Mリーグの解説を聞いて、ふと疑問に思ったことがあるかと思います。
この記事を読んで、その疑問を少しでも解消できたり
解説の仕事について、少しでもご理解いただけたとしたら幸いです。
1.放送ルームの設備について
放送ルームにはこのような大きなモニターが
設置されており、実況、解説は常時この画面を見ながら行います。
これだけの設備があれば見落としようがないじゃないか?
と思う人もいるかもしれません。お気持ちはよくわかりますが
実際に解説をしてみると、そう簡単なものではないと気づかされます。
2、並列思考の難しさについて
並列思考とは2つ以上の事を脳で同時に処理することです。
比較的簡単な並列思考もあれば、とても難しい並列思考もあります。
case1・音楽を聴く+本を読む
これは比較的簡単な並列思考の例です。
多くの人が自然と同時に処理できることでしょう。
case2・会話をする+本を読む
case1と比べると一気に難易度が上がりますね。
え、おれ全然余裕だし! という人も改めて考えてください。
case1とcase2をそれぞれ10分行った後
本の内容を覚えていられるのはどちらのほうでしょうか?
考えるまでもありませんね。人によってはcase2だと
本の内容が全く頭に入らないという人がいても不思議ではありません。
会話中は自然と言葉を発しているに見えますが、誰しもが
言語化の前に、一旦頭の中で処理してから言葉を選択しているのです。
僕も天鳳の実況配信をやっていると、カウントミスや
現物の見落としなど、ケアレスミスがやたらと増えてしまいます。
一見簡単なように見えても、何かを話しながら何かをチェックする
という並列思考は、脳の処理能力に負担がかかってしまうものなのです。
3、解説者の見落としについて
対局者は麻雀を打つ事だけに集中できるので
卓内で起こった出来事から細かい情報を拾うことができます。
実況、解説は、話す事に頭を使いながら
同時に複数の手牌、更に捨て牌をもチェックしなればなりません。
※放送対局の映像を使った読みの話。解説の音声も入ってます。
僕もプレイヤーとして放送対局に
何度か出演させていただいたことがあります。
しかし自分が麻雀中に考えていることを、解説者に
たった1半荘だけでも完璧に拾われたという経験は未だかつてありません。
動画中にある読みの話も、解説者がプレイヤーとして打つことだけに
集中して情報を拾えていたら、いとも簡単に気づけたのではないかと思います。
特にネット麻雀の解説は、プレイヤーの摸打が
あまりにも早すぎて、僕程度の処理能力では全くついていけません。
これは僕がを勝負したシーンですが
解説では「全員に危険なを勝負した!」とされていました。
しかしこのはリーチ対しては無筋ですが
上家に対しては現物であり、下家に対しては中筋なのです。
決して解説者をディスっているわけではありませんよ(汗)
プロなんだからしっかりやれよ! という意見もごもっともなのですが
人間の処理能力では、4人の手牌と捨て牌を同時にチェック
しながら、正確無比な解説するのはかなり無理があると思うのです。
4、解説者の人選や解説の内容について
解説者の好みは人それぞれあると思います。
ちなみに僕が好みの解説者は風林火山の勝又プロです。
リズムよく淡々と話すところや
プレイヤーの思考をうまく引き出そうとしているところ。
声のトーンや尺の取り方も素晴らしいし
麻雀からあまり離れず、話が脱線しないところも凄く好みです。
でも中には「声を聴くと眠くなってしまう」とか
「聞いていて楽しくない」という意見も耳にしたことがあります。
解説は個性を前面に出して良いのではないか
自論の展開を中心に解説するも良し。視聴者と一緒に
楽しむスタンスも良し。誰かさんのようにやかましいのもまあ良しです。
万人に受け入れられる解説者はいないと思います。
自分が気に入らないからといって不満に思うのは構いませんが
解説者を選ぶのは視聴者ではない
解説者を選んでいるのはMリーグの運営サイドです。
視聴者の意見を完全に無視して選考しているはずがありません。
Mリーグ運営には予算があり、その中で収益化する長期的なプラン
具体的な数字の目標が事細かにあることくらいは想像できるかと思います。
・視聴者の性別や年齢層の分布
・視聴者の麻雀歴、視聴者が麻雀を打つ頻度
・地域別視聴者数や時間帯別視聴者数 etc・・・・
当然このような市場調査も綿密に行われています。
それによると視聴者の内6割は麻雀を打ったことが無い人だそうですね。
※参照記事・Mリーグに関するアンケート調査
視聴者である我々よりも、運営サイドのほうがMリーグに関する
あらゆることに対して真摯に取り組んでいることは間違いないでしょう。
我々はMリーグの運営に関してずぶの素人です。
「文句をいうな!」とか「批判をするな!」というわけではありません。
ただもう少しだけ想像力を働かせてみて欲しいのです。
見た目は簡単なように見えるけど、実は案外難しいことだったり
自分の嫌いなものが実は意外と評価されていたり
自分の好みが実は少数意見だったりすることもあるはずなのですから。
コメント
コメントを書く(ID:7210327)
いつも参考になる記事をありがとうございます。
6割が打ったことないというのは驚愕でした。
ほとんどがコアなファンかと思っていましたが、Mリーグは一般にも見ていただけていると思うと麻雀の将来が少し楽しみになりますね。
あとは木原さんをもっとみなさんに知っていただくだけ!こんなに面白くていい人なのに!知らないなんて損ですよね!
これからも応援しております!
(著者)
いつもありがとうございます
3年前じゃ考えられないですよねー。楽しみな時代になったものです(*^^*)