「舞奏披・ワクワク超パーリィ(櫛魂衆・闇夜衆)」
比鷺
「ついに来たー! 俺の夢の舞台であり、全実況者憧れの地! ワクワク超パーリィ! えー、ほんとに俺が来ちゃっていいの? でも、みんな俺達を待っててくれたんだもんね! ちょー嬉しい! 俺の舞奏競はここで終わりでいいです!」
遠流
「いいわけないだろ。お前は何の為に今までやってきたんだ? このままだと、この会場がお前の墓場になるが」
比鷺
「ド直球の脅迫やめて! いいじゃんこんくらい浮かれたって……」
三言
「そうだぞ! だって、今日はみんなが大好きなワクワク超パーリィなんだからな! まさかこんな場所で舞奏が出来るなんて思わなかった! 観囃子のみんな! 見えてるか? 俺達が相模國舞奏衆、櫛魂衆だ! 存分に歓心を寄せてくれ!」
皋
「おっと、そこまでだ六原。なんせ、ここには俺達もいるんだからな。麗しき観囃子の皆々様! 待ちかねたか? 俺達が武蔵國舞奏衆、闇夜衆だ!」
昏見
「きゃー、流石リーダー! 格好良いですね! いつものうぇっ!? みたいなやつ、今日は言わないんですか?」
皋
「それ俺の真似か? 二度とすんなよ」
萬燈
「なかなか上手いもんだったけどな」
皋
「だから嫌なんだよ」
昏見
「さあ改めまして! 観囃子の皆さん、こんばんは。ここで会ったが百年目ですね」
皋
「それ観囃子じゃなくて俺相手に言うやつだろ」
昏見
「えっこれ所縁くんへの専用台詞だったんですか!? 知りませんでした! すいません! 気が利かなくて! 大丈夫ですよ! もう君以外には言いませんから」
皋
「お前は俺を弄り倒さないと死ぬ病気にでもかかってんのか?」
遠流
「闇夜衆さんは相変わらずのほほんとしていますね。どんな状況下でも緊張しなさそうで羨ましいです」
萬燈
「そのことを美徳だと思ってるからこそ、お前はそうして突っかかってくるんだろ? お前の気負いは観客にも伝わるぞ。緊張を見せるな。これから長くエンターテインメントの世界に身を置くお前へのアドバイスだ」
遠流
「ご忠告ありがとうございます。心の底に鍵を掛けてしまっておきますね」
三言
「その点、比鷺は完璧だな! 緊張してなさそうだし、楽しんでもいるしな!」
比鷺
「いや、うん、はい……」
萬燈
「おい。楽しんでるはずのやつが随分萎えてるように見えるが。今度は何でご機嫌斜めなんだ?」
比鷺
「だってだって、冷静になったら全然楽しめない気がしてきたんだもん……俺は天才実況者として来たかったわけで覡として来たかったわけじゃないし」
遠流
「お前が実況者としてここに呼ばれることはないだろ。僕ならまだ若手トップアイドルとして呼んで貰える目があるけど」
比鷺
「さりげなく自慢すんなよ!」
昏見
「楽しむべきというのは同感ですけどね。今日という日の花を摘め。今このかけがえのない舞台を楽しむことこそ、私達に出来る至上のことでしょう?」
皋
「まあ、楽しむっていうならこの場で六原に敵うやつはいなさそうだけど」
三言
「俺ですか?」
皋
「だってお前、舞奏で誰かを楽しませるの好きだろ?」
三言
「……確かにその通りですね。俺はこの舞台にみんなで立てて嬉しいし、楽しい! この楽しさをみんなに伝えたい!」
萬燈
「なら、その感情は俺達に相応しいもんで伝えねえとな。俺の指しているものが何かは分かってるだろ? 六原」
三言
「ええ、勿論。舞奏ですよね。見ていてください、観囃子の皆さん。俺は何よりも雄弁に伝えてみせます。ここに立てた喜びを、そして、そこにいるあなたへの感謝を!」
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著:斜線堂有紀
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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