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インフルエンサー分析の活用法|事例 Yogibo(ヨギボー)人気を広めたのは?

2021/12/27 11:00 投稿

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昨年、兵庫県加東市のふるさと納税寄付額が約8倍に増加したことがニュースになりました。その要因となったのがビーズソファ「Yogibo(ヨギボー)」です。同市では同商品の組み立て工場があることから返礼品に設定しており、新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり消費」も相まって人気を集めています。

他にも取り扱い店舗が続々と誕生したり、総合格闘技「RIZIN」のスポンサーになったりと、ここ数年で目にする機会が増えてきたYogiboですが、その人気はどのような人たちが広めたのでしょうか?

今回は、Twitter上のクチコミから、同商品の認知の広がりや評判に影響を与えたインフルエンサーについて分析してみたいと思います。

 

【1】「Yogibo(ヨギボー)」を含むツイート件数の日次推移

まず下のグラフは、2020年1月1日から2021年4月10日までの「Yogibo」や「ヨギボー(よぎぼー)」を含むツイート件数の日次推移を示しています。2020年第1四半期における平均日次ツイート件数は208件/日でしたが、2021年第1四半期では1,245件/日と約6倍に増加しています。この1年間で認知が急速に広まってきたことが分かります。


なお、今回もTwitterの全量データを検索・分析対象とすることが可能なソーシャルメディア・アナリティクスツールBrandwatchをお借りし、データ収集を行っています。

 

【2】インフルエンサーをツイートから特定する方法


ここからは、対象となるモノや事象の認知拡大を引き起こした話題は何だったのか、その起点となった「人」=インフルエンサーとなったアカウントは誰だったのかを、取得したツイートをもとに見ていきます。

 

(1)関連する企業アカウントのツイートを除外する

まず「人」に焦点を当てるために、先述のYogiboを含むツイートから、企業の公式アカウントなどが実施するキャンペーンやスポンサー関連(=企業アカウント)の投稿を除いていきます。これはキャンペーンなどの企業発信の広がりだけでは気付けない、ユーザー個人を起点とした話題の広がりを把握するためです。

関連する企業アカウントのツイートを除き、その他ツイートを抽出するにはソーシャルリスニングツールを活用します。ツールによっては「NOT条件」を設定することで特定のアカウントやキーワードのツイートを簡単に除外することができますので、これを使い、目的のツイート抽出を行います。

※NOT条件による詳しい絞り込み方法は、以下の弊社note記事をご参照ください。

▼ソーシャルメディア上のクチコミデータを漏れなく収集するには?

https://note.com/looopscom/n/naaa40f054c57


今回のケースでは、Yogibo Japan公式(@yogibojapan)、RIZIN公式(@rizin_PR)、またニュースサイトのPR記事の投稿を除くためにいくつかのメディアのアカウントや、「キャンペーン」といった文言をNOT条件に設定します。

すると、ツイート件数の日次推移は以下のようになりました。


2020年第1四半期における平均日次ツイート件数は154件/日でしたが、2021年第1四半期では593件/日となっており、4倍程度増加しています。企業アカウントの発信以外でも話題になることが大きく増えたことが分かります。

 

(2)認知拡大を引き起こした話題・アカウントを抽出する

次に、この認知拡大を引き起こした話題と、その発信を行ったアカウントを調査するために、トレンド方式を活用します。トレンド方式では、日次ツイート件数が急増したタイミングとその急増度合いを拡散規模として数値化しています。これにより、ツイート件数の急増に影響を与えたツイート(話題)とアカウントを把握することができます。

下表は、対象期間中(2020年1月1日から2021年4月10日)で、拡散規模が大きいタイミングの上位10件を抽出し、そのタイミングで拡散を広めたツイートとそのツイートの投稿アカウントをリストアップしたものです。

※トレンド方式や拡散規模の詳しい説明はこちらの過去記事をご参照ください。

https://media.looops.net/fukuda/2020/05/20/sociallistening_hashtag01/

 


 

(3)それぞれの話題・アカウントの特徴を見る

抽出したツイートとアカウントから、認知拡大を引き起こした話題・アカウントの特徴を見ていきましょう。

1位の羽流木はない(@warugi871)さんは、漫画家の方です。該当の投稿は以下で、1.6万リツイート、5.7万いいねが付いています。アカウントのフォロワー数は約2万人です。この投稿の前後に大きなプロモーション施策がなかったため、期間中最大の拡散規模となりました。

知り合いに頼まれてマンガ賞の宣伝ですが、普通にヨギボーめちゃくちゃほしい🙆‍♀️ 素敵な企画なので家がテーマのマンガ描いたことある人は是非是非〜#巣ごもりマンガ pic.twitter.com/BRg5YbocB5

— 羽流木はない (@warugi871) May 26, 2020

 

この投稿は、漫画アプリ「GANMA!」が主催する【#STAYHOME 応援! #巣ごもりマンガ コンテスト】の宣伝投稿にあたり、投稿者はコンテストの景品であるYogiboが「めちゃくちゃほしい」と投稿しています。

次いで2位は大阪のお好み焼き店の投稿、3位は20万人のチャンネル登録者を抱えるYouTuberの投稿です。

4位は男性アイドルグループ9bicのメンバー六花清春さん(@9bic_kiyoharu)の以下の投稿でした。ファンを中心にコメントが470件、いいねが4,000件、リツイートも400件程度付いています。

今日は部屋の家具を買いに行くために、マネージャーさんに車を出してもらいました。
ヨギボー買いました。
僕は重たくて持てなかったので、マネージャーさんに持ってもらいました。
横歩くの凄い恥ずかしかったなんて絶対に言えない💦
お手伝いありがとうございました🙇‍♂️pic.twitter.com/fRu4Ba572c

— 六花 清春 (@9bic_kiyoharu) March 7, 2021

 

その他、7位は三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの小林直樹さん、8位は人気声優の内田真礼さん、9位は元プロ野球選手の清原和博さんと、著名人の投稿が続いています。

このように、「Yogibo」に関するツイートを収集することで、認知拡大を引き起こした話題・アカウント、その特徴を把握することができました。

 

補足:関連の企業アカウントを含めて抽出した場合

ちなみに、キャンペーンやスポンサー関連の企業アカウントを含めると、上位10件は以下のようになります。1位は、キャンペーンやスポンサー関連の企業カウントを除いたケースと同じく羽流木はない(@warugi871)さんの投稿でした。2位以降、青色はYogibo Japanの公式Twitterアカウント(@yogibojapan)、茶色は同社スポンサー「RIZIN」の公式アカウント(@rizin_PR)、緑色はニュースメディアのアカウントです。


それぞれ、青色はプレゼントキャンペーンの告知投稿、茶色はスポンサー関連イベントの告知投稿、緑色はコラボキャンペーンなどの紹介記事の告知投稿でした。

 

【3】フォロワーの購買行動にどのような影響があった?

拡散規模をもとに、認知拡大を引き起こした話題・アカウントが分かりましたが、拡散規模が大きかったツイートに対し、各アカウントのフォロワーたちはどのように反応したのでしょうか。

ここからは、キャンペーンやスポンサー関連の投稿を除いた中で拡散規模の大きい話題を投稿したアカウントである@warugi871と@9bic_kiyoharuと、比較対象として@yogibojapanの投稿に反応したフォロワーを見てみます

以下の表は、それぞれの拡散した話題を投稿したアカウントのフォロワー数と該当の投稿に反応したユーザー数を示しています(follower数は2021年4月30日現在)。


次に、上記ユーザーのYogiboに関する投稿内容と購買行動の傾向を見てみましょう。下の表は各ユーザーの投稿内容をもとに、コトラーの購買行動フレームワーク「5A」の各プロセスに該当する投稿を仕分けたものです。


※「5A」の詳しい解説については、こちらの記事をご参照ください。

https://media.looops.net/fukuda/2020/08/18/sociallistening_5a/

 


ツイートは各プロセスごとに以下に沿って仕分けています。なお、RTはカウント対象から除外しています。

認知:商品のことを初めて認識した、関心を持ったと思われるツイート
訴求:商品を「欲しい」「買いたい」などと言及しているツイート
調査:商品を具体的に購入するための検討・準備をしていると思われるツイート
行動:商品の購入を決意あるいは購入したことが分かるツイート
推奨:商品をすでに使用して、その感想を述べているツイート


このように拡散規模の大きな投稿を行ったアカウントと、その投稿内容によって、ユーザーの反応に違いがあることが分かります。実際に反応したユーザーの投稿の特徴を購買行動のプロセスごとに見てみましょう。

①認知プロセス

@yogibojapanの投稿に対し、以下のような投稿が該当しました。

@XXXXX yogibo聞いたことある高そうだねえ😅
@XXXXX 石の上は無理でも、これなら9年乗れる!ヨギボーって今まで名前しか知らなかったけどどれも可愛いな〜。
@XXXXX はじめてyogiboの存在を知りました😅そんなに座り心地良いんだ!僕も欲しくなりました。
@XXXXX 人をダメにするyogiboってこれのことか
@XXXXX よぎぼーってなあに……????
@XXXXX ヨギボー?
【本日の初めて】ヨギボーて今日始めて知ったなー。小学生の息子がすでに知ってたんだけど流行ってるの?😵


このように認知プロセスの投稿が見られましたが、その他アカウントに対する投稿では0件と、@yogibojapanの投稿はフォロワーの認知への影響が見て取れました。

 

②訴求プロセス

すべてのアカウントで対象となる投稿が確認できました。ツイート件数を比較すると@yogibojapanの3,030件に対して、@warugi871が79件、@9bic_kiyoharuが132件でした。

下の表とグラフは、上記ユーザーが期間中(2020年1月1日〜2021年4月19日)にYogiboに関して語っている投稿内容をツイートの種類別にRT、@ツイート(メンションツイートと返信)、それ以外のツイートの3種類に分類した結果を示しています。@9bic_kiyoharuに対するツイートは@ツイートと返信の割合が37%と突出して高くなっているのが特徴です。



表では実数値、グラフでは割合を示しています。なお、@yogibojapanと@warugi871は、対象の投稿のうち、それぞれ無作為に5,000件を抽出し仕訳を行い、全体の対象ツイート件数に案分して件数を算定しています。


@9bic_kiyoharuに対するツイートは、フォロワーがタレントに話しかけるような投稿が数多くあり、「Yogiboを買いました」と記した投稿にも、「よかったねー」「買ったんだ!」といったリアクションが数多くみられました。日ごろからの親しみのある投稿を通じて、関係性を育んできたアカウントであることが見て取れます。

 

③調査プロセス

このプロセスにおいても、@yogibojapanのツイート件数が突出しています。以下のような無印良品の商品と比較するツイートを数多く確認できました。

ヨギボー気持ち良さそうやんな〜
シンプルなら無印も良さそう!悩むーん

— スイちゃん (@suichan_7) April 18, 2021


その件数は@yogibojapanに比較すると少ないですが、@warugi871でも、以下のようなかなり真剣に検討している投稿も見られます。漫画家である@warugi871のフォロワーのプロフィールを確認するとイラストレーターやライターなど自宅で仕事をされている方が多いように見受けられました。

このため、自分の部屋環境を快適にするためにYogiboの導入を検討している様子がうかがえます。訴求プロセスで紹介した頻出語を見ても、「身体」「椅子」「作業」など他のアカウントでは見られない単語が並んでいます。アカウントによって関心が異なることがよく分かります。

部屋に置くソファー、ニトリですごく座り心地いいなと思ってたカウチソファーはデカ過ぎてうーん、リビングに代わりに置くか、どーしようかなーって悩んでたけど、Yogiboいいな。こないだ店舗行って座ったのめっちゃ良かった。自分の部屋用に買おうかしら。。。

— 助さん@返信滞り中 (@nyannyangao1) July 15, 2020

 

 

④行動プロセス

商品の購買行動を起こしたことが分かるプロセスです。@yogibojapanでは、該当ツイートの30%で「届いた」という単語を使っています。以下のツイートのように、ネット通販などで実物を見ずに購入している人が多いことがうかがえます。

届いたYogiboが想像の1.5倍デカくて
困ってる

— ㍣®孤独な蒼だった人 (@11_aoi_dt) April 19, 2021

 

また、@yogibojapan以外では、訴求プロセスで言及した人が購買したケースが確認できませんでしたが、@9bic_kiyoharuでは、以下のような投稿が確認されました。この方は、購買までの過程については投稿されていませんが、タレントの影響を受けて購入したとしています。途中のプロセスの投稿は表出していなくても、着実に影響を及ぼしていることが分かります。

きよちゃんに影響されてヨギボー買っちゃったピースピース(✌🏻

— いぬちゃ! (@Ma_046_inu) April 5, 2021

 

 

⑤推奨プロセス

3つのアカウントとも、調査・行動プロセスよりも多くの投稿が確認できました。しかも、その内容の大多数は購入者が満足している様子を伝えています。購買行動にも良い影響を与えていると考え得られます。

例えば、@yogibojapanでは、訴求プロセスから調査・購入プロセスを経て使用感に言及し、友人にかなり強く推奨している様子が確認できます。以下では、あるアカウントの友人とのやりとりを時系列に示したツイートです。購買を悩んでいるところから購入〜使用した感想を語りつつ友人に推奨しているプロセスが分かります。

@XXXX ヨギボーのクッション買いに行くか悩み中ーー
@XXXX ありがとう😆けどここにヨギボーがきます💦
@XXXX ありがとう😆カラフルなヨギボーが届きましたwwww
@XXXX ありがとう😆\nちょっとだけやる気出たしこのお部屋だけやった!ヨギボーの場所を確保せなあかんかったから
@XXXX もし渋るようなら一緒にヨギボーの良さをプレゼンしますので
@XXXX それだけ頑張ったなら「あたし頑張ったからヨギボー買え」だけで良さそう🤣
@XXXX コットンちんがヨギボーから抜け出せなくなったら大変やからダメーヽ(;▽;)ノこの呪いはおれで止める( •̀ᄇ• ́)ﻭ✧
@XXXX ヨギボー使うとほんとに離れたくなくなります!他のビーズクッションとは別格ですよ😆←こちらは広告ですw


@wagrugi871では、以下のように使用感に関連するものが多い傾向があります。寝心地の良さを様々な表現で例えています。また一方で、ビーズの補充が大変であるといった感想も確認できました。


まじでヨギボーとこたつはダメだ 永遠に寝れちまう
やっとおうちのヨギボーのビーズ補充(1.5kg分)終わったわ・・・買った当時のふかふか感戻ってまんぞく
よぎぼーで1日始まるか…?二度寝の始まりじゃないか…?
ヨギボーに身体を預けている
ヨギボーに埋まったままこたつに入ってだらだらしてる。至福…
ヨギボーのおかげでこたつでの寝落ちが最高に気持ちいい…( ˘ω˘ )スヤ…
ヨギボーロール、肘掛けだったり抱き枕としての用途らしいけど、普通に上に寝転べるし寝心地良い
ヨギボー座って作業すること多いからいい感じの机欲しいんだけどいいの見つかんない😭クッション付きの机いい感じかな


@9bic_kiyoharuでは以下のような、専らタレントに「自分も持っている」といったアピール投稿です。

@9bic_kiyoharu おはYO\nヨギボーあるあるやな\n私もよくあるw
@9bic_kiyoharu おはよ!!!!!わたしもいまヨギボーに寝転がってる
@9bic_kiyoharu おはよん!私もyogiboから動けまてん👶🏻
@9bic_kiyoharu ほんとにyogiboは一回寝たら起きられへん😂🛌
@9bic_kiyoharu マネージャーさん力持ち😳yogibo使うとほんとに動きたくなくなるよ~~~
@9bic_kiyoharu めちゃくちゃ重たいよね!休みの日はヨギボーに座って1日終わりそう😂
@9bic_kiyoharu 私も今ヨギボーの上です😇
@9bic_kiyoharu 私も今ヨギボー座っててアイカーブ見てるw動けないのめっちゃ分かるwww

 

 

【4】まとめ

1)インフルエンサーの特定

ツイート件数の内訳をみると、公式アカウントから発するキャンペーン投稿やスポンサーイベントの告知が40%であり、それ以外の個人などの発信するツイートが60%に達することが分かりました。

その中でも、人気タレントや漫画家、スポーツ選手などの発言がYogiboの認知拡大や評判に影響を与えたことが分かりました。巷で活用されているインフルエンサーマーケティングも一定の効果が見込めると考えられます。

 

2)それぞれの話題・アカウントの特徴

しかしながら、その発言する人(アカウント)の特徴や言動(ツイート内容)によって、ユーザーの行動は大きく異なることも明らかになりました。

漫画家である@warugi871アカウントでは、イラストレーターやテキストライターなどのクリエーターのフォロワーが多い傾向があります。拡散した元のツイートの反応としてはリツイートが大部分を占めていましたが、調査プロセスに該当するツイートでは商品の導入に関してより具体的に詳細に検討をしていることが分かりました。商品の理解が相当深まった段階で購入される人々です。

一方で、@ツイートと返信が数多く集まる@9bic_kiyoharuでは、フォロワー(ファン)がタレントに親近感を持っていることが分かりました。多くのリアクションはタレントへの共感の表明であり、関心の対象は専らタレントです。フォロワーが商品を購入すると決意する背景には、そのタレントが愛用していることが想定されます。

 

3)マーケティング施策の活用ヒント

このように、インフルエンサーの日ごろのフォロワーとの関係によってリアクションも大きく異なることも明らかになりました。また、インフルエンサー(アカウント)の特徴や投稿内容によって、ユーザーが関心を持つポイントも大きく異なると考えられます。インフルエンサーマーケティングでは、このことを理解した上で活用することが望まれます。

自社商品・サービスの話題の拡散を図る上で、その話題に関心を持ったアカウントや、その投稿内容に着目して深堀りすることで、マーケティング施策に活用できるヒントが数多く見えてきますね。

 

 

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