽きることがない。自分の予測が実際の展開と近いものになったら、自分の策が当たって結果が出る楽しさ

そう、経営の楽しさと少しだけ似ていたのだ。
仕事を辞めることを決意したのはちょうどこの頃、今から2年前の話だ。

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たまたま調子が良かったこともあり、最初1000戦と成績が激変した。
偶然にも仕事を辞める直前に天鳳十段に到達した。なんとか間に合った――

構想は既に練ってある。当たるかどうかはわからない。
結構な額の月収だった。当然不安だってある。でも麻雀と同じで――

うまくいっていたものを今更捨てるのにも抵抗があった。
でも今が不満なら、捨てなきゃ何も始まらないじゃないか。

別に仕事が不満だったわけじゃない。ただ好奇心の方が上回っただけの話。

現役麻雀プロがガチで「天鳳位」を目指すブログマガン

2014年2月10日、始動――


続く