また、友人・知人のIBM社員から聞いたという人もいて、話題にしてもらえることがとても嬉しく、そして誇らしい気持ちになりました。
とても小さな活動なんです。でも、とても重要なことだと思ってスタートした活動なので、拡がりを感じるたびに胸アツになります。
今回は、2月に書いた『IBM事例に見る「社内ソーシャル」と「ソーシャルビジネス」の進め方』に続き、IBMの事例「サンクフライデーズ」について紹介します。
サンクフライデーズとは
一言で言うと、毎週一回その週の出来事を振り返り、感謝の気持ちを伝えたい相手に社内ソーシャル上で「ブルーサンクス」という感謝カードを送ろうという活動です。
こうして書くと、なにも新しさも珍しさも感じられない、よくある取り組みに聞こえることでしょう。
でも背景には、いくつかのストーリーが隠れています。
企業理念を支える行動規範との強いリンク
忙しい日々の中でも、自分が仲間に支えられていることを振り返る時間を定期的に持ち、その気持ちを相手に伝えることはとても重要なことです。これに異論のある方はいないでしょう。
サンクフライデーズの特色は、自分が相手のどんな行動に感謝しているのかを、IBM社員の9つの行動規範から選んで感謝のメッセージと併せて送れるようになっている点です。
こうした活動を通じて、自分たちの行動規範の意義と、それを実践している仲間とのつながりを日々の業務を通じて意識し、感じることが出来ます。
9つの行動規範の成り立ち – Jam
IBM社員の9つの行動規範は、2013年に世界中のIBM社員が参加して実施された、4日間に渡る96時間のJam(※)と呼ばれるオンライン・ディスカッションを中心としたイベント「Client Experience Jam」を通じて作られたものです。
※ Jamについてはリンク先『IBMのジャムの歴史、そして今夜また新たに・・・』に詳しく書かれているので、興味のある方はぜひお読みください。
100年以上の歴史を持つIBMですが、実は現在の社員の50%以上が入社5年未満という「若い」側面を持った企業でもあります。これが意味するのは、IBM社員の3つの価値観を作り上げた「バリュージャム」というイベントが開催された2003年当時の社員は、もはやIBM社内では半数以下となっているということです。
そんな背景からも、自分たちの言葉で、自分たち自身のものとして自らの行動規範を定義していこうという思いが強くなっていました。
そうして作られたのが、下記の9つの行動規範(9 Practices)です。
- ニーズに耳を傾け、未来を描く
- 最高の専門性を惜しみなく提供する
- 常にお客様を第一と考え、行動する
- 独自のアイデア創出に挑む
- 会社と自分自身を常に進化させる
- 野鴨の精神を尊ぶ
- 個人的な関心を寄せる
- 考え、準備し、事前の修練を徹底する
- 団結してすみやかに取り組む
社内ソーシャル上にありがとうカードがある意味
ミッションや理念、バリューや行動規範といったものが、とかく「机上のもの」となりやすいのは世界中どこでも同じようです。
ここで大きな意味をもたらすのが、このサンクフライデーズが社内ソーシャル上に実践されていることです。
IBMでは、社内ソーシャルが「オンライン上のワークプレイス(職場)」と位置づけられており、日々の業務と密接につながっています。
そのプラットフォームで感謝のカードがやり取りされているということは、行動規範の体現とその実践者を、日常的に何度も目にするということを意味します。
そして、社内ソーシャルの持つ「いいね」や「コメント」という機能が、仲間の行動や貰ったカードに対する共感を広げていくことで、感謝という「ポジティブな気持ち」が社内に波及しやすくしています。
これが、職場全体の雰囲気の良さや、社員一人ひとりの生産性の向上にもつながっています(一般に、ポジティブな状態の脳はネガティブな状態の脳よりも30%以上生産性が高くなり、判断の正確性も上がると言われています)。
サンクフライデーズの今後
サンクフライデーズは今年2月、日本語で社内ブログを書いたことからスタートしました。
その後、世界中に広めたいと思い英語版のブログ記事を書いたところ、少しずつ支持を表明してくれる人が増え、今でも毎日世界中のIBMに新たな賛同者と実践者が増え続けています。
果たして今後、サンクフライデーズがどれだけの広がりと定着を見せるのか。私自身にもまったく分かりません。ただ今も、社内には口コミでの浸透が進んでいますし、こうした、言わば「草の根の活動」が拡がっていく社内環境の存在そのものが、企業の未来を大きく左右するのではないでしょうか。
Happy Collaboration!
八木橋 Pachi 昌也
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