オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第260回 エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ(2)
◆もくじ◆
・エンタメとして味わいたい人の怖さのウラガワ(2)
・最近の志麻子さん
【配信版】月刊オメ★コボシ【9月】 10/5まで配信
次回、10/16「【配信版】月刊オメ★コボシ」
TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
「岩井志麻子のおんな欲」連載中
カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中
・著者プロフィール
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新型コロナのせいで人の強さ賢さにも触れたが、「やっぱり生きた人が一番怖い」という定説にも唖然とさせられた。
「エンタメとして、人の怖さを味わいたい」が今月のテーマ。
子どもの頃、自分にしか見えない友達、いわゆるイマジナリーフレンドが居たという経験がある人は少なくないと思う。
いまは地下アイドルとして活躍する彼女は、「ユキヒロくん」というイマジナリーフレンドの話をしてくれた。ユキヒロくんは陰気で偏屈でわがままだというのだが……。
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2014年11月~18年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ」
2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ」
3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ」
4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ」
5月「働くということについて考えたウラガワ」
6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ」
7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ」
8月「怖さひかえめな怖い話のウラガワ」
9月「まだ挽回できるかどうか気になるウラガワ」
10月「なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ」
11月「今頃になってわかってきた出来事のウラガワ」
12月「とりあえず終えたかな、というウラガワ」
2020年1月「愛しい南国の怖い話のウラガワ」
2月「ひきつづき東南アジアの怖い話のウラガワ」
3月「どこか心残りの別れのウラガワ」
4月「未経験な世の中のあれこれのウラガワ」
5月「「あの人実は」「あの人やっぱり」のウラガワ」
6月「アマビエ的なものや人のウラガワ」
7月「怖い話をエンタメとして楽しみたいウラガワ」
8月「どこか楽しめる怖い話のウラガワ」
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2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ/ソウルの新愛人のウラガワ/風俗嬢の順位競争のウラガワ/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ/「大人の夏休みの日記」なウラガワ/その道のプロな男たちのウラガワ
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いったいいつになったら収束するんだと嘆息しつつ、どこにぶつけていいかわからない怒りを溜め込みつつ、なんだかもうむやみに怖がらず、共生するしかないのかなぁとも肩を落としてしまう。そう、新型肺炎とそれにまつわる怖い話。
考えてみれば、妖怪だの幽霊だの悪霊だの祟り神だの、そういう怖いものとも人は折り合いをつけて、排除せず封印せず、共に生きているではないか。
新型コロナのせいで人の強さ賢さにも触れたが、「やっぱり生きた人が一番怖い」という、怪談における定説、落ち、に唖然ともさせられた。しかもこれは物語の世界ではなく、現実の世界において、なのだ。
そんな今月は、新型肺炎とは関係ない人の怖さもエンタメとして味わいたい、というのをテーマにお送りしている。
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前回の話とは登場人物も場所も何もかもまったく関係ないのだけれど、なんとなく似ていると、私の中で分類している話がある。
子どもの頃、自分にしか見えない友達を作り出すことがある。意図的にみずから作り出したのではなく、いつのまにか気がつけばいた、という場合もある。多くは子どものうちに消えてしまうが、大人になってもい続ける場合もある。
イマジナリーフレンド。空想の友達。言葉があるくらいだから、古今東西これを持っていた人はたくさんいたわけだ。
私は、いたことはない。不思議なもの怖いもの全般が好物だったのに、現実と空想はきっちり分けていたようだ。
優実さんは子どもの頃、ひどく内気で人見知りする子だったといった。
「場面緘黙っていうんですが、家の中で家族とは普通に会話できても、学校じゃ一言もしゃべれなかったんです。
でも、幼稚園児の頃からだったんで、もう優実ちゃんはそういう子、ってふうになってて、いじめられることはなかったですよ」
意外な感じがしたのは、彼女はずっと水商売や風俗をやってきて、今は地下アイドルとしてけっこう売れっ子だからだ。不特定多数と接する、他人とのコミュニケーションが必要な仕事ばかりではないか。
「私の場合、それが現れたのはずいぶん遅いんですね」
いわゆる、イマジナリーフレンドだ。優実さんは引きこもりとなって高校を中退した頃から、そのユキヒロくんは現れた。いつの間にか、部屋にいついていたそうだ。もちろん、親には見えていない。
親には見えていないことも、優実さんはわかっていた。それを変だとも怖いとも思わなかった。絶対に秘密にしなきゃとも、誰かにわかってほしいとも。
「ユキヒロって名前も、どうしてその名前なのかわかんないんです。好きな芸能人、漫画、アニメのキャラにもいないし。身近にも、ユキヒロって人はいなかった。でも、とにかくユキヒロくんは気がつくと私の隣にいました」
夢見る少女なら、ユキヒロくんはすらっとした素敵な王子様、もしくは地味で大人しくても、ひたすら優しく寄り添ってくれる彼氏、みたいなのを作り出しそうなものだが。
「私のユキヒロくんは陰気で偏屈で、乱暴じゃないけどわがままですぐスネる。しかも同世代なのに、顔もオッサンぽくて中年ずんぐり体型、全っ然かっこよくない」
学校に行かなくなって外出もしなくなったので、優実さんは場面緘黙どころか家の中で家族ともほとんど口を聞かなくなり、ユキヒロ君とだけしゃべっていた。
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