ナッキー(ケーシー高峰)の屁理屈。

優秀なMCは「立場」を与える~なすなかにし那須さんから学んだMCの心得

2016/12/25 16:06 投稿

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長らく素人のくせに芸能評論の真似事をしていて、色んな喋りを商売にする方々を見続けてきたのだが、つい先日漫才コンビ「なすなかにし」の那須さんがPSO2の番組内フリートークで実に核心を突く言葉を発してくれた。



それは「我々の仕事って、一人ひとりに”立場”を作ること」というものだ。

那須さんのこの言葉で、私がおぼろげに考えていたものが繋がっていった。
芸のあり方というのは明確な答えが決っている訳ではないだが、私にとって優秀なMCとは、「自身および共演者の魅力を引き出す」事が出来る人だと考えている。

自分の魅力だけ引き出す事は、ある程度の芸人は出来ている。ネタ番組で面白いネタを披露できる人は、おおむねその条件を満たしている。

だが、これが「共演者も含め」になると随分と人数が振り落とされていく。皆さんの中でも、「ネタは面白いはフリートークは…」という芸人さんに心当たりは無いだろうか、そういう芸人さんはまだMCスキルが備わっておらず、自分のキャラだけを引き出す事に終始する。そして新しいネタやキャラが無ければ、結果的に飽きられて一発屋扱いにされる。そういう芸人さんが再ブレイクにするにはMC力をつけるか、かつてウケたネタの価値が戻るまで、つまり「飽きるのに飽きた」日まで待つ必要がある。

話を「共演者の魅力を引き出す」に戻そう。

ここで問題になるのが、「共演者の魅力」=「実力」なのかという事だ。元から面白い所がある人の、あまり世間に気づかれていない部分を引き出すのが実力なのか?だとすれば、そもそも実力の無いタレントは魅力を引き出しようが無いという事になってしまう。

だが、かつて島田紳助さんが芸人として別に卓越した話術がある訳では無いタレントさんを続々と引っ張り上げていった様に、現実として魅力が引き出されていったタレントは数多く存在するのだ。

ここで那須さんの「一人ひとりに”立場”を作る」という言葉が見事にハマった。そうか、「立場」なのだ。スキルを引き出すというより、その現場現場において、その人が果たすべき立場を作り出す事で、その人はその場における存在意義を獲得する。そうなればMCも演者も誰も損をしない。こうしてWIN-WINな現場関係が作られるのである。

この「立場論」を絵に書いた様に実証していたのが、ニコ生でやっている「電人☆ゲッチャ!」という番組に半ばレギュラー出演しているセガの「カリスマ宇野さん」である。

宇野さんはセガの広報なのだが、絵に書いた様なサラリーマン的ビジュアルで、失礼だが超絶イケメンな訳ではない。「広報」というと漠然とオシャレな格好していかにも業界人的な空気出してるイメージも個人的にはあったりするが、そんな匂いも全くない。「カフェでランチ」より「吉牛で昼飯」の方が似合いそうな、人の良さそうなおじさまである。

そんな彼が、気がつけばアイドルとして持ち上げられ、今ではテロップで普通に「カリスマ宇野」と表示される状態にまでなった。常連視聴者は宇野さんの出番前に「う・・・」と待機し、出演と同時に「うのさああああああん」と弾幕を発射するのが儀式になっている。

こうなったのは、宇野さんに卓越した話術があったからではない。スタッフ・演者が見事な連携で宇野さんのキャラクターの魅力となる所を引き出し、宇野さんに立場を与えたからである。こうして宇野さんはゲッチャにおいてアイドルと化したのである。

こう考えるとゲーム実況やネットタレント業界の状況も理解がしやすい。人気実況者・ネットタレントの大半が卓越したMCスキルを持っている訳ではないが、それ相応の立場を獲得している人はそれなりにいる。

そして、その立場は「特定の共演者」とだけうまく成立する事が多い。グループ実況者であれば、おそらくその仲間達とやっている時が一番そうだろうし、逆に全く仲間がいない現場であれば、ひょっとしたら「らしくない」雰囲気に映っているかもしれない。ネットで時折「公式に出るようになって面白く無くなった」という評価をする方がいるが、それはそういう状況があるからなのかもしれない(勿論ただのアンチコメな事も多そうだが)。そしてゲーム実況者やネットタレントの活動範囲がなかなか拡大しないのは、もしかしたらそういった「通用する範囲」の狭さが関係しているのかもしれない。

なお共演者が多ければ多いほど、必要とされるMCスキルは高くなる。よくあるのが、「特定の出演者ばかりイジる」パターンだ。確かにその出演者をイジる事によって面白くはなるのだが、結果的にそれは他の共演者を切り捨ててしまう事になりかねない。実力があってなんぼ、それが芸能の仕事ってもんだろうと言われればそれまでだが、出演者の大半が芸能事務所が雇っている「商品」である事を考えれば、多くの人に立場を与えていくのは、結果的に芸能事務所側から「共演させたいMC」と思われる筈なので、そのMCにとってもプラスになる様な気がするのだ。

この「立場論」は芸能の仕事だけじゃなく、日常のコミュニケーションにも応用出来ると私は思う。実際昔、ある職場で後輩にそのような役割を明確にして接した事があったのだが、それなりに居やすい職場だったと後日褒めてくれた事がある。やはり人は「立場」が、「ここに居て良い理由」があると安心する生き物なのかもしれない。

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