こんこんの棚

まれびとと(終)

2019/12/10 07:09 投稿

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  • ソルジェラ
  • ジョジョ5部「MMD」二次創作



終わったはずだった物語をなんとなしに繋げて。
どこまで風呂敷いや話拡げるかがお題でしたが。
タグ無し宣伝無しでも訪れてくれる方がおられ。
固有名詞ゼロの謎文章までもアクセスがあって。
短い間ですがなんとも嬉しく楽しい時間でした。
言うに言われぬ愛おしさや取り返しのつかなさ。
そんなものが文章で書けていたらいいのだけど。
これ取られたら絶対に叛く存在感というやつも。

最後の一人です、わちゃわちゃが向きそうかな。
不思議な子でした、二年以上も一緒な筈なのに。
ひどく不安げに初歩的な指導を受け続けていた。
あれほど聡明で果断な指導者は居ない筈なのに。
いざとなったら教えを心で受け取れる漢なのに。
兄貴には何かしら思うところがあったはず…と…
んな些事はともかくシメは軽いモンが美味なり。

ネタ上等、1人1ジャンルの色モノ異端も上等!
いやはや我ながら謎ジャンルに手を染めたもの。
そんじゃまアンカーくん、ゴールまで走れーっ♪








まれびとと-B-終わりの冬の話








(頑張れペッシ、あと一件だ。)
「は…はい、向かってますゥ!」

はぁこんなに走るの初めてかもしんねえ!
リュック重てえ梱包ゲル詰まってるから!
けど急がなきゃ、オレしか居ねえもんよ!
あー待って閉まるな!ま…間に合ったぁ!

ふう危機一髪だったぜ無事バスに乗れた。
カサコソとメモ広げる、五つ先の停留所。
そこでこのブツと報酬交換したら帰れる。
お遣いも責任重大だけどみんなが心配だ。
なんせさあ…と、息切れ堪えて天を仰ぐ。
悪いタイミングでやべえ事になったなあ…





   「お、恐ろしい能力者もいたもんだぜぇ…ッ。」
   劇画調に片手で冷や汗を拭うホルマジオ。
   「おお…オレ様たちを軽くあしらうとはよぉ…」
   蒼白で背後の片隅を気にするイルーゾォ。
   「旦那あぁいやだよぉオレを見てくれよおぉ!」
   両肩掴んで思っくそ揺さぶるギアッチョ。
   誤解しか招かねえセリフに無反応な旦那。
   虚ろな瞳のシリアス顔で沈黙したまんま。
   「躾ナシか、揺らぎ難いと思ってたんだがな。」
   敵?よりなんでだか珍景が気になる兄貴。
   「ツレ相手だとそうでもない、可愛い男だぞ。」
   付き合い長い強みで軽くバラすリーダー。
   「はいはいどいてくださいねぇ、はいどーぞ。」
   フリーズ中のソルベの旦那に茶運ぶオレ。

   氷を浮かべたカモミールティーで息をつくと、
   精神の読解を絶対的に得意とするヒーラーは、
   1ダースの目玉を見渡しすまなそうに言った。

                「俺には無理だ。」

   1ダース+2個の目玉が一斉に下座へ向いた。
   ダブダブのセーターを着た小さいおっさんが、
   まぐまぐと肉のせポレンタをかっ込んでいた。


   …おっさん拾ってきちまったのはイルーゾォ。
   最近目障りなライバル組織を依頼で狙い中に。
   今季はアガリ少ねえんでカネかけんなってよ。
   奴ら欧州に渡る難民や何やを売り買いしてた。
   ハデに晒し上げ国際社会に追わせる案に決定。
   鏡を行き来しながらコマたちをそれぞれ誘導。
   警察マスコミ商品コンテナの劇的な鉢合わせ。
   絵になるおちびや美人の組を狙いすましてね。
   たちまち世界中に拡散スクープ美女効果抜群。
   これで奴らは孤立無援シラミ潰しって寸法さ。
   演出は大成功と撤収しかけたら非常事態発生。
   マンミラが消えねえ、言うこと全然きかねえ。
   よく見るとビーズみたいな変な蛇が絡んでる。
   居合わせたおっさんの首飾りにそっくりな蛇。
   スタンド使い?らしい?ものの言葉通じねえ。
   おっさんが動くとマンミラもついて移動する。
   おっさん一緒でなきゃ微動だにしてくれねえ。
   仕方なくそのまま拉致ってきたって話だった。

   「だが厄介だぜ、スタンド使えねえし消耗が…」
   ホルマジオが刈り上げた頭掻きながら呻いた。
   留守組全員集まってるアジトに連れてきたら!
   スタンドたちみんな同じ状態になっちまった!
   増殖したビーズ蛇を飾りみてえに巻いて沈黙。

   バングルスとビーチボだけ特に影響なかった。

   おっさんの意図を探ろうとアクセスはしたが…
   「言語が全く解らない。ただ敵意は感じない。」
   音の種類が多すぎて倒れそうになったらしい。
   仲間や元いた所の事ばっか頭ん中にあるって。
   「情景は砂漠と森とコンテナの中の物だけだ。」
   移動と狩りの記憶ばっか故郷の特徴掴めねえ。
   詳細も見たことねえ植物や獣や虫でお手上げ。
   あんま深く探るとその、プライベート見えて…
   堅物の旦那にはダメージでか過ぎる…たはは…
   「拉致には間違いない。殴られた打撲もある。」
   その後はしばらく空白、麻酔されたっぽいと。
   「難民たちと一緒に運ばれてきたんだろうな。」
   大将のどでかさに小さい目パチパチさせてら。
   「一番肝心な「蛇」についての情報はどうだ?」
   それが…と旦那はバングルス眺め声を落とす。
   「自動型らしい。本体だが操作はしていない。」
   結局、能力も目的も判らず謎だけが深まった。

   「しかし…困ったな、これでは身動きとれん。」
   大将が頬に指当て考え込むけど解決策は無い。
   「…リゾット、時間が…」
   旦那の小声に大将が小型スーツケースを机に。
   「これを渡して追加経費の請求をするんだが。」
   何が入ってるのかと見てたら皆がこっち向く。

               「頼んだぞペッシ。」
                   「…へい?」

   …い…いま何て?頼まれた?何をですかねえ?
   「このサンプルの引渡しと経費のもぎ取りを。」
   「…はぁ、……、…はぁあぃ!?」
   「運搬費用や袖の下で出費嵩んじまってよ~。」
   ごめんな~とニギニギしつつ笑うホルマジオ。
   「わわわ待って無理ですよぉいきなりそんな!」
   作戦に関わってすらねえのに交渉!オレがぁ?
   や関わった…のかな電話やパシリやメモでも。
   「動けるのはお前たちだけだが女将が不在だ。」
   兄貴に言われて気付いた暗示が掛けられねえ!
   「ソルベは「交渉向きじゃあない」…解るな?」
   自信皆無でもとても断れる話でなくなし崩し。




「そうなんだよなあ、ジェラートさえ居れば。」
汗を拭き拭き小声でぼやく、腹が減ったよぅ。
旦那は本体もスタンドも使い勝手良すぎてさ…
暗示で記憶を飛ばせる相手にしか会えねえの。
ツレの女将も使い勝手の権化の似たもん同士。
強制勧誘と暗殺未遂の二択、ハードな人生よ。
(疲れたかペッシ。)
ヘッドフォン通して聴こえるイケボが優しい。
「なは、ちょっと。ところで今どこですかい?」
(近くだ。)
近く?移動するバスん中だけど…まあいいや。
一応連絡はしたんだジェラート頭いいからな。
絶対なんかいいヒントか作戦くれる筈なんだ。
けどろくでもねえ電話番が間に入っちまって…




   (なんだか知らんがそっちでなんとかしろよ。)
   メローネが機嫌悪くなるのが電話越しに解る。
   (こっちはお楽し…いや忙しいとこなんだぞ。)
   「真面目に聞いてくださいよやべえんですよ。」
   某権威あるミスコンの結果を動かす任務中だ。
   色と金が絡む出来レース承知それでも動かす。
   不自然も証拠残しも絶対ご法度の鬼的難易度。
   なにしろ各国の同業連中が密接に絡んでいる。
   組織の賭博部門を稼がせる為の操作なのだが、
   その手の曲芸はジェラートの得意分野だった。
   メローネに関係者の関係者たちを探り出させ、
   暗示と行動予測を駆使し操作するこれが凄い。
   (操作してる横顔!解るか?クールにも程が♪)
   「つまりどうあっても電話は取り次がねえと。」
   (美女たちもいいがウチの女将…おい聞いて…)

                 …………はあ。

   呪い目で溜息ついて地球の裏との電話を切る。
   高い通話料無駄になっちまったもったいねえ。
   首を横に振ると皆はがっくりと肩を落とした。
   「ま、まあしょうがねえなあ…報酬が報酬だ。」
   「敵地で変態の子守つき、邪魔は酷だわなあ。」
   「なんせ作戦中の横顔マジたまんねーからよ。」
   会話が噛み合ってねえですが納得したんすね。
   なんで大将や兄ぃたちが電話しねえのかって?
   そりゃやっぱアレだろ…きまり悪ぃじゃんか。
   本拠地で小さいおっさん一人に…だもんよお。




…てな具合で女将の必殺技は発動しなかった。
技名は<なんとかする>っていうんだけどさ。
足痛えーっ…ずっと走りづめだったからよお…
今日は予定が立て込んでたんだよりによって…
あのスーツケースの相手は気の毒だったなあ…
いやろくでなしだけどさすがにアレはねえや…
その後もあれ届けろとかこれ訊きに行けとか…
オレしか表で動けねえんだから仕方ねえけど…
寝ちゃあダメだ寝過ごしたらおおごとだもん…
進まねえなと思ったら事故かよ…迷惑だなあ…
停留所あと2つ…ああ女将のメシが食いてえ…




   とりあえず腹は鳴ったんでメシだけ食わせた。
   「ハムに牛に干鱈に貝な、心得てるよお前は。」
   兄貴が慰めると旦那は少しほっとした顔した。
   タブー食材出して手がかり探るあたりさすが。
   「まだメジャー宗教が入ってねえ所の住人か。」
   ド金髪と大きい青い眼に近付かれてヒいてる。
   思い出したようにバンダナ?でマスクをする。
   なんか早口の小さい声の合間に舌打ちもする。
   質問しまくってるように見えるが言葉がなあ。
   「はん。…どうやらオレは嫌われてるようだ。」
   ムッとした顔で離れるとグレフルの傍へ行く。
   「おい。いいかげん引っ込めよ、疲れちまう。」
   たくさんある目玉がじとーっと主を見上げる。
   ビーズ蛇は首元へ首飾りみたく巻き付いてた。

   「スタンドにスト起こさせるスタンドとはな。」
   「めんどくせえ、本体ぶっ頃しゃ消えるだろ。」
   鬼畜メガネが痺れ切らしパキポキ指を鳴らす。
   見上げたおっさん早口の合間に盛んに舌打ち。
   「のヤロー…いい態度じゃあねーか首よこせ!」
   「ちょ、可哀想ですぜ、拉致られたカタギを、」
   「せーなどけよ!こちとら死活問題なんだよ!」
   ガルガルされたけど黒ずくめの壁が間に入る。
   「消えなかった場合の責任の取り方を聞こう。」
   大将の低音に表情が消え旦那の後ろへ隠れる。
   「怨念スタンドとやらもあるって聞くからな。」
   マジっすか!ホルマジオの情報網はすげえや!
   怖えなあ親衛隊のダチに教えてあげなくちゃ。
   「とにかく落ち着け。誰も助けてはくれんぞ。」
   という大将も女将がいればな~って顔してた。




あとひとつ…あとひとつ…くそう…睡魔めぇ…
昨夜は兄貴が旦那に絡んで遅くなっちまって…
ジェラート留守だと毎度あれだ既に恒例行事…
兄貴はお説教好きだし旦那は聞き上手だしよ…
なんで付き合ったんだろ逃げときゃよかった…
寝不足のとここんな状況だもんたまんねーな…
あの後アジトはさんざんな事になったんだが…
みんな大丈夫かなあ…マジなピンチじゃんよ…




   「だんだん身体が重くなってきた…のんびり出来ねえ。」
   手がかりがあるとすれば…と、兄貴が旦那の腕を掴む。
   おっさん撫でて生成したバングルスが手首に浮いてる。
   木のビーズみたいな素朴な…わりと綺麗かもしんねえ。
   「条件を見つけようぜ。なんでこれには影響ねえんだ?」
   ぐいぐい引っ張って蛇に近づけてみたらプイッされた。
   「プイッて。」
   「ちょ待てやぁ旦那いま何つった!今の言葉!も1回!」
   さすがギアッチョ変人だが賢い早くも手がかり発見か!
   「プイッて?」
   「ちがあぁうさっきの言い方じゃあねえとダメだあぁ!」
   「プイッて。」
   「くあああああかわいいいいいッ!もおおお1回イィ!」
   大将と旦那のツインパンチがアホメガネを吹き飛ばした。

   静かになったトコで仕切り直しだと兄貴が汗を拭った。
   みんなずいぶん顔色悪くなって肩で息ついたりしてる。
   「まずいぜ…見ろ、本体ノビてもスタンドが消えねえ。」
   空っぽの猫耳甲冑が体育座りのままこっちを見ている。
   「消してる間におっさん連れ出して貰えばと思ったが…」
   悲惨な状況でも兄貴は頭が回るなあ見習わなくちゃな。
   「気絶した程度では無理か…仮死状態ならどうだろう…」
   「ちょ…大将…なんでこっち見てそれを言うんだよぉ!」
   「連れて帰った当人で…試すのがスジ…と思わないか…」
   にじっと足を一歩踏み出す、冗談か本気かは判んねえ。
   「全然思わねえ許可しねえ痛えのはまっぴらごめんだ!」
   「心配するな…痛いのは起きた後…ほんのちょっぴり…」
   鏡に逃げ込みたくても能力封じられて手足と口が頼り。
   勝てる要素ねえ漸く事の重大性を心で理解したっぽい。
   「うわああちくしょうGGIオレの力を返せうわああ!」
   号泣掴みかかりの横面に鎮静ツインパンチが炸裂した。

   「さすがに仮死状態は勘弁しとけ…つかたぶん無駄だ…」
   マンミラもホワルバも本体の惨状無視ヌボーとしてる。
   また静かになったトコで兄貴が頭を振りながら続けた。
   「蛇はバングルスとビーチボは受けつけん…共通点は?」
   蛇の鼻先で針プラつかせてみたがやっぱプイッされる。
   「はは…両方とも心に邪念がねえからじゃあねえの~…」
   半ばヤケのホルマジオがリトフィと睨めっこし茶化す。
   「確かにそうだが…他が邪念まみれのように聞こえる…」
   言いながら肩組んでクイッと引き寄せる親友アピール。
   「ちょっと…待ってくれリゾット。それ…ビンゴかも…」
   それを逆サイドからクイッと引き剥がす賢友アピール。
   ああなんか解るわー鎮静剤みたいなんだよな旦那って。
   二人の間でされるがままでわりと可哀想なんだけどね。

                   「どういう意味だ…」
                   「だから…自我だ…」

   あ!、と、4人が顔を見合わせた、さすがオレの兄貴!
   「バングルスもビーチボも装備品型だ…自動性がねえ…」
   「待て待てホワルバ…どうなんだよ自動性…つっても…」
   指差された猫耳スーツがムッとした様子で頭を上げる。
   「のわ!睨んだっ!」
   なるほど、と大将が腰に手を当てホワルバを指差した。
   「この形態の時は…本体の補助を相当やってる筈…だ…」
   「そう…その為のAIみてえなもんだ…自動性はある…」
   「なる…ただのヨロイじゃあ重ぇし…動きの…妨げか…」
   息の荒い3人が納得し合う後でホワルバが親指立てた。
   ファンキーな自我をお持ちで…ご苦労多いっしょーね。




オレは大将の指示であっち出たりこっち行ったり…
 交渉は怖ぇんでグラサンで目ぇ隠してイヤホンで…
   ついて来た旦那の台詞をそのまんま棒読みしてた…
    交渉向かねえって意味すげえ解ったいきなり謝る…
    相手の都合聞いて譲歩しまくっていきなりキレる…
   キレたら怖えのなんの脅す脅す骨まで凍るぐらい…
 相手は終いは真っ青よ経費倍額上乗せして脱兎な…
逆に女将は口車が神ってると聞くがどんなんだよ…
同じ作業量で倍額むしり取る点じゃあ同じだけど…
 も…もうすぐ着く…ねむ…ね…寝ちゃあダメ…だ…
                  寝る…も…んか…

                     …ね…



   こっくりこっくり小さいおっさんは居眠りしてた。
   悪いヤツには見えねえよな…はた迷惑な力だけど。
   鉄拳で寝かされた二人はそのへんに転がしてある。
   「ひかひこう猛烈に腹が減りやがふと堪らねえは…」
   がふがふパニーノを噛みながらホルマジオが嘆く。
   「肉はおっさんだけかよソルベ物足りねえんだが…」
   「金曜だから買ってないあれしか残ってなかった。」
   「干鱈は嫌いかプロシュート…旨いじゃあないか…」
   「腹もちが悪…文句言ってるわけじゃあねえから!」
   セルフフォローに解ってると頷く旦那マジ癒し系。

   「そ…それはともかくこの消耗は…ヤバいと思う…」
   「アフォどもも起きねー…見ろよクマが出来てる…」
   転がされた二人は重病人みたいな顔になっていた。
   「そういや常在型のスタンドって小せえですよね。」
   女将のドリシアも噂に聞く銃弾の妖精ってやつも。
   「大きいとパワー使うからちっこい奴らなんすか。」
   「ああ…しかしコイツラの…出しっぱなしは相当…」
   メタリカも軍隊蟻の巣みたく固まると案外デカい。
   「腹減るし疲れるし…このうえ依頼でも来たらよ…」

   ホルマジオがそう言い掛けたとき着信音が響いた。

   ぎくぅッ、と全員がテーブルの大将の携帯を凝視。
   旦那がササッとそれを取りに行き大将に手渡した。
   無表情でぴっぴとメール確認する血の気が失せる。
   「…港でローマの残党が暴れてる…すぐに来いと…」
   「「「ちょ!?」」」
   みんな本体も充分強えけどスタンドから離れたら!
   消滅でもされたらいったいどうなるんだやべーよ!

                      …ぽむ。

   肩を叩かれ見上げた先で旦那がエプロンを外した。
   ここんとこ愛用の特注サムライソードを肩に担ぐ。
   「行くぞ相棒。」
   「にゃあぁあ!」
   待ってせめて心の準備ひ引っ張んないで嫌ああぁ!




   誓って言うがオレは兄貴と名ユニットになりてえの。
   女将が言ってた、兄貴のMAPと組めば最強だって。
   兄貴が状態異常起こす、オレがその外側から攻める。
   速攻精密ノーダメの一方的な必勝パターンになると。
   大将がオレを兄貴に任せたのはそれ期待してだって。
   そりゃそうなんだが旦那!何者なんだよあの人はよ!
   後が面倒なんで闘うトコ身内しか見せねえんだよね…
   だからオレ味方釣っちゃコンテナに放り込んだわけ…
   スタンド対決の巻き添え防止の為ってのがタテマエ…
   その後がイカレてたッ…ビーチボ使って空中戦すか!
   お前のセンスで吊って飛ばせ?完璧使いこなされた!
   飛ぶんだよビュンビュン!もともと動線三次元だが!
   まさかワイヤーアクションてやつリアルに拝むとか!
   「いいサポートだった。」
   いかついスタンド使い2人混じってたけどもう瞬殺!
   そのくせこれだギアッチョでなくてもヤラレますわ…
   「お、オレもっと強くなりてえっす…なれますかね…」
   「無論。プロシュートも俺も信じている。」
   半秒と置かずに超澄んだ眼で請合う!このノセ上手!




        (ペッシ!降りろ!ペッシ!!!!)
        「…んに…んあふぁ、…はあっ!?」

んぎゃああああ寝てたっ熟睡してたやべええええッ!
目の前でドアが閉まるバスが発車しちまったあああ!
「お…降ります降ろしてくだせえお願いしますうう!」
大声出したが周りの乗客が一斉に睨んで怒り出した。
「ただでさえ事故のせいで遅れまくりなんだがねぇ!」
たぶん同業のニィちゃんが前の席から怒鳴ってくる。
それこっちの客も待たしたって事だよマジヤバだよ!
「そうだそうだ、乗り過ごしたのはあんたの責任だ!」
「次で降りて引き返しなさいよ、当たり前でしょう!」
カタギの衆も正論ぶつけてくるよ運転手は無視だよ!
「すんませぇん今の停留所で人が待ってるんですぅ!」
あああ離れてくどうしようどうしよう兄貴助けてえ!


  と。
    ギキキキキキキキイィィィィィッ
          「どわああああああ!?」


急ブレーキで前へつんのめり運転席横まで腹で滑る!
バスん中は悲鳴の渦で大混乱辛うじて怪我人はナシ!
「な、なんだゴルァ!何が起きたまた事故かよーッ!」
帽子が吹っ飛んだ同業(推定)ニイちゃん怒鳴った!
いててと起きて、目ぇ剥いて固まってる運転手見て。
ガラスを見たら…喩えじゃあなく口ポカンとなった。

フロントガラスにお札がベッタベタと貼り付いてた。
な…何これ…どっから出た…周り家すらねえんだが…
(怪我は無いかペッシ。)
イヤフォンからすんげえ冷静なイケボが問いかける。
「えっあっ…ねえです一応…」
(そうか。この隙に下車を。)
「了解…。あのぅ…オレここでいいっす。降ろして…」
「あ…ハイ…」
運転手は呆然と追加料金も取らずキップ受け取った。
道が塞がってクラクションが響き次々車が避けてく。
すんげえ何もねえトコ…2kmぐらい…行き過ぎた? 

                    (走れ。)
                    「…は?」

頭の中が疑問符で一杯で虚脱とゆーか眩暈とゆーか。
何があった…ってかどこに居て何やったんすか旦那…
訊こうとしたトコで例の唐突キレイケボが絶叫した!
(受け子が撤収するぞ逃がすな全力以外許さんッ!!)
「鬼教官モードきたあぁ了解っすうわあぁあん!!!」
何もねえ郊外・向かい風…逆らう選択肢…あるかよ!




「は…はひ…任務完了っす…ペッシ…帰りましたっ…」
に…2km近くガチ全力疾走したぜレぬかと思った…
報酬無事受け取ったよ後なんでか買い物寄らされた…
初めて行く店だオレ行くしかねえ暗示かけられねえ…
蜂蜜にレモンにワイン?行きよかリュック重てえよ…
やっとアジト帰れたよやっと休めるよ兄貴ぃ兄貴ぃ…
フラっフラんなってミーティングルームのドア開け…
「ギャアアアちょっとどうしたんすかみんなあああ!」

土気色の顔になったみんなで部屋は死屍累々だった。

「あ…ああ二人とも…無事だった…か。よかっ…た…」
「兄貴ーっ!美形キャラの死に際じゃああるまいし!」
旦那がササッと蜂蜜湯こさえ抱き起こして飲ませる。
そ、それ用の蜂蜜ぅ?さすがヒーラー保健室の先生…
無駄にエロく震える唇が飲むとふーっと大息ついた。
「た…助かったぜ…消耗がだんだん速まっちまって…」
「消化吸収が追いつかないようだな。それで進展は?」
「あった…さ。あの後…、」




   同じに起きてるなら体積?ある方が消耗するらしい。
   必死で食べても体力が保ちきれないのに気付き焦る。
   「だ…だめっぽい…んだが、もう起きて…られねぇ…」
   ホルマジオがぐらぐらし始めソファーに崩れ落ちた。
   「ホルマジオ!しっかりしろ眠るとレぬぞ起きろっ!」
   2人眠らせたくせに揺するが時既に遅く完全に白目。
   「や、やべえ…考えなくちゃあいけねえのにオレも…」
   「プロシュート!なんてことだ…くそ…頭が回らん…」
   兄貴が倒れそうになったとこで大将の電話が鳴った。

   (リゾットー?朝方連絡したよねえ?なんかあった?)
   「「じぇ…ジェラートおおおおおおお!!!♪♪♪」」
   2人の雄たけびで寝てたおっさん驚いて飛び起きた。


   (メローネの様子が怪しいんでくすぐったんだけど。)
   仕置だか褒美だかの拷問で握り潰しがバレたらしい。
   (話はだいたい聞いた。小柄で舌打ちする人だって?)
   息だけで囁く声が笑ってたんで大将ホワアァと笑顔。
   (で、操作されたのは自我のあるコだけ…だよねえ?)
   やっぱ兄貴はすげえや目の付け所は正しかったんだ。
   (それさたぶん「いわゆる」スタンドじゃあないよ。)
   「…そ…そうなのか?なぜそう思う…それに目的は…」
   相棒に対策は伝えるから寝てなよ♪と電話は切れた。
   まんま最後2人もぱったり倒れてあの地獄絵図っと。




      ★ ★ ★ ★ ★




ざっしゃざっしゃくるくる、すーーいすーーい♪
冬の陽が降り注ぐ屋上でホワルバがフィギュア。
「…そろそろなんじゃあねーか、満足そうだぜ。」
半眼で蜂蜜レモンふーふーしながら兄貴が言う。
明るいお日様の下でビーズ蛇がフワァと光った。
きらきらきらーーと光の粒になって消えていく。
「う…うーーん…、…あれ??」
「喜べギアッチョ、お前のホワルバが戻ったぞ。」
蜂蜜たっぷりホットワイン渡されて大将が乾杯。
毛布の上に寝かされてたギアッチョが起きると、
猫耳甲冑が満足げに水になり中からメタリカが。
人型に固まったメタリカからも蛇が光って消え、
大将の身体に吸い込まれて場は人だけになった。
「はぁ旨ぇペッシおかわり!グリッシーニもな!」
「動いてくださいよオレだってヘトヘトっすよ!」
蜂蜜って吸収が速えんだね身体に沁みる感じよ。
「点滴が早えが今月は医療費に回す金ねーから。」
「変態がまたやらかしたからな幹部の娘によお。」
お手手ペロペロの悪癖は治らねえもんですかね…

とんとことんとこ楽しげな太鼓の音が響いてる。
もっふもふに厚着したおっさんの声も響いてる。
元気が出たんだなあよく通るいい声してやんの。
不思議なリズムの間に舌を鳴らす音が混じった。
「舌打ちじゃあなくああいう音を含む言語…か。」
クスと微笑んだ兄貴が大将の電話を取り上げる。
「女将は博識だな。礼の電話はいい経費考えろ。」
「うるさい。…いい、後で自分の電話で掛ける。」
処置なしのご執心に回復したみんな大笑いした。
(シャーマン的な人だと思う、たぶん南半球の。)
昔はアフリカ全土に住んでた人たちの言語だと。
南下した大柄な人たちに押されて少なくなった。
とても旧い人類の特徴を伝える人たちなんだと。
(視えないものを招いて意思を聴く役割の人さ。)
スタンドに限らず視えなくても居る者との仲介。
おっさんと「蛇」はそんな役割なんだろうって。
スタンドたちもおっさんに招かれて傍に現れた。
招いて意思や望みを聞く筈が、祭器が無かった。
ツレの指示で旦那が記憶から探し速攻で作った。
樹と革の小さな楽器、記憶の中と同じ音のやつ。
蛇は太陽神の化身の一つなんで屋上へ出ろとも。
ボロのエレベーター直ってる時でああ良かった。
自我のある分身たちの「望み」がそれで知れた。
言葉じゃあなく、本体にイメージで伝えてきた。

マンミラは鏡に囲まれてみたかったんだってさ。
  丸く並べた鏡を行き来しはしゃぎ回って消えた。
グレフルは二本の足で歩いてみたかったらしい。
  メタリカが下半身を演じて踊って走ると消えた。
リトフィは一度でっかくなってみたかったとか。
  メタリカが凸面鏡こさえて映すと喜んで消えた。
ホワルバは本体の補助の他で暴れてみたかった。
メタリカは自分たちで身体動かしてみたかった。
  ちょうど良く望みを叶え合い滑り回って消えた。
一度きり、望みを叶えみんな元どおりに戻った。
  やっぱ大将は偉大だぜメタリカ有能過ぎじゃん。


「で、おっさんどうすんだよ故郷は判んねーぜ?」
蜂蜜湯片手に棒パン噛み砕くギアッチョが訊く。
「ああ心配ねえ買い手は限られるらしいんでな。」
他の「商品」とは明確に違うトコから攫われた、
攫わせて買うとしたら彼らの研究者しかないと。
該当者の数は多くないから戻ったら突き止める、
締め上げて現地まで送っていく暗示を叩き込む。
ジェラートはそう請合い息だけの囁きで笑った。
それまで匿ってあげてよもう心配ないからねと。
免疫の関係でマスク必須、人ごみもダメだよと。
向こうの大仕事もうまくいった明後日帰るって。




一仕事したおっさんに旦那が蜂蜜湯を勧めてる。
おっさん上機嫌で飲んでさかんに何か訊いてる。
手すりについてる飾りもんが気になるらしいな。
言葉通じなくても旦那はやっぱ聞き上手なんだ。
ぱんぱん肩叩かれてハグとかされてお気に入り。
「しかしジェラートはなんでまたそんな知識が?」
兄貴が訊くと大将がワイン飲み干して空を見た。
「スタンドについて深く調べてた時期があった。
 前いた所には図書館もネットも無かったんだ。
 その一環で視えざるものの事も調べたらしい。
 最古の祭司に興味を持っても不思議は無いさ。
 そのシャーマンと同じくあれらも異邦の者だ。
 覚束なさを薄める為には識ること…たぶんな。」
ふうん…、と、兄貴はそれ以上は訊かなかった。

「それはそうとペッシよ、今日は世話になった。」
「えっ…ええ、そそそそんな…」
ちょ、なに急に、みんな一斉にこっち見たああ!
オレしか動けなかったんだもん仕方ねえですよ…
「ああずいぶん無理を聞かせた、すまなかった。」
両側から兄貴と大将に肩組まれた心臓止まるゥ!
「おお、見直したぜなかなかやるじゃんペッシ!」
「オレ様の後始末とか貴重な体験だぜ感謝しな!」
「てめえオレ差し置いて旦那と仲良くケンカか!」
もみくちゃこづき回される!わぁやめてやめて!
ひーっと旦那の後ろへ走ってって隠れた痛ぇよ!
「よく頑張った、相棒。」
すかさず頭ポムポムされたらもう茹っちまった。
旦那あの時バスのトランクルーム入ってたとか…
開閉センサーとロック壊して…ニンジャっすわ…
札束のトラップは常に持ち歩いてるとか何とか。
フロントガラスの上へ貼り付けてたんだってさ。
もちろんニセだが騒ぎ起こすには一番いいとか。
オレが走るの見守りながら木立の中を伴走とか!
「おいおい、乗り換えたくなったのかよペッシ?」
兄貴が少し乱れた前髪かき上げながらからかう。
「なワケねえや旦那はオレには早えですよおー!」

みんな爆笑しオレもおっさんもつられて笑った。
見渡す屋上の光景はまるっきり冬のハイキング!





2日経ってジェラートとメローネが帰ってきた。
巨大ミスコンの番狂わせで賭博部門は大儲けよ!
ピンハネひでえがそれでも報酬は桁違いに多い。
分け前も嬉しいが女将のメシはもっと嬉しいや。
女将の隣で幸せそうに働いてる旦那見るのもね。
うん、やっぱ旦那には女将、オレには兄貴だよ。


2人して屋上でおっさんに対面したんだってさ。
女将のちびの分身はどんな望みを叶えたんだろ?
菓子でもおごって訊いてみよう絶対カワイイぜ♪









(完)








軽いのと重いの二本書いて軽い方にしました。
チーム円熟しまくり時代のオンオフはきっと…
オフ時の落差すんごかったのではないかなと。
敵だと認識してないからブッたるんでるの図。
やっぱソルベさんは日本刀が似合うと思うっ。
ペッシくんの能力見れば見るほど美味しいし。

書き終わってしまうとやっぱり寂しいけれど。
キリが良いので実験レポはここで〆とします。
読んでくださった方ありがとうございました。
また別ジャンルで他の場で何か書こうかなあ。








笑って終わりたい方はここまでで。
全部を読んでくださった方どうぞ。






まれびとと-A-風吹く間際





優しい声が聞こえた気がした。
いつも聞いてた声だと思った。



獣のオレは人にしてもらった。
戦える強いモノにも育ててもらった。

賢いことと思い遣るってこと。
アンタらを知るまで解んなかったね。

お袋を想っていていいんだと。
化け物の俺だがアンタたちは赦した。

お前たちは安堵の象徴だった。
その無私の有りように甘ったれてた。

優しい勘違いをさせてくれた。
掃きだめの蟲に護れるものがあると。

可愛いピエタと律儀な使い魔。
亡くした宝の代わりを演じてくれた。

なんでかな思い出せねえんだ。
思い出せねえのに忘れられもしねえ。



ありがとうすまなかったありがとう。



オレたちはもう死ぬことはできない。
看取る眼差しを両手を声を手放した。
死ぬという人の特権はもう手放した。
モノのように壊れて消えてゆくのみ。

優しい声が聞こえる気がする。
在って当たり前だったその声。

杯を干せもう頭を垂れ続けはしない。
まれびとたちと在った誇りを今こそ。




ソシテ、モノガタリノハジマリヘト


















(シリーズ完)














まれびと:異郷からの来訪神、転じ異郷からの客人。
     福を呼ぶと考えられ、歓待を受けて去る。

B=BEFORE、A=AFTER
まれびとの歓待と、家族と、祝宴と、乾杯つながり。






ここまで読んでくださってありがとうございました。



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