「JRDB鈴木永人・Nさんの日記」

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菊池:JRDB鈴木永人さんによる競馬日記です。今週もよろしくお願いします。

鈴木:はい、よろしく。

菊池:先週から福島開催が始まりました。
   東京でも先週は気温が下がりました。福島は寒かったんじゃないですか?
 

鈴木:確かに寒かったんだけど、新潟で懲りたので、
   フリースにダウンコート着て完全に冬装備。
   ただ福島のパドックは囲われてるから風も吹きこんで来ないし、
   そんな寒くなかったけどネ。

菊池:それは良かった。皮下脂肪の少ないNさんなので心配していました()
   あと2週ありますが、現時点で手応えを得ている条件があれば聞いておきたいですね!

鈴木:ダートも芝も短距離戦でしょ。
   一番の差はコーナー4つの競馬は展開を考えないと当たんないよナ。
   さらに小回りなので機動力があって動けるとか動けないとか。

菊池:まさに!
   福島の予想は他場に比べてもそこが重要だし、イメージしやすいとも思いますが。

鈴木:まぁどこでも重要だけどね。
   ただ、そうすると想像できる結果の幅が結構広いと思う。
   そうするとパドックのデキの良さと結果が連動するか?
   と言われたら「難しい」と答えるでしょ。
 

菊池:そうですね。あまりパドックにこだわりすぎると陥る罠があると思います。

鈴木:その点、短距離戦は、展開はほとんど考えなくていい。
   というか、馬見りゃ速いか、遅いか、は分かるから、
   あとはモノとデキを見て展開順に考えていけば当たるでしょ。

菊池:馬体診断のアドバンテージが大きい条件だと。

鈴木:あと考えなきゃならないのは枠くらい。
   やってる競馬が単純な方が馬体を見ての判断と結果がダイレクトになる、
   のはどこの競馬場も同じだと思う。

菊池:ほうほう。

鈴木:ただし「短距離戦(コーナー2つの競馬)で当たらない」ということは
   その担当者が「状況を見えてない」ということだから、
   その時はパドック評価なんか無視でいいと思う。
   自分のイメージ通りに馬券組む方がナンボかマシだろうから。
 

菊池:状況によっては、そういう使い方もアリということですね。
   福島は1日の半分(5クラ以上)は1150mと1200mをやってくれますから、
   判断材料のレースも複数あるし。

鈴木:そういうことだね。
   もちろん、パドック点の割り振りやコメントで示せる部分もあるし、
   最大限に伝える努力はするけどね。

■:『緊急討論!?』
  パドック点について考えよう!のページ

菊池:パドック点といえば、先週日曜日のきんもくせい特別では、
   マツリダバッハにパドック点「3.8」が入りました。
   ただし伸びきれず5着に敗れました。

鈴木:そうね。パドックでは素晴らしいと思ったけど。

菊池:ムーンレディ産駒らしい、見映えばかりするタイプ?ってことはないですかね。

鈴木:見栄えはするし、叩かれて完全に仕上がったというデキだと思う。
   けどバネが全然無かった(苦笑)

菊池:と、言いますと?

鈴木:ディープ産駒は直線で弾けて瞬発力を発揮できるから
   競走馬としての価値が高いのであって、スローで外回る競馬でロスは響いたけど
   「飛べない」というのはこの馬の資質の無さでしょ。
   だから福島の裏番組に回ってきたんだよナ…。

菊池:そうですね。実に怪しい番組選択でした。

鈴木:気づけよ、オレ!っていう気持ちだね。

菊池:放送では特に触れていなかったのですが、「3.8」が飛び、
   パドック無印ワン・ツーだっただけに、放送上もコメント欄がざわつきました。
   この場で、鈴木さんの弁明が聞ければと思いまして。一言お願いします。

鈴木:弁明なんてしないよ。少頭数のスローのヨーイドンは分かっていたことだけど、
   その競馬に対して馬を見たイメージと結果が違っていたということ。
   裏番組でこちらが思ってた以上に馬の能力の「差」がかなり小さかった、
   ということをオレも世間も見間違えたということだよ。

菊池:そういうことになりますね。展開は“予想”できても、
   実際に起こるかはまた別の話になりますし。
   分かりやすい例でいうと、先の天皇賞は
   “エイシンヒカリが平均ペースくらいで逃げる”と読んだ人が
   恐らく最も多かったけど、蓋を開ければクラレントの逃げでスロー。
   エイシンヒカリの2番手を予想した人は少数派だったでしょうね。

鈴木:まぁな。それから、コーナー4つの競馬は、
   馬を見ても展開と結果をイメージするのが難しいことも多々あるということ。

菊池:あ、エイシンヒカリじゃなくてコーナー4つの例がよかったか。
   まぁでもいくらでもそういうことは起こるということですね。

鈴木:「3.8」はパドックで馬を見比べて完成度もデキも抜けている、
   と感じたから打った訳で、それが結果に結び付かなかっただけ。
   でも「3.8」が6割以上勝つなら蔵が立つって。

菊池:そうですね。あくまで、担当者が完成度もデキも抜けていると判断した数字であり、
   イコール結果ではないと。
   このあたりは、放送をやっている僕らのやり方にも問題があったかもしれません。
   安易に「パドック当たった」とか言うから。
   赤木さんにも注意されるんですけどね。
   「パドック印で決まったあとに、電話でヤーヤー言うな」と。
 

鈴木:そりゃそうだ。

菊池:このあたりのさじ加減は難しいのですが、
   そもそも僕たちがパドチョク視聴者にJRDBデータの見方を
   正しく伝えられていないということでもあると思います。

鈴木:オレが言いたいことは「競馬を単純化して見過ぎだろ」ということ。
   それは、菊池くんも安井くんも放送を見ている人も。

菊池:はい。もちろん簡単に当たる方がいいですし、簡単な方が売るのも楽ですから。
   でも、競馬はそんなに簡単じゃないですから。

鈴木:「3.8」を打つことで、競馬を総合的に見れなくなるんだったら
   全部「3.6」で統一しようか?そしたらパドックに振り回されなくなるだろ?

菊池:「3.8」は珍しいですから、やはりちょっと沸きますよね。
   当然、競馬なので負けることもあるとは重々理解していますが。

鈴木:そもそもパドック◎なんて一日2、3頭くらい勝てば十分だと思ってる。
   だからそれを前提とした馬券を選択して買ってる。
   だから1つのレースで「絶対勝つ」みたいな評価なんていらない。
   というか、絶対勝つなら他所からカネ借りてきて、全部突っ込むだろ()

菊池:やっちゃいけない典型例ですね。

鈴木:当然だよ。そんなことで馬券は儲かる訳ないんだヨ。神様じゃないんだから。

菊池:そうですね、その人の欲にまみれた行動にバチが当たってハズれるパターンです。

鈴木:お前さんも昔、大金突っ込んで痛い目に遭った話してたっけ。

菊池:はい(汗)。05年の秋華賞でラインクラフト-エアメサイアの馬連が
   2倍を切りそうだったので「これじゃ50万張っても50万も勝てない!」って言って
   ライン→エアの馬単にブチ込んで、ゴール前の映像を見て渋谷のウインズで
   ホワイトアウトしました。

鈴木:失禁モノだな()

菊池:幸い失禁はしてなかったですが、
   大負けした時のカイジみたいにはなっていたと思います(苦笑)。

鈴木:ユラユラユラ~のやつな()

菊池:そう、それです。涙とアタマが真っ白で世界が歪んで見えるような…。
   まぁ、本人はほとんど覚えていません。若気の至りというやつです(苦笑)

鈴木:今回の例に戻すと、きんもくせい特別で言えば1~3番人気の順に印を打っていて、
   少頭数だからオッズは格安。馬券の対象にするなら順目の3連単2点くらい?
   それ以上勝ったら儲けが出ないし、それを買うか、買わないか?
   くらいの判断のネタしかオレはには無かったということ。

菊池:その人がいくら儲けたいかによりますが、
   ある程度張らなきゃ儲けは出ないレースか。

鈴木:それだけ世間とのギャップやアドバンテージが無いレース。
   ここで大枚で勝負!みたいなことはしないな。
   少なくともオレが馬券で儲ける方法論からは外れてる。ん?最後は話がズレたな()

菊池:まぁまぁ。良い機会なので、ここでパドック点の成績を集計してみました。

鈴木:やめてよ、この年になって通信簿を公開するようなマネ()

菊池:出しました()。集計対象期間は20121月1日~201511月1日終了次点です。

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菊池:あ、関西は「3.3」が最も件数が多く、僕の集計作業が面倒なので割愛しました。

鈴木:こらこらサボるなよ()

菊池:まぁでも、最近は毎週放送内で発表していますし! 
   
さて、パドック指数ですが、原則的に複勝率は点数の上昇と比例していますね。

鈴木:だいたい想像通りの数字だな。
   ただ
3.7以上はサンプル数が少ないから、この数字自体が今後も続くとは思えない。
   
3.7以上の配当を全部足して総件数で割れば単勝回収率は
   ちゃんとマイナスになるでしょ。

菊池:単勝だけを買い続けるとそうなりますね。

鈴木:だから
3.7以上のパドック点というのは「馬はいいんだよ」という
   現場の担当者の思い入れが強いんだな、くらいで考えときゃいいと思うよ。
   それで馬券でどうこうしようとするのはまた別の話さ。

菊池:なるほど。

鈴木:たとえば競馬BroadViewの「厳選最有力」の単勝率51%あるし、
   連対率も67%ある。出現率も遙かに多い。
   馬券で使うならデータでハッキリ出てるものの方がアテになるよ。
   パドックはむしろ逆の方向というか、データとか成績とか、
   そういう裏付けはなくて、でも現場からはこの馬を推したい、
   という馬を表現できた時に「仕事をした」感があるんだよ。

菊池:そういうものですか。

鈴木:
今週の福島で言えば1日目7Rの▲キャメロンロード(9番人気3着)とか、
   2日目2Rの○ラズールリッキー(7番人気1着)や
   注レアドロップ(8番人気2着)とか。
   いずれもデータや馬柱からは買い材料がほとんどない馬。
   でもパドックからは他の人気馬を差し置いても強調したい材料がある。

菊池:それらの集積になっているのが、今無料公開中のbroadviewですね。

鈴木:特に2日目の2Rは馬連
19,810円の万馬券。
   オレは3連複も獲ったので、この日は楽勝だったもの。
   パドックでしか分からないから人気がない。
   人気がないけど走る可能性がある馬なので馬券を買う。
   これほど世間とギャップがあるものってないだろ。

菊池:ローリスクでそういう馬券を狙うのが常套手段ですね。

鈴木:もちろん多くは人気馬の中での上げ下げ的なものがほとんどだし
   (つまりそんなに人気薄で魅力のある馬なんてゴロゴロいない)、
   その判断がパドックの仕事の半分ではあるんだけどサ。

菊池:そういう馬を、どんな切り口から探すかってことが命題ですからね。

鈴木:それぞれの点数に含まれたパドック担当者のメッセージというのがあると思うので、
   それを受け取った時に自分の予想に活かすのか、あるいは使わないのか、
   ということなんだと思う。
   自分の予想も無し、解釈もなしでパドックに丸乗りなんて論外だからな。

菊池:はい!そのあたりをしっかり伝えられるように、我々も襟を正します。
   では、長くなりましたが、いつもどおりにストックホースのコーナーへ。

■:『ストックホース』のページ

~パドックから見た、今後条件付きで狙える馬~
菊池:週ごとに、鈴木さんがパドックで見た馬の中で、
   今後条件が合えば活躍できそうな馬
   まずは、ここから聞いていきましょう。