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東方×ウルトラセブン side story3「密談」

2020/01/06 01:11 投稿

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  • 幻想入り


※本作は以前に小説投稿サイト「ハーメルン」に投稿した小説になります。
コチラのブロマガに投稿し忘れていたので投稿します。
Twitterで告知していた新作はこの後に投稿します。

<他話リンクはコチラ>
side story1→https://ch.nicovideo.jp/izumisyuuta/blomaga/ar1665976
side story2→https://ch.nicovideo.jp/izumisyuuta/blomaga/ar1718980

東方×ウルトラセブン第4話の外伝エピソードその2となります。

東方セブン4話のネタバレを含みます。
そのため、動画を視聴してから本文を読むことをおススメします。




本来は動画版4話のラストに挿入する予定でしたが、
登場人物の動きが少なく、冗長な展開になってしまうことや、
動画時間の都合などでカットした部分になります。


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「出ていきなさい!!」


「……わかった」


障子が開く音の後に、ゆっくりと畳を踏みしめる足音が聞こえ、
障子の閉じる音が響く。


足音が遠ざかっていく。

音が消えると、代わりにすすり泣く声が響く。



「何よ、何よ……。

 私は博麗の巫女なの……。

 こんなことで負けてらんないのよ……ううっ……」







襖を一枚隔てた先の廊下。

廊下の襖の傍に立っていた者が、ひっそりと耳をそばだて、神妙な顔をしていた。

茨木華扇。

彼女はここでの一部始終のやり取りを聞いていたようだった。

彼女は一通りの事が終わったと察すると、
踵を返し、その場を後にしようと静かに廊下を進む。

大きな音を出さぬよう、慎重に足を進める。
彼女は俯きながら、今度のことについて思案しているようだった。

しかし、そのおかげで正面に現れた珍客に気づけなかった。



「困ったものよね。
 ーーーー天才というのも」



華扇は驚いて顔を上げる。

声を上げそうになるが、それは正面の何者かに口を塞がれたことによって防がれた。

口から手をどかすと、華扇は正面の相手を見つめる。

暗闇に眼を慣らすと、金髪の少女が微笑みながら、
突き立てた人差し指を唇に宛がっているのが見えた。


「 八雲紫……」


華扇が小声で正面の相手に呟く。

名を呼ばれた少女はゆっくり唇から人差し指を下ろすと、
離れた襖の向こうに目を配り、伏し目がちに独演を始める。


「彼女は恐ろしい才能の持ち主……。
 故にこれまで真の敗北というものを、味わって来なかった。
 
 だから、いざそれに直面した時、とても脆い……。
 彼女は今、とても困惑しているのね、初めて直面する挫折に」


八雲紫の独演が終わった後、

突然の来客から落ち着きを取り戻した華扇は、
少しの間難しい顔で思案した後、意を決し彼女に質問を投げかける。


「ところで妖怪の賢者さん、
 貴女に聞きたいことがあるの」

「何かしら?」


「単刀直入に質問するわ。
これまでに異変を起こしているのは妖怪ではなく、宇宙人。そうよね。」

「ええ、そうよ」


紫は数秒間思案した後に返答した。


「そしてあの青年、ウルトラセブンとかいう巨人の正体も宇宙人、よね?」

「……あら、気がついたのね」


華扇は意を決して問い掛ける。
紫は表情一つ変えないが、その視線が次第に厳しくなる感覚を華扇は感じた。


「貴女が彼を連れてきた」

「ええ」

「何故宇宙人を幻想郷へ?」

「妖怪の能力が宇宙人に通用しないかもしれない。これはご存知?」

「初耳です」


突然の紫の発言に、華扇は一瞬目を丸くする。


「それに宇宙人は私たちの想像を超えるような力を持っている。
 さらにその力は私たちが忌み嫌っている科学力、相性が悪すぎるわ」


すると紫の背面に空間のスキマが現れ、紫は一瞥することなくそこに腰かけて続ける。


「彼らに対抗する為には、外の世界でかつて地球を守っていたウルトラセブン――
 彼の力が、どうしても必要なのよ」

「あの巨人は何が目的?」


華扇は慎重に口を開く。


「彼はあくまで善意でこの幻想郷を
 守りたいと言っているわ」

「善意?
 あなたの命令で動いているわけじゃないの?」


「彼と私はあくまで対等な関係よ」

「彼が幻想郷の脅威になる可能性は?」

「ゼロではないわ」

「そんな存在をよく幻想郷に入れたわね」


華扇は厳しい口調で紫を非難する。
紫は毅然とした態度で続ける。


「どうしても彼の力が必要なのです。
この幻想郷のために」


華扇は険しい表情で紫を見つめる。
紫は依然飄々とした態度である。


「それじゃ、私から。
 貴女に2つほど"お願い"があるの」

「お願い?」


唐突な紫の発言に、華扇は身を強張らせる。


「ええ、お願いよ。
 まず、ダンさんがウルトラセブンであることは秘密にして欲しいの」

「秘密、ねぇ」


華扇は怪訝な声で応える。


「もう一つはーー。
 今回の異変は宇宙人などではなく、妖怪の仕業だった、ということにして欲しいの。

 そして、これから起こる異変もね」

「妖怪の仕業に?」

「ええ。
 もっとも、ただの人間には妖怪と宇宙人の区別ができるとは思っていないけれど」


紫はどこからともなく取り出した扇子を開き、はたはたと扇ぐ。
華扇は尚も警戒した表情を崩さずに続ける。


「貴女のお願いを聞くことにどんな利益があるのかしら?」

「あら、貴女も無暗に揉め事を起こしたり、騒ぎを大きくすることは本意ではないでしょう?

 これは妖怪と人間の為にやっていることよ。
 貴女にも理解してもらえると信じているわ」


紫は笑みを浮かべながらそう告げると、扇子を折りたたみ、スキマから立ち上がった。


「それじゃ、これからも"ご協力"お願いしますわ」


そう言い終えると、紫はスキマの中へと消えていった。


取り残された華扇は、
長い廊下に誰もいなくなったことを確認すると、再び長い思慮に耽った。







長考から華扇は顔を上げると、
先刻まで紫がいた空間を睨み付ける。


そして、小声だが、しっかりとこう宣言した。



「八雲紫、貴女がどう判断しようと、彼は私の手で見極める。

 彼がどんな目的で、ここに来ているのか。


 彼の本性は何者なのかを」





ほのかに月明かり差し込む灰色の廊下は、
返事代わりに静寂を渡してきた。


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