Facebook Japanの発表によると、ユーザーがよく見るコンテンツに「スポーツ」があげられ、また「スポーツ」の投稿の増減も2015年から67%増と(表中2番目の増加率)、Instagram上でスポーツ関連の投稿が増加していることがわかる。
そこで今回は僕自身も興味がある、スポーツ関連アカウントのInstagram活用を紹介したい。Instagram分析ツール「Aista」を利用し、「スポーツ」カテゴリのアカウントを抽出し、フォロワー数や平均いいね!率などを10月1〜31日の期間にて調査した。
同ツール内に登録されているアカウントのみが調査対象となり、さらに、フォロワー数が5000を下回るアカウント、投稿内容が英語のみなど日本国外を対象に運用しているアカウントは、今回の調査外としている。
サマリー
「スポーツ」カテゴリの企業アカウント(計45アカウント)を、当社でさらに小カテゴリにわけて集計した。
プロリーグや大会組織などはリーグ・組織、スポーツメーカーやアウトドアブランドなどはメーカー・ブランド、プロ球団やクラブなどはクラブ・チーム、アカウント数が少なかったメディアなどはその他に分類し集計した。
リーグ・組織は、コンテンツの権利を保有することが多いためか、平均投稿数が多く平均いいね!率も高い傾向。幅広いファン層がいることが考えられ、平均フォロワー数が57,994人と最も多い。
メーカー・ブランドは、新製品の紹介など情報発信用途の他に、製品を使ったコーディネートの投稿もよくみられる。スポーツそのものではないためコンテンツ自体へのファンの濃さはリーグ・組織やチーム・クラブに劣るためか、平均いいね!率はやや低い。
クラブ・チームは、それぞれコアなファンを有しているためか、平均いいね!率が9.63%で最も高い。リーグ・組織同様にコンテンツの権利を保有していることが多いためか、平均投稿数も最も多い。
その他にはパ・リーグTVやサッカーキング、FiNCなどのメディアやサービスが含まれており、特に後者2アカウントの平均ハッシュタグ数が多いため、その他全体の平均ハッシュタグ数も多くなっている。
以降、小カテゴリごとにアカウントをピックアップし、運用状況分析したい。
リーグ・組織
平均いいね!率 4.62%
平均投稿数 32.5
平均ハッシュタグ数 9.1
Jリーグ、日本サッカー協会と、サッカー関連団体のフォロワー数が10万人を超えている。Jリーグでは、試合中のベストショットやオフショットなど競技の面白さをみせる投稿だけではなく、インスタジェニックなスタジアムグルメなど試合外の楽しみも盛り込むことで、スポーツ好き以外に人にもJリーグの魅力を伝えている。
J.LEAGUE OFFICIALさん(@jleaguejp)がシェアした投稿 – 2017 10月 6 9:50午後 PDT
他にも選手の背番号を使い「フォロワー◯◯人突破」のお礼や、ダブルタップ機能を活用し選手とハイタッチできるような投稿など、遊び心あふれる運用を行っている。
J.LEAGUE OFFICIALさん(@jleaguejp)がシェアした投稿 – 2017 10月 29 10:56午後 PDT
J.LEAGUE OFFICIALさん(@jleaguejp)がシェアした投稿 – 2017 10月 17 4:57午前 PDT
B.LEAGUE_OFFICIALも、同様に既存のバスケットボールファン以外の人でも楽しめるようなコンテンツを投稿している。また、一般のユーザーのように文章化したハッシュタグや、「#秋コーディネート」などInstagram上で人気のハッシュタグを積極的に使っており、Instagramでの新しいファン層を開拓しているようだ。
B.LEAGUE(Bリーグ)さん(@b.league_official)がシェアした投稿 – 2017 10月 22 8:08午後 PDT
B.LEAGUE(Bリーグ)さん(@b.league_official)がシェアした投稿 – 2017 10月 15 10:29午後 PDT
ユニークな運用を行っているのが、ラグビーワールドカップだ。
日本で開催される2019年ラグビーワールドカップのアカウントで、出場国を試合動画で紹介したり観戦者の写真の投稿は他のスポーツ系アカウントでもみられるが、関連イベント(試合日程発表会)の告知を、他のスポーツの選手や関係者が行っている。
ラグビーワールドカップさん(@rugbyworldcupjp)がシェアした投稿 – 2017 10月 30 4:45午前 PDT
ラグビーワールドカップさん(@rugbyworldcupjp)がシェアした投稿 – 2017 10月 27 2:23午前 PDT
ラグビーワールドカップさん(@rugbyworldcupjp)がシェアした投稿 – 2017 10月 26 2:23午前 PDT
JリーグやB.LEAGUE_OFFICIAL同様に既存ファン以外の層にアプローチを狙っているが、他のスポーツ関係者を巻き込む施策は斬新でユニークである。
メーカー・ブランド
平均いいね!率 3.27%
平均投稿数 21.3
平均ハッシュタグ数 8.2
メーカー・ブランドでは、コンバースやReebok classic JP、ADIDASTOKYO、ASICS Tiger JAPANなど人気メーカーのアカウントがフォロワー数上位に位置している。
自社製品を扱うメーカー企業らしく、新製品の紹介や、製品を合わせたコーディネートなどをオシャレにみせている。Instagramがそもそもファッションと相性の良いプラットフォームということもあり、どの投稿にもファンが多く反応している。
コンバースジャパンさん(@converse_jp)がシェアした投稿 – 2017 10月 23 12:24午前 PDT
リーボック クラシックさん(@reebokclassicjp)がシェアした投稿 – 2017 10月 2 2:57午前 PDT
東京のストリートに映える、シンプルなオリジナルデザイン。 #TakeChargeTokyo #adidasrunnerstokyo #adizero #adidastokyo #アディダス
ADIDASTOKYOさん(@adidastokyo)がシェアした投稿 – 2017 10月 29 1:59午前 PDT
所属するモデルやアスリートを投稿に活用し、自社の世界観を強く訴求している。
ASICSTIGER JAPANさん(@asics_tiger_japan)がシェアした投稿 – 2017 10月 4 12:45午前 PDT
Under Armour(アンダーアーマー)さん(@underarmourjp)がシェアした投稿 – 2017 10月 30 4:50午後 PDT
カッコよさやオシャレさなどブランドの世界観を作り出す運用が多い一方で、DOPPELGANGER OUTDOORのように親しみやすさでアプローチするような運用ももられた。
「こんにちわ〜DOD投稿者です」と挨拶するなど運用担当者の人格を出し、絵文字を多用することで「企業アカウントっぽさ」がやわらいでいる。また、自社製品に対する要望を募集するなど、ユーザーと積極的にコミュニケーションを図っている。
DODさん(@doppelganger_outdoor)がシェアした投稿 – 2017 10月 20 1:55午前 PDT
DODさん(@doppelganger_outdoor)がシェアした投稿 – 2017 10月 25 1:51午前 PDT
チーム・クラブ
平均いいね!率 9.47%
平均投稿数 36.9
平均ハッシュタグ数 5.8
※アカウント数が20と多いため、掲載の都合上フォロワー数上位10アカウントを表に掲載した。
日本で人気2大スポーツともいえる野球、サッカーのチーム・クラブアカウントが上位を占めた。また、アカウントの特性上、これまで紹介してきたアカウント以上に既存のコアファンとの関係性が強いためか、平均エンゲージメント率が9.47%で非常に高い。
北海道日本ハムファイターズが唯一フォロワー数10万を超えた。投稿数こそ5件とやや少ないが、既存ファンが好むような選手のオフショットや、一般層への認知度が高い大谷選手を起用した挨拶を行うことで、平均いいね!率16.64%と最も高くなっている。
仲間 #lovefighters #宇宙一のその先へ #二遊間 #20年間 #一緒に守った #仲間 #飯山裕志 #お疲れ様でした!
HOKKAIDO NIPPON-HAM FIGHTERSさん(@fighters_official)がシェアした投稿 – 2017 10月 3 1:32午前 PDT
HOKKAIDO NIPPON-HAM FIGHTERSさん(@fighters_official)がシェアした投稿 – 2017 10月 9 1:36午前 PDT
また、大きな話題となったドラフト会議に関する投稿を速報的に行うなど、ソーシャルメディア上の盛り上がりをしっかりと活用できているといえる。
ドラフト会議2017 #lovefighters #ドラフト会議2017
HOKKAIDO NIPPON-HAM FIGHTERSさん(@fighters_official)がシェアした投稿 – 2017 10月 26 3:52午前 PDT
その他の野球チームのアカウントを見てみると、試合やセレモニーの様子や練習風景、オフショットを載せていることが多い。
読売巨人軍や阪神タイガースが投稿する練習風景やオフショットの動画は、ファンが普段はみられないような姿を映しており、ファンからも応援のコメントが多く寄せられている。
読売ジャイアンツさん(@yomiuri.giants)がシェアした投稿 – 2017 10月 29 4:12午前 PDT
阪神タイガースは「選手と仲良しの球団スタッフ」というような人格で運用しており、投稿文やハッシュタグからついクスッとしてしまうような親しみを感じる。選手自ら撮影した動画など、他のメディアではなかなか見られないようなコンテンツを投稿している。
阪神タイガースさん(@hanshintigers_official)がシェアした投稿 – 2017 10月 16 12:59午前 PDT
東北楽天ゴールデンイーグルスでは、試合や練習風景の写真の他に、各選手の誕生日のお祝いを専用の画像を制作し投稿しており、選手一人一人とファンとの関係性を高めている。
⚾️ 今日は松井裕樹選手の22歳のお誕生日? おめでとうございます㊗️ お祝いメッセージをよろしくお願いします? #rakuteneagles #松井裕樹 #22歳
東北楽天ゴールデンイーグルスさん(@rakuten_eagles)がシェアした投稿 – 2017 10月 29 7:53午後 PDT
最後に、サッカークラブでフォロワー数が多い浦和レッドダイヤモンズと鹿島アントラーズの運用をみてみると、いずれも試合やオフショットの画像が多くを占めている。新規ファン層にアプローチするというよりは、既存のファンとの関係性をしっかり深めるような運用と感じられる。
10.22 vsガンバ大阪。2得点を決めたラファエル シルバ。#wearereds #urawareds #浦和レッズ
URAWA RED DIAMONDSさん(@urawaredsofficial)がシェアした投稿 – 2017 10月 22 6:45午前 PDT
10.1 vsベガルタ仙台を終えて。ラファエル シルバ、西川周作。 #wearereds #urawareds #浦和レッズ
URAWA RED DIAMONDSさん(@urawaredsofficial)がシェアした投稿 – 2017 10月 1 1:27午前 PDT
よろこび。 ともに。 #鹿島アントラーズ #kashimaantlers #jリーグ #jleague #鈴木優磨 #yumasuzuki #伊東幸敏 #yukitoshiito #よろこび #ともに
鹿島アントラーズ公式さん(@kashima.antlers)がシェアした投稿 – 2017 10月 18 12:05午前 PDT
今日は、チームオフです!聖真さん、何していますかね? #鹿島アントラーズ #kashimaantlers #jリーグ #jleague #土居聖真 #聖真 #shomadoi
鹿島アントラーズ公式さん(@kashima.antlers)がシェアした投稿 – 2017 10月 7 7:16午後 PDT
調査方法・用語解説
・データ提供元について
Instagram分析ツール「Aista」登録アカウント
・データ取得期間
2017年10月1日〜10月31日
・いいね!率の定義
投稿のいいね!数÷投稿時のフォロワー数
・表の用語解説
-小カテゴリ:当社で分類し仕分けしたもの
-平均いいね!率:期間中の1投稿あたりの平均いいね!率
-フォロワー数:期間最終日のフォロワー数
-投稿数:期間中の投稿総数
-平均ハッシュタグ数:期間中の1投稿あたりの平均ハッシュタグ数
アカウントプランナー紹介:若月 翼(わかつき つばさ)
1990年山梨県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。在学中はスポーツ政策の学生学会の運営やアスリートの震災復興支援活動のサポートなどを行う。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。最近の興味関心はスポーツ×VR。@tsubasa_waka
いまスポーツが熱い!プロスポーツチームやメーカー、トップリーグなどスポーツ系アカウントのInstagram活用とははin the looop | Looops communicationsで公開された投稿です。
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