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ソーシャル担当の孤独と無力感を、洋書の翻訳風で表現してみた

2012/09/24 09:30 投稿

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photo by JAM1978 Attribution Some rights reserved

 

お世話になっております。

ループス直人です。

 

企業の「ソーシャルメディア担当」というものは、しばしば非常に孤独な役割です。

 

それはカスタマー・パワーを信じる若手のイノベーターか、どこかで啓蒙されてきた社長か、海外本社からの圧力で生まれます。予算はなく、ゴールも見えず、まずは「ソーシャル 成功事例」とGoogleに打ち込むところから始まります。企業という看板を背負ってのインターネットへの船出は、暗闇の中ひとりっきりで行われますが、その後の航海は地図もなく荒海をさまようような、更に過酷なものです。

 

「あいつの仕事って意味あるの?」

 

「仕事中ネットばっかりやってていいよね。」

 

「そろそろ売上につながる見通しは立ちそうかね。」

 

担当者は思います。

 

・・・そうだ。この3ヶ月間、孤独な壁打ちのような情報発信をひたすら続けてきた。ネットを調べても成功事例は大企業ばかり。制作会社に提案依頼をし、せっかく作ってもらった提案書も「効果が見えない」と上司に却下された。やるやる詐欺と揶揄されながらコンペで企画を募るのももう嫌だ。他の部署から、あいつは何やってんだと陰口を叩かれているのも知っているさ。一体俺は何をやっているのだろう。辛い。苦しい。無駄だ。もういやだ。

 

 

まあ、こういうプロジェクトはごく一部でしょうし、ちょっと誇張している部分もありますが、特に営業のような明確な目標を持っている人たちと比べると、長期的なビジョンで動くソーシャルメディア担当はどうしても社内で浮いてしまいがちです。Gooリサーチとループスが共同で行ってるソーシャルメディアの活用実態調査でも「人材不足」が課題として挙げられ、わずかな人数で兼務しながら細々とやっている企業が多いようです。

 

 

ソーシャル担当者の仕事に「意味」を!

 

あなたが「ソーシャル担当者」で、自分の仕事を決定するために必要な、なんの権限もなければ(そして熱意が尽きたなら)、残念ですが諦めるしかありません。会社とはそういうものです。無意味に思える日々の画像探しも、事例集めやニュース探しも、心を無にすれば耐えられないことはありません

 

けれど、もしあなたが組織のマネージャーだったり、ある仕事について何をやるべきか決める権限を持っているならば、孤独なソーシャル担当者を救ってあげることができるかもしれません。彼の、彼女の仕事に意味を持たせるのです

 

くれぐれも「ソーシャルメディア活用」を兼任者単独でやらせないでください。それは営業だったり、広報だったり、カスタマーサポートだったり、MDだったり、そういった既存の仕事を、あなたの会社が行なってきたこれまでのビジネスプロセスをサポートするものです。「ソーシャルテクノロジー」はビジネスの主役ではないんです。脇役であり、サポーターなんです。

 

そしてその仕事に少しでも役割を与えることができれば、予算の捻出にも理由はつけられます。ソーシャル担当者が持っている予算は上場企業でもせいぜい300万がいいところですが、全国紙+地方紙38新聞社会面の広告掲載を3回から2回にすれば2,000万くらいは浮かせられますし、首都圏電車内のドア横ステッカーを半月だけ止めれば700万くらいは確保できます。予算は新しく創造するのではなく、ある目的に対する既存予算からスライドさせる方が現実的です (ただまあ、予算配分の変更は軋轢を生むので、調整に何ヶ月もかかるんですけど)。そのためにも、既存部門の仕事と「ソーシャル」が担う役割を、歯車を、きっちり連携させる必要があります。

 

 

孤独な壁打ちは終わりにしよう 

 

私の話を信じていただけるなら、まずは「ソーシャルテクノロジーを使って虚空に向かって情報発信する部」を解散させましょう。代わりに、様々な部署を見渡して、事あるごとに顧客、顧客と言っている担当者を探し出してタスクフォースを結成してください。

 

そして、地図を広げるのです。

 

その地図は、2つのファネルと2つの象限、そして4つのプロセスから成り立っています。この地図にあなたのビジネスを書きだしてください。そしてカスタマーパワーを、顧客コミュニケーションを必要としているのはどこかを探し出し、そこに人をを配置するのです。その「人」は、顧客に会いたくて会いたくて仕方ない人間でなければなりません。顧客にどうしても伝えたいことがある、もしくは顧客の頭の中が気になってどうしようもない。そういう人を選ぶべきです。

 

 

 

マーケティングや営業の方ならこういったファネルを見たことがあるかもしれません。IT部門の方は、もしかしたらはじめて見るかもしれませんね。

 

これは、あなたの会社の顧客が、あなたの会社の製品やサービスを知り、使おうかどうか迷って、購入を決め、使用し、使い続けるプロセスを可視化するための図です。ファネル(じょうご)を2つつなげたような形をしているので、私はこれを顧客接点分析のための「クロスファネル図」と呼んでいます。

 

 

「クロスファネル図」の説明

 

この図がどんなものなのか、少し長くなりますが説明させてください。

 

説明が長いので読み終わるころには忘れてしまうかも知れませんが、 目的はあくまでも「自分たちのビジネスを俯瞰し、顧客コミュニケーション上の課題を発見し、その解決方法を検討すること」です。で、もしかしたら解決するのにソーシャルテクノロジーやソーシャル大好き人間が役立つかもしれないよね、という話です。説明を読み終わった後で、「あれ、この記事なんだっけ?」と思ったらここまで戻ってオレンジ色のところを読みなおしてください。

 

 

「顧客接点」をプロットする

マーケティングの方なら、この図を見て「AIDMA」や「AISAS」のような、顧客行動モデルを想像されると思います。SFAツール (Salesforceとかが出しているアレです) を使ったことのある営業担当の方であればリード管理のプロセスを想像されるかもしれません。

 

確かにアレと形は似ているのですが、クロスファネル図の用途は顧客接点と相互作用の可視化です。そして、プロットされるのは「顧客接点」です。

 

私がこの図を使ってきた経験から、どんな顧客接点が考えられるかというのをちょっとご紹介します。

 

 

あなたのビジネスがどんなものでも、いくつかは思い当たるものがあるのではないでしょうか。上記のような顧客接点 (コンタクトポイント) を洗い出し、プロットしていきます。

 

 

オンラインとオフライン

図の中心に線があり、上が「ONLINE」、下が「OFFLINE」と分かれています。意味は・・・、まあ、読んで字のごとくというところです。基本の図では真ん中で区切られていますが、その割合はビジネスによって変わります。

 

 

「ソーシャルメディア」 というものは、たいていインターネットと関係がありますから、あなたのビジネスがオフラインで完結するものでも、ソーシャルで何かしようという限り何かしらオンラインの顧客接点が生まれてくるはずです。オフラインが9割、オンラインが1割くらいのところで線引きされると思います。

 

 「オンラインのみ」のビジネスは、もしかしたらあるかもしれません。でも、ECサイトでも商品を配達するのは人ですし、その場合は「配送業者による商品の受け渡し」は顧客接点になります。オンラインの決済サービスでも、大口顧客には営業担当がついてサポートしますよね。そういったものはオフラインの顧客接点になりますので、オンラインだけで完結するよ、というビジネスは案外少ないのではないかと思います。いずれにせよ、そういう場合は「オフライン」の面積が小さくなります。

 

 

4つのプロセス

図の上の方にある矢印が、顧客の行動プロセスを表します。

 

 

前に申し上げた通り、あなたの会社の顧客が、あなたの会社の製品やサービスを知り、使おうかどうか迷って、購入を決め、使用し、使い続ける。その流れを意味しています。

 

上記の説明でだいたいお分かりの方も多いかと思いますが、それぞれのプロセスについて一応説明させてください。

 

 

認知 (CA : Create Awareness)

顧客が、「どこであなたの製品・サービスのことを知るか」ということです。

 

業種業態によってそれこそ千差万別だと思いますが、例えば「検索エンジン」「通りすがりの一見客」「バナー広告」「自社Twitterアカウント」「テレアポ」「折込チラシ」「飛び込み営業」のようなものが考えられます。

 

電通の「AISAS」では3番目となる「SEARCH (検索)」が最初にくることに違和感を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、インバウンドマーケティング で潜在顧客に自社製品を知ってもらうケースなどを考えると現実的には十分起こりうる導線かと思います。

 

ちょっと例を挙げてみましょう。

 

 

上記の例では、広告やPRによって自社の製品・サービスがTVや雑誌に露出し、そこで興味を持った顧客が検索し、製品ページへ到達するという流れを示しています。「じゃあ、やっぱりTVが先じゃないか」と思ったら、「テレビ」という顧客接点をより左側へ寄せます。「検索している時点ですでに選定のプロセスに入っているよね」と思ったら、「検索エンジン」という顧客接点をより右側へ伸ばし、次の選定プロセスに含めます。数値と違って融通が効くのがビジュアルの良い所なので、あまり厳密に考えず色々と動かしてみてください。

 

以前公開した「山田さんの事例」では、 「だれも知らないFacebookページ」をCAプロセスに置いてしまったことでまったく期待した成果が上がらないという事態に陥りました。ここにプロットした顧客接点は、「ここで実際どれくらいの人に知ってもらえるのかな」という具体的なイメージができることが大事です。Facebookページも十分にファンが増え、リーチを獲得できれば新サービスや製品の認知獲得経路としてちゃんと機能するはずです。

 

 

 

 選定 (WA : Why Anything)

顧客が製品・サービス・ブランド等の存在を認知してから、購買や利用に至るまでの長く複雑なプロセスです。「AIDMA」の Interest / Desire / Memory、「AISAS」の Interest / (情報収集、比較のための)Search などもここに含まれます。

 

厳密な分析は難しい上にあまり意味がないので、実際の現場ではまずは思いつくままに「顧客接点」を洗い出していきます。

このWAプロセスのリードタイムは分析対象によって様々で、「クリックから購買」までのごく短い範囲を扱うこともあれば、認知獲得から購買に至るまで5年もかかるようなビジネスを扱うこともあります。

 

また、自社が関与できない顧客接点も存在します。例えば、ある家電メーカーさんのビジネスでは「カカクコム」のようなコントロールが難しいメディアが顧客の選定に大きな影響力を持っているケースなども多く、打ち手の少ないことが課題として浮き彫りになりました。

 

 

 

行動 (DS : Do Something)

このプロセスでは、ビジネスに直接紐付くゴールをプロットします。

 

物理的な製品であれば購入、ASPサービスであれば有料課金、というような感じです。「選定」と「行動」の間には「試用」や「無料会員登録」のような段階があるかもしれません。また、すでに存在するビジネスを分析する場合はオンラインとオフラインでのコンバージョン(成約)の比率も記入しておきます。

 

例えば、「現在オフラインでの成約が売上の80%を占めているが直近3年では横ばいで、毎年オンラインの比率が上がっている」といった補足情報があると課題抽出や施策立案には有用でしょう。

 

以下は、成約に至るまでのパスをWAプロセスからつなげている例です。

 

 

 

どのチャネルからのパスが太く、どのチャネルが期待外れなのか、今後はどのチャネルが有望なのか、といった点を補足情報として記入しておくと課題抽出や打ち手を考える際に役立ちます。

 

 

 

体験後 (PA : Post Action)

「体験後(PA)」プロセスには、購買後の顧客接点をプロットします。

 

例えば、カスタマーサポートやリテンションプログラム、ポイントカードなどが考えられます。営業やマーケティングを担当されている方でも、購買後のことまではイメージしづらいかもしれませんので、このプロセスを理解するためにはCS(カスタマーサポート)のような部門との連携が必要になるかも知れません。

 

再利用

ファネルの入り口と出口は「リピート購入」という形でつながっています。特に、認知度が100%に近い製品・サービスを分析する場合はこの導線を強く意識する必要があります。

 

例えば、全国展開しているファストフードなどを扱う場合(かつ、新製品やキャンペーンなどでない場合)は、例えば「ケンタッキーフライドチキンというお店をどうやって知ってもらうか」よりも、「1回以上利用したことある顧客の来店頻度向上」がより重要なテーマになるので、図の右側をどうするか、右側と左側をつなぐパスをいかに太くするか、といった点を掘り下げることになります。

 

 

記法

各プロセスへのプロットはケースバイケースで柔軟な記法を受け入れますが、少しだけルールを決めておくとより直感的にできます。例えば、本エントリで使っている例では以下のようなルールを用いています。

 

図形 概要 補足説明   接触回数の少ない顧客接点  接触ボリュームの多い接点は大きく、少ない接点は小さく書く。PVや問い合わせ数、発行部数やリーチ数などの数字を補足的に書いていくと良い。  接触回数の多い顧客接点  顧客の能動的接触が見込まれる場合は「☆」印を付ける。接触ボリュームの多寡で大きさを変える点は上記と同様。    顧客動線と歩留まり  接点と接点を矢印でつなぐ。誘導ボリュームが多い矢印は太く、少ない矢印は細く書く。補足情報として歩留まりを書く。ネットならCTRやCVR、オフラインなら大体の割合(成約率など)や誘導ボリュームなど。   コメント 気づきや分析など、ファクトに含めないものは吹き出しにしたり、色を変えるなどして区別できるようにしておく。

あまり厳密に決めなくても、全体の流れがわかれば十分です。実際に書き出す時は、パワポやKeynoteよりもホワイトボードにのびのび書く方がやりやすいです。

 

 

山田さんの例 

 実際、どんな風に使うのかは、先日公開したエントリにある、山田さんの例を見ていただくのがよいでしょう。

 

 

この図を作成した経緯と分析については、以下のリンクに詳細が記載されています。

 

参考リンク : こんなソーシャル活用をしているくらいなら、今すぐやめた方がいい

 

ソーシャルを活用すべきはどこか 

あなたが進めるビジネスのアウトラインがクロスファネル図にプロットされたら、そこから「顧客コミュニケーションに関する課題を抱えている箇所」を探し出します。

 

企業にとっての「ソーシャルテクノロジー」の意味は、「顧客コミュニケーションツール」とほぼ同義です。そのツールを適用すべき箇所は、顧客コミュニケーションを必要としている部分に他なりません。

 

「顧客コミュニケーションに関する課題」と言われてもピンと来ないかも知れませんので、以下にちょっと例をあげさせていただきます。

 

 

まずCAプロセスで上がってくる最大の問題が「認知度の問題」。もっと知って欲しいよ!ということです。この課題は、あまねく全ての企業が取り組んでいる問題と言えます。生活者の製品は溢れ、情報は溢れ、可処分時間は限られている。顧客の「注意・関心」という意味においては、その顧客に関与したい全ての企業が競合となります。そう簡単には解決できません。

 

ソーシャルテクノロジーが強みを発揮するとしたら、「フリークエンシー(接触頻度)」と「バイラル」がまず挙げられるでしょうか。山田さんの例では「リーチの広さ」を期待して失敗しました。適材適所といいますが、適切なツールに適切な役割を担わせるのがテクノロジー活用の基本です。

 

全ての課題に言及するときりがないのですが、「クチコミの課題」には触れておいた方がよいでしょう。

 

顧客があなたの製品・サービスを知って、必要かどうか迷い、購入し、使う。その全てのプロセスにおいてクチコミが発生する可能性があります。オンラインでクチコミして欲しいのに、それがないとすればそれはなぜなのか。機能的ハードル、心理的ハードル、必然性の観点から検討すべきです。そしてファネルにクチコミの仕組みを組み込むのであれば、それは「顧客の心が最も動かされるプロセス」を選ぶべきです。

 

「今度のキャンペーンは今最高に話題のタレントを起用するよ!」というならCAプロセスに、「これから発売する商品は、味には絶対の自信があるんだよね!」というのであればDSプロセスに。これが心理的ハードルであり、情緒的後押しの必要性です。そしてクチコミを考える際は「オンラインとオフラインの壁」をいかにして超えるのか、というのが大きなテーマになります。そこを考えるのが「機能的ハードル」を乗り越える作業です。今話題のO2Oを使うのか、Open Graphでフリクションレス・シェアリングを仕込むのか、このフェーズではITの専門家も活躍します。そして最後に必然性。これはメカニズムと言ってもよいかもしれません。つまりクチコミが「当然発生する必然性」を組み込む、ということです。ゲーミフィケーションの考え方などが応用できそうですよね。

 

また、上図で挙げた「課題」はあくまでも一部です。ビジネスの数だけ、顧客コミュニケーション上の課題はあるはずです。他には例えば、「顧客ニーズがわからない」とか、リサーチ系の課題なども考えられますよね。

 

 

お詫びと展望

最後に、ひとつお詫びしておかなければならなりません。

 

最初に私は、「ソーシャル担当者の仕事に意味を」と申し上げましたが、ここまで「ソーシャル活用の必要性」については触れていません。これはつまり、「役に立たないと考えるなら、ソーシャルなんてやる必要ないよ」ということを言っているのです。

 

これはだまし討ちだ、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ソーシャルの可能性を信じてここまで読み進めたのにそれはないよ、と。

 

そうお感じになられたのであれば本当に申し訳ない。しかし、必要ない「ソーシャル活用」をやらされているソーシャル担当者をなんとかしたいと考えたら、どうしても「ソーシャル活用が必要かどうか」を考えるプロセスと、「ソーシャルテクノロジーは自分たちのビジネスにとって必要ない」という選択肢を用意せざるを得なかったのです。

 

でも、本エントリにある検討を実際に行なって頂ければ、「ソーシャルが必要なし」という判断に根拠ができます。無駄な実験も、無駄な担当者、無駄な投資も、悩む時間も必要なくなります。そして何より素晴らしいのは、「ソーシャルは必要なし」と判断した「前提」が変わった際には素早く取り組むことができるということです (例えば、外部環境が変わった、とか、認知されていなかった顧客コミュニケーション上の課題が露見した、とか)。

 

そしてこの検討プロセスは、ソーシャルテクノロジーを使おうと考える時にいつでも柔軟に応用できます。特定のソーシャルサービスやテクノロジーに依存したものではないからです。仮に、Facebook や Twitter が、何かの事件で丸ごと消滅してしまったとしたらどうでしょうか。もうこの世からソーシャルテクノロジーは消え去ると考えられますか?

 

生活者による情報発信や情報の選別、能動的な情報収集といった本質的な動きは不可逆の流れです。そしてそれは多くの場合カスタマーパワーの増大につながります。確かに売り手優位の市場や、情報格差の明確な市場、独占市場などでは、企業を顧客支援という戦略に仕向ける圧力は小さいかもしれませんが、その大きなうねりが止まることはありません。仮に現時点で存在する全てのソーシャルサービスが宇宙人の陰謀で消滅したとしても、それに代わるサービスが次々に生まれてくることでしょう。

 

そのような前提に立つと、特定のツールやテクノロジーに依存しない、顧客コミュニケーションのあり方についての思考法を鍛えておくというのは、ひとつの良い方法ではないかと思うのです。カスタマーパワーと言いましたが、自社の社員も情報によって強化される他社の顧客です。究極的には、情報を扱うことに長けた個人といかに向き合い、その能力をいかに扱うかという思考が求められるのかもしれません。

 

テクノロジーの変化、外部環境の変化が、企業にとっての課題やリスク、足かせになるのか。それともその力を生かし、ビジョン実現の力とするのか。いつでも選択の自由は残されているはずだと考えます。

 

顧客コミュニケーションに対する投資を、より意味のあるものに。これは顧客も、企業もハッピーになれる有意義な議論だと信じます。

 

クロスファネル図についての説明を記載したスライドと、ワークショップに関する情報が別記事にて公開されています。よろしければご覧ください。

 

それでは、よろしくお願い致します。


by 許 直人

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