地方を考えるということは、「自然」や「特産品」といった地域ならではの魅力を考えることである一方、「過疎化」や「高齢化」など、日本全体の問題を考えるということでもあります。
このブログの読者は、首都圏に住んでいる方が多いと思いますが、元々は地方出身の方、将来Iターン・Uターンなどを考えている方、或いは、「プロボノ」や「ソーシャルグッド」、「ボランティア活動」に興味がある方に、是非参加して頂きたいトラックです。
イベント主催者の二人に一人が「もっとボランティア活動をしたい」
このブログで何度か紹介しているアンケート(2013年3月~4月イベント主催者を対象に実施、有効回答数142)から、ひとつのデータをご紹介します。
「あなたは、ボランティアやNPO活動、市民活動について、参加もしくは参加の意向はありますか。関わり方について、あなたの今後の意向として最も近いもの1つに○をつけてください。」という質問の答えですが、これは内閣府が毎年実施している「国民生活選好度調査」と同じ設問です。
調査方法・時期が異なるのであくまで参考程度ですが、2011年に実施された内閣府の調査との、比較を表したのが下記の図です。(比較:平成23年度・内閣府・国民生活選好度調査)
ボランティアやNPO、市民活動について、「これまでも参加していたが、今後はもっと活動を増やしたい」と答えた人が、内閣府の調査(≒国民全体)では14.80%だったのに対し、イベント主催者の間では48.04%と、非常に高い数字になりました。
イベント主催者の、こうした活動への高い参加意識が伺える数字と言えるのではないでしょうか。
さて、1962年に設立され、日本の非営利活動の支援を長年行なっている日本財団が、今年、興味深いイベントを開催しました。その名も「出身地DAY」。首都圏在住の参加者が、「出身県別」にグループを作り、地元の問題を一緒に考えるという趣旨のワークショップです。テーマは「出身地」ということだけ。私も参加しましたが、少人数のグループで、各々に考える地域の問題を持ち寄り議論するという、シンプルな構成でした。イベントページに掲載された説明文をご紹介します。
今、出身地が熱い。
出身地から遠く離れて暮らす中、地元のために何かしたい!
という熱い思いの人が今、確実に増えています。
その出身地では、市民や企業、NPO、行政が熱い思いと行動で、
地域をよりよくしていこうという動きが始まっています。
そう、出身地も、出身者も、今、熱いのです。
日本財団CANPAN&日本マイクロソフト・NPOフォーラム「出身地Day」1月14日(月・祝)CANPAN・NPOフォーラム
「ボランティア」や「市民活動」に対する意欲の一部は、確実に「地方」に向いている、と言えるでしょう。
(私も、このイベントで知り合った仲間と、早速「北海道」の魅力を考えるイベントを開催することになりました。-北海道DAY〜179市町村出身の道産子大集合~! PeaTiX)
徳島県・神山塾:イベントでコミュニティの活性化
Event Festival Tokyo 2013では、主に「地域貢献」のためにイベントを開催している、全国の主催者にご登壇頂きます。
徳島県・神山町
まずご紹介するのは、徳島県・神山町で求職者の職業訓練を目的とし、イベントプランナー・コーディネーターの養成を行なっている「神山塾」です。
徳島県・神山町は、IT関連企業のサテライトオフィスを誘致するなど、過疎化や高齢化を食い止めるための施策を積極的に打っていることで注目されている自治体です。自然あふれる神山町に、IT産業を中心に新たな風が吹く中、地元の職業訓練として運営される「神山塾」で扱うのは、イベント事業関係やローカルメディアといった企画・創作分野が中心。
「神山塾」で学んだ若者が、どのようなイベントを開催し、街のコミュニティにどのような影響を与えているのでしょうか?
Event Festibal Tokyo 2013では、同塾を運営する祁答院氏に、イベントと地域活性の関わりについての意味やビジョンを語って頂きます。
セッション情報:地域活性を目的としたイベントプランナー養成プロジェクト「神山塾」とは 祁答院弘智/神山塾
「歩きながらの地図作り」で防災や観光を考える
もうひとつ、「地図作り」を通じて、地域のコミュニティを活性化させるプロジェクトを行っている「オープン・ストリート・マップ」の活動も紹介します。
オープン・ストリート・マップは、道路地図などの地理情報データを誰でも作成・利用できることを目的とした非営利のプロジェクトです。(Wikipediaの「地図版」と言えるでしょうか。)
皆さんも、PCやスマートフォンから、よく地図アプリを使っているのではないでしょうか。大手のサービスは、ほとんどが民間の地図データ作成企業から、ライセンスを購入して提供されているものですが、恐らく日常の利用ではほとんど問題を感じていないでしょう。
では、なぜ「オープン・ストリート・マップ」は必要であり、重要なのでしょうか?
日本で「オープン・ストリート・マップ」が活躍した象徴的な事例は、3.11の震災直後に生まれました。地震発生後、おびただしい量のツイートがネット上に溢れましたが、多くの救助要請や、安否確認の情報も投稿されていました。
「もし、こうした情報が地図上に表示されれば、救助や支援に役立つのではないか?」
というアイデアから、地震発生の4時間後に「sinsai.info」というサービスが生まれました。Twitterやサイトに寄せられたコメントを、地図アプリ上にリアルタイムに表示するサービスです。被災地の地図も、リアルタイムに更新され、救助や支援の一助となりました。
もし、このサービスで民間の地図データを使っていれば、契約やデータのやり取りの手間で、とても時間がかかってしまったでしょう。
「誰もが自由に使える地図=オープン・ストリート・マップ」が存在したからこそ、実現したサービスでした。
さて、この「オープン・ストリート・マップ」を更新するためには、「GPSロガー」と言われる、緯度経度情報を記録する特別な機械を持ち、「実際に道路を歩く」必要があります。(他にも、衛星写真や空撮写真などを使う方法もあるようです。)
この一見退屈(?)な「作業」を、その地域のコミュニティを巻き込んだ、街歩きイベント=「マッピングパーティー」にアレンジして開催しているのが、オープンストリートマップ・ファウンデーションです。
「歩きながらの地図作り」というイベントを通じて、今まで見えなかった防災の問題や、観光の可能性が見えてくるーマッピングパーティーが参加者や地域に与えるものについて、古橋大地氏にご紹介頂きます。
セッション情報:地域の人を巻き込んで、みんなで作る地図「オープンストリートマップ」のイベントづくり 古橋大地/オープンストリートマップ・ファウンデーション
この「Local」トラックは、地域の面白い取り組みや、地域活性化の事例を、写真を通じて紹介するメディア「finder」の奥田浩美さん、本田正浩さんの協力で実現しました。
どのセッションに参加しますか?開催は5/26(日)
さて、これで、イベントのノウハウを吸収することができる「MAINトラック」「Leaningトラック」「Cultureトラック」「Localトラック」を全てご紹介しました。
プログラムの詳細はこちらです。あなたはどのセッションに興味を持ちましたか?
Event Festival Tokyo 2013 プログラム
次回は、Event Festival Tokyo 2013全体を通じた「楽しみ方」を、ご紹介します。
Event Festival Tokyo 2013
http://eventfes.org
全32セッション・3ワークショップから自由に選択!4700円で最大8セッション+3ワークショップを楽しめます!
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">by 庄司 望
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