前回の記事では、実装開始されたLINE@のアップデートについてご紹介しました。
飲食店やファッション、美容関連など、実店舗を持つ様々な企業が恩恵を受けそうな今回のアップデートですが、やはり数の多さから飲食業界が特に大きな影響を受けるのではないでしょうか。
LINE@の動きも非常に気になるところですが、その更に少し前に話題になったクチコミ系サービスYelpの日本上陸もあり、今グルメ系Webサービスが熱く燃えています。
そこで今回の記事では、特に現在日本で大きな勢力を持つ食べログとぐるなびに、LINE@・Yelpがどう殴り込んでいくかを考察しました。各サービスのユーザー規模や特徴・ビジネスモデルなどをまとめましたので、是非ご参考ください。
■目次
グルメサービスはどうなる?ついにアップデートされたLINE@
・食べログ
・ぐるナビ/ホットペッパー
・Yelp
・LINE@
食べログvsYelp・ぐるなびvsLINE@という構図か
・食べログとYelpの違い
・ぐるなびとLINE@の違い
激戦必須のグルメサービス
LINE@とYelpが参入してきたことによって、グルメ系Webサービス業界の勢力図は変わっていくのでしょうか?
現在日本では、食べログやぐるなびがグルメサービスの筆頭になっています。
まずは、度々比較されるこちらの2つのサービスの特徴やビジネスモデルをおさらいしましょう。(※ホットペッパーのビジネスモデルはぐるなびと似ているので今回は省略させていただきました)
食べログ
規模 ・有料加盟店舗数は2.6万・一年の累計予約人数は40万人
・プレミアム会員が32万人 特徴 ・507万件を超えるレビューが特徴的なCGM(消費者主導メディア)型グルメサイト
・ユーザーは他の人のクチコミを参考に店舗を選ぶ
・店舗登録は基本無料 収益モデル ・ユーザー課金(月額315円で様々な特典を受けられるプレミアム会員)
・店舗課金(通常広告・タイアップ広告など) 広告の有無 ・タイアップ型、バナー型、スタンダード型など様々な広告に対応
日本最大級のグルメサービスです。SEOも強く、「飲食店を検索したらとりあえず食べログに辿り着いた」という人も多いのではないでしょうか。
特徴は、ユーザー主導のクチコミ情報(レビュー)の豊富さで、値段・場所・評価など、ユーザーがお店を探す際に知りたい情報を見つけられるという点に特化しています。収益モデルは店舗課金もありますが、プレミアム会員となってより多くの特典を受けられるユーザー課金が特徴的です。
ぐるなび
規模 ・加盟店数は12万8000、うち有料加盟店数が5,2538軒
・月間ユニークユーザー:4200万人、1130万人の会員 特徴 ・飲食店ページを制作し店舗送客を支援する店舗向けメディア
・店舗ページの情報は最新かつ正確でクーポンなども配布される 収益モデル ・店舗課金
・ストック型:年間契約の飲食店販促サービス
スポット型:広告 広告の有無 ・タイアップ型、バナー型、スタンダード型など様々な広告に対応
(参照:2014年3月期 決算説明会資料)
食べログと並ぶ日本最大級のグルメ情報サイトです。収益モデルは食べログとは基本的に逆で、店舗が月額掲載料を払い、店舗情報や割引情報などを提供する店舗ページを作成・支援する店舗向けサービスです。
コミュニケーションの流れは主に店→ユーザーと一方通行ですが、最新に保たれる情報の正確さやクーポンなどのメリットがあります。
LINE@・Yelpのビジネスモデル
食べログとぐるなび/ホットペッパーは、おおまかにユーザー課金と店舗課金に分かれます。
新規参入してきたLINE@とYelpは、よりどちらのタイプに近く、どちらの脅威となり得るのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
LINE@
規模 ・LINE国内ユーザー数は5000万人超
・DAU(毎日利用するユーザー)は約3000万人 特徴 ・店舗情報を掲載・クーポン配布などができる『お店ページ』
・店舗と顧客が直接連絡を取ることができる『お店トーク』
・LINE@加盟店には10分間無料通話できるサービス付き 収益モデル 店舗課金
・スタンダードプラン(無料)・プロモーションプラン(月5,000円+税)・上位プラン(月50,000円+税) 広告の有無 ・なし
こうしてみると明らかにLINE@は店舗支援サービスなので、ぐるなび/ホットペッパーの対抗馬となりそうですね。
なんといっても安い料金プランのインパクトが強く、さらに店舗と顧客の相互メッセージ機能・10分間の無料通話機能のメリットは、予約やプロモーションの観点から見て非常に大きそうです。
Yelp
規模 ・5700万以上のレビュー数
・総訪問ユニークユーザーは1億3200万人 特徴 ・レストランに限らず、様々な店舗をユーザーがレビューできるクチコミCGMサービス
・ユーザー同士がレビューを通じて交流できる 収益モデル 店舗登録は無料
・広告出稿は有料 広告の有無 ・検索結果・近隣店舗ページなどに広告を掲載するオプション付き
食べログの対抗馬として4月9日に日本上陸を果たしたYelp。実名制のクチコミCGMサービスということで、ビジネスモデルは食べログと似ていますが、収益は店舗からの広告費が主です。飲食店以外のジャンルの店舗もレビュー対象で、世界中の店舗の総レビュー数は、食べログの10倍にあたる5700万です。
食べログvsYelp・ぐるなびvsLINE@という構図か
こうして見ると、おおまかにユーザー向けのCGMサービスである食べログとYelp、店舗向けプラットフォーム提供サービスであるぐるなびとLINE@、という対立構図が成り立ちそうです。
食べログとYelpの違い
食べログとYelpの違いで最も顕著なのは、
1.Yelpは実名制
2.Yelpではレビュアー同士で交流がありコミュニティが形成される
3.現状日本では食べログの勢力が依然非常に高い
の3点でしょうか。
Yelpは特にコミュニティが特徴的で、質の高いレビューを投稿したユーザーはYelp上で「エリート」と呼ばれ人気者になります。またYelpが派遣する「コミュニティマネージャー」が、アンバサダーとしてリアルのイベントを開催するなど、Yelpの認知度上昇やローカルビジネスとYelpユーザーを結び付ける役割を担っています。さらに独自のアルゴリズムによって、金銭の支払われたレビューを弾きだすことにも成功しています。
しかし現在、食べログは月間利用者数約5,255万人・月間PV数約約12億1,567万という圧倒的な数字を残しており、日本におけるグルメレビューサイトとして幅広く認知されているので、簡単にはその牙城を崩すことは達成できないかもしれません。
ぐるなびとLINE@の違い
ぐるなびとLINE@の大きな違いは以下の3点でしょうか。
1.店舗登録料がLINE@は無料から
2.LINE@のお店トーク・無料通話機能
3.検索性・店舗ページ自体の訴求力などのユーザビリティはぐるなびの方が上
ぐるなびとLINE@の両者はそれぞれ明確な強みがあります。
LINE@は非常に安価で、店舗紹介ページ+メッセージ・10分間の無料通話などが付いてきます。
反面、検索性や店舗情報の細かさ・正確さやクーポンのバリエーションなど、店舗ページ自体の訴求力はぐるなびの方が高いのではないかと思われます。またLINE@はお店トークの対応など、体制が整っていないと実装するのがやや難しいですが、ぐるなびでは各店舗に専門の営業担当が付くので、サポートも非常に充実しています。さらに図には描きませんでしたが、ぐるなびは生産者・メーカー向けのプロモーションも行っています。
最後に
以上、新規参入したYelpとLINE@を、食べログ・ぐるなびと比較してみました。
率直な感想としては、Yelpが食べログを本格的に脅かすにはもう少し時間がかかりそうで、LINE@もぐるなびのユーザーを全て持っていってしまうことはなさそうだと感じました。
やはり食べログは日本に深く根付いており、Yelpの日本版はまだユーザーが少ないので、イベントやコミュニティの活性化などでまず認知度を大きく上げる必要がありそうです。「実名制」という要素がどこまで日本のユーザーに受け入れられるかもポイントになってくるのではないでしょうか。そういった意味では、じわじわユーザー数を伸ばしている、同じく実名制グルメサービスRettyの動向にも注目すると面白そうです。
LINE@に関しても、一ユーザーから見ると依然ぐるなび・ホットペッパーの店舗情報量は魅力的なので、LINE@にしかない強み(お店トーク・無料通話など)の利用イメージやメリットをどこまでユーザーに浸透させられるかが鍵になってきそうです。そこに成功すると一気にユーザーの意識がそちらに向く可能性も十分ありそうです。
また導入する店舗側にとっては、他のグルメサービスとLINE@を併用するという選択肢もあるかもしれません。ぐるなびなどのページを持っている企業も、無料通話機能やお店トークなどのためにLINE@を試してみる、というケースも出てくるのではないでしょうか。
とはいえYelp・LINE@まだ始まったばかりで認知度も利用度も低いので、他のサービスと併用などを経て認知度が上昇した時にまたあらためで勢力図がどうなったか、動きを追っていきます。
以上、『『LINE@』『Yelp』の参入で『食べログ』『ぐるなび』はどうなる?各サービスのビジネスモデルを比較してみた。』でした。
※元記事 :http://gaiax-socialmedialab.jp/socialmedia/324
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