オンナのウラガワ ~名器大作戦~
第154回 大人だけど枯れるには早い人たちのウラガワ(1)


◆もくじ◆

・大人だけど枯れるには早い人たちのウラガワ(1)

・最近の志麻子さん 
 10/17(火)「徳光正行×岩井志麻子の怪談妄想特急」開催
 太田出版よりイヤミス『嘘と人形』発売中

 角川ホラー文庫より『現代百物語 不実』発売中
 TV「有吉反省会」にヒョウ姿でひきつづき出演中
 「岩井志麻子のおんな欲」連載中
 カドカワ・ミニッツブック版「オンナのウラガワ」配信中
 MXTV「5時に夢中!」レギュラー出演中

・著者プロフィール

===

何かをまだ取り戻せそうな、何かはもう手遅れのような季節、秋。
若くはないけれど枯れるにはまだ早い、不完全燃焼だからこそのギラギラを今月はつづります。

あなたは、同窓会には出席するほうですか?
テレビや女性誌にもよく登場する桃子。芸能人を夢見て上京、いまは文化人寄りの方向でブレイクしているが、地元の同級生からの連絡は、すべて無視している。なぜならば……

バックナンバーはこちらから↓
http://ch.nicovideo.jp/iwaishimako/blomaga

2014年11月~15年12月のバックナンバーは、「月別アーカイブ」の欄からご覧ください。
2016年1月「会えなかったけど気になる女たちのウラガワ
2月「接点がないのに気になる人たちのウラガワ
3月「嘘をつかずにいられない人たちのウラガワ
4月「春のおかしなお便りの数々のウラガワ
5月「距離感のおかしい人たちのウラガワ
6月「台湾から連れてこられたある女性のウラガワ
7月「大人の夏の観察日記のウラガワ
8月「大人だからわかる怖い話のウラガワ
9月「『志麻子のヤバモンGO』なウラガワ
10月「取り返せない夏の思い出のウラガワ
11月「常夏の国で生きる女の秋のウラガワ
12月「冬を生きながら春を待つ女達のウラガワ
2017年1月「自分を重ねてしまう若者たちのウラガワ
2月「冬に聞いた奇妙な怪談のウラガワ
3月「春のさなかに聞いた怖い話のウラガワ
4月「木の芽時な人達のウラガワ
5月「五月だけどさわやかになれない人たちのウラガワ
6月「面識なしでも喜怒哀楽を喚起する人々のウラガワ
7月「ほんのり怖い人達のウラガワ
8月「真夏なのに秋の予感な有名人たちのウラガワ
9月「私が見たテレビの中の人のウラガワ



※2014年10月以前のバックナンバーをご購入希望の方は、本メルマガ下部記載の担当者までお知らせください。リストは下記です。

2013年7月~12月 名器手術のウラガワ/エロ界の“あきらめの悪さ”のウラガワ/エロとホラーと風俗嬢のウラガワ/風俗店のパーティーで聞いたウラガワ/エロ話のつもりが怖い話なウラガワ/風俗店の決起集会のウラガワ
2014年1月~10月 ベトナムはホーチミンでのウラガワ/ベトナムの愛人のウラガワ/永遠のつかの間のウラガワ ~韓国の夫、ベトナムの愛人~/浮気夫を追いかけて行ったソウルでのウラガワ/韓国の絶倫男とのウラガワ​/ソウルの新愛人のウラガワ​/風俗嬢の順位競争のウラガワ​/夏本番! 怪談エピソードの数々のウラガワ​/「大人の夏休みの日記」なウラガワ​/その道のプロな男たちのウラガワ​

===


 九月はまだ、中旬までは夏の雰囲気もあるけれど。十月は完全に秋。
 とはいえ、冬の気配はない。何かをまだ取り戻せそうな、何かはもう手遅れのような、冬にはまだ間がある、夏をあきらめきれない、そんな気分は残っている。

 人にたとえれば、若くはないけれど枯れるにはまだ早い、中年真っただ中。

 中年の定義も、それぞれだけれど。今年五十三歳を迎える私は、後半ではなく真っただ中のつもりでいる。今月はそんな、不完全燃焼のギラギラを書いてみたい。

「もう大人なんだから、割り切って落ち着け」「でも、枯淡の境地にたどり着くには早すぎる」といった感じで。

 例によって様々な特定をされないよう、登場人物はすべて仮名の上、設定なども変更させてもらっているのをおことわりしておく。

                    ※

 私は本も出版してテレビにも出演しているので、プチ有名人にはなっている。かつての同級生達には「あの人、同じクラスだった」「昔はあんなじゃなかったけどね~」みたいに、酒の席でのネタにはされているようだ。

 そんな利用価値もないし自慢できる同窓生でもないし、というのはさておき。特にそれで不利益を被ったとか、嫌な思いをしたことはない。

 しかし私みたいななんちゃってではなく、本当に有名人、しかもつながりがあれば自慢できる存在であれば、正面切っていろんな頼みごともされるし、思わぬところで勝手に名前など使われてしまう。

 テレビや女性誌にもよく出てくる、私より一回りほど若い瀬戸桃子。北国の田舎にいた頃から芸能人を夢見、高校を出て上京してからはAVではないがセクシー系のグラビアをやったりホステスのバイトをしたり、苦労もした。

 なかなか芸能人としては芽が出なかったが、三十過ぎて文化人寄りの方向で売り出すとブレイクした。昔の同級生などが事務所やテレビ局あてに連絡してきたし、同窓会の誘いなどもひっきりなしにあったが、桃子はすべて無視した。

 いじめられっ子だった、嫌われ者だった、地元にいられなくなる不祥事を起こした、そんなことはなかった。むしろ桃子は、堅実な家庭の良い子だった。