岩井志麻子「オンナのウラガワ ~名器大作戦~」

第232回 とりあえず終えたかな、というウラガワ(1)

2019/12/29 21:00 投稿

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オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第232回 とりあえず終えたかな、というウラガワ(1)

◆もくじ◆

・とりあえず終えたかな、というウラガワ(1)

・最近の志麻子さん 
 1/13(日)「オメ★コボシ48」開催

 TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
 「岩井志麻子のおんな欲」連載中
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

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12月、ものごとを「早く片付けなければ」という気持ちの季節。
すべてきれいに片付くことはなくても、とりあえず終えたかな、と思える、そんなテーマの出来事をお届け。
婚活をしているアラフォー女性。紹介で出会った弁護士の男性は、美食が趣味。ほんとうにいいひとらしいが、なぜか話がまとまらないタイプらしくて……。

バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

2014年11月~17年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2018年1月「命や生きることについて考えたウラガワ
2月「人はなかなか変わらないのウラガワ
3月「きれいに卒業できない女たちのウラガワ
4月「新たな出会いの不気味なウラガワ
5月「良い季節でも人は病むウラガワ
6月「『有名な男の女』だった二人のウラガワ
7月「怪談の季節! ゾッとする実話なウラガワ
8月「嘘と本当のあわいの怖い話のウラガワ
9月「大人になりきれない人達のウラガワ
10月「ベトナム旅行チン道中のウラガワ
11月「しみじみしんみりな出来事のウラガワ
12月「来年まで引きずりそうなアノ人のウラガワ
2019年1月「去年に縁があったあれこれのウラガワ
2月「台湾で初めて会った人たちのウラガワ
3月「胸に引っかかる人を思う春のウラガワ
4月「こういう人いるよねという出会いのウラガワ
5月「働くということについて考えたウラガワ
6月「私なりのプロファイリングをしてみたウラガワ
7月「芸事業界の人たちの願いごとのウラガワ
8月「怖さひかえめな怖い話のウラガワ
9月「まだ挽回できるかどうか気になるウラガワ
10月「なぜか惹かれる未解決事件のウラガワ
11月「今頃になってわかってきた出来事のウラガワ


※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

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 会社勤めはしてないが、レギュラー出演や締め切りを設けられた仕事はしている。十二月になると「早く片付けなければ」という焦りは、普段の三倍増くらいにはなる。

 直接の仕事ではない物事、人間関係に諸々の感情の整理といったものも急がなきゃと思わせられ、すべてきれいに片付くことはなくても、とりあえず終えたかな、となる。そんなテーマで、今月は書く。例によって全編に渡り皆さん仮名で、多少の脚色もしてある。

                    ※

 婚活から取って、婚美さんとしておく。婚美さんは、アラフォー独身。ごく普通の女性といえばそうだが、人に話せばエッと驚かれることが二つほどあった。

 十代の頃、三年ほどタレントだった。あるコンテストで優勝してデビューし、地方の番組でアシスタントなどやったものの、鳴かず飛ばずで自然に引退となった。
 それから妹がメダルや入賞には届かなかったものの、オリンピック出場選手だった。妹は結婚して引退後はコーチとなり、たまに解説者として今もメディアに出ている。

 婚美さんは短大を出て中堅企業に就職し、合コンに社内恋愛とそれなりに男性関係もあった。今さら芸能界復帰やキャリアアップも狙ってないし、仕事もきちんとできる。家族仲もいいし、旅行や食べ歩きも女友達と楽しんでいる。

 そんなふうに毎日が平穏かつ楽しいので、結婚する必要も焦りも感じなかったといえる。

 それがここ最近、駆け込みのように周りの女友達が次々に結婚していった。
「子ども欲しいとなったら、私らはもうギリギリ」
「婚活市場では男は金、女は若さ。毎日、年は取るんだから。少しでも若いうちによ」
 というようなことを吹き込まれると、次第に焦るようになってきた。それをあちこちでいいふらしたら、顔の広い先輩女性が近づいてきた。ちなみに先輩は、人妻だ。

「私が入っている美食グループに、弁護士がいるの。婚美さんよりやや上くらい。四十半ばだけど、結婚歴なし。お父様も有名な弁護士で、小学校から名門大学付属。特にイケメンじゃないけど、ブサでもない。性格も穏やか。一等地に事務所も持ってるよ」
 などと、そんなお相手を紹介するという。婚美さん、マジですかと飛びあがった。弁護士といえば、婚活に励む女達の垂涎の的、輝くトロフィーだ。

 しかし、さすがに四十路になった婚美さん、そんな世間知らずでも身の程知らずでもない。そこまで輝かしい経歴の優良物件が何故に、元タレントとはいえ今はぱっとしない普通のアラフォー女性と見合いをするのか。

 弁護士から取って弁太さんとしておくが、彼が独身主義、あるいは同性愛者なら、今まで女っ気がなく独身なのもまぁわかるが、弁太さんはあの女優がタイプだとか顧客に恋愛感情を持つとか普通にいうし、しょっちゅうお見合いも合コンもしているらしい。

 弁太さんも焦ってはいないが、そろそろ結婚を真剣に考えたいそうだ。
「私達のような、弁太さんのそういう対象にならない既婚グループから見れば、本当に良い人なのよ。だけど彼とのデートは、どれも一回こっきリ。見合いもすべて、女側から断ってくる。理由を聞いても、特に理由はない、みたいに言葉を濁す」
 などと、そこはかとなく不安になってくることもいわれた。

 

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