スーパープレゼンテーション 1.21 ON AIR
Jennifer Pahlkaジェニファー・パルカ
Coding a better government「より良い政府をプログラミング」
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/130121.html
Government is, at its core, in the words of Tim O’Reilly, “What we do together that we can’t do alone.”
政府とはティム・オライリーの言葉で言い換えれば、「個人ではできないことを皆でやるということ」なのです。
東北地方太平洋沖地震の発生後、政府に対して人々による批判の声が大きくなっています。ジェニファー・パルカは批判をしても何も変わらない、批判をするよりも人々の手で変えるものであるということに言及しています。私も選挙で選ばれた政治家や高い給料をもらっている官僚が国のことを考えて動けばいいという考え方でしたが、最近はそれでは全く何も変わらないことを痛感しています。文句を言うことで政治家、官僚が動き、世の中がよくなればいいのですが、テレビ、ソーシャルメディアを見て文句を言ったところで何も変わらないのです。この点をジェニファー・パルカは政治家、官僚は水面下で行う仕事に謀殺され、水面上に現れる問題は市民が解決すればよいと説明しています。政治家、官僚、市民がそれぞれ「個人ではできないことを皆でやること」が政府なのです。
We’re not going to fix government until we fix citizenship.
市民の意識が変わらないと政府も変わりません。
前述した内容と重複するが市民それぞれが自分ごととして捉えなければいけません。システム思考(※)で言うところの「市民一人一人がシステムの一部であり問題の原因」となっているのです。政治家、官僚だけが悪いのでは決してありません。
※システム思考・・・システム思考 – The Fifth Discipline – 学習する組織の5つのディスプリン
「個人ではできないことを皆でやる」市民アプリを作り、みんなで動かす
ここで解決策として市民アプリを作成し、市民で運用することを説明をしています。市民アプリとは市民が参加することで問題を解決できるアプリのことです。番組では「Code for America」「雪かき・消火栓のメンテナンスを行うアプリ」の紹介がされていました。位置情報を使い雪かきや、消火栓の周りを清掃するのですが、単に清掃したというだけでなく清掃すれば消火栓に名前を付ける権利が与えられるというインセンティブが付けられています。消火栓に名前がつい手入ればその人が清掃したということが他の人にも分かるということですよね。このようにして市民が参加する意識を持ち継続的に行う仕組みを政府、自治体と協力してくという方法です。
番組とは別ですがアメリカではほかに「犯罪を通報できる」アプリや「市民が問題箇所を通報する」アプリも提供されています。
”ヴァージニア州のマリオンという町が、市民が犯罪の報告に使える無料アプリ「iWatch Marion」を公開した。市民はこのアプリで、目撃している犯行を電話、テキストメッセージ、写真、動画などで地元警察に通報できる”
マサチューセッツ州、ボストンの311型市民通報アプリを州全域で採用へ(OKFN)
“マサチューセッツ州が、ボストンで2009年から導入されている311型市民通報システム”Citizen Connect“を州全体に拡大すると発表しました。これによってマサチューセッツ州の36の市や町が同じ311型通報システムで結ばれ“Commonwealth Connect“へと広がります。
これによって、例えばフィッチバーグの住民がボストンを訪れている場合でも、いつもと同じフィッチバークのアプリを使ってたまたま見つけたボストンの問題箇所を報告することができ、その報告はボストン当局に届きます。”
「私たちが変わらないと政府は変わらない」というのがCode for Americaの理念
Code for Americaは既存の行政サービスを改善するために優秀なウェブ技術者にアプリケーション開発をしてもらうプログラムです。googleのトップ級のITエンジニアなどの優秀なウェブ技術者が地方自治体に派遣されているのです。アメリカでは行政と優秀な技術者とのマッチングが非常にうまくいっていることが大変興味深いです。日本でも東北地方太平洋沖地震の発生後、政官民が一体となった「助けあいジャパン」が発足していますが、このようなマッチングが恒常的にかつ継続的に行われる仕組みが必要なのではないでしょうか。さらに先ほどの市民アプリのように市民も参加するのです。これからは我々一人一人が変わらないと政府が変わらないということが示されているのではないのでしょうか。
ウェブ技術者と地域行政が出会うプログラム~「コード・フォー・アメリカ」の試み(現代ビジネス。市川裕康氏)
「テクノロジーには世界を変える力がある」
この番組を見ていて「ゲーミフィケーション」が社会を変える手助けになるのではないのかと再認識しました。よりよく変えるためには我慢強く、継続的に行う必要があります。そこでゲームテクニックやアプリを使い、モチベーション、インセンティブ、エンゲージメント設計を行い、市民のモチベーションを喚起し、継続的に行っている活動につなげる。そして市民、自治体、官僚、政治家が政府なのであるということを認識し、それぞれのできることを継続的に進めることで社会を良くして行くことができるのではないでしょうか。
最後にタイトルの「やっぱりゲームの力が社会を変える?」の答えですが、単にゲームの力だけで社会を変えることができるわけではなく、社会を変えるのは一人ひとりが自分ごととして問題を捉え、ゲームの力で一人ひとりの力を引き出すことで社会を変えることができるのではないでしょうか。
この放送は再放送がEテレ(NHK教育)で27日 (日曜深夜) 24:45 – 25:10にありますので是非まだ見ていない方は見てみてください。
by 岡村 健右(おかむらけんすけ)
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