Facebookをはじめ、Twitter、LINEといったソーシャルメディアの2016年10-12月期(Q4)決算が出揃った。本記事ではFacebook傘下のInstagram、そして上場が報じられたSnapchatを加え、各社が公表している最新の決算報告などを元に、各社の現状や動きを分析した。

また、本記事終段ではライブ動画配信機能についてもまとめた。

 

2016年10-12月期(Q4)MAU、DAU比較(Facebook、Instagram、Twitter、LINE)

まず、各社の最新四半期決算資料に基づき、メディア規模の指標である月間アクティブユーザー数(MAU)の推移を比較してみたい。

 

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【2015年10-12月期(Q4)〜2016年10-12月期(Q4)までのMAU推移】

 

 

FacebookのMAUが18.6億人で前期比104%、前年同期からの推移をみても前期比104%の水準を維持して順調に増加している。

MAUの内訳をみると、前期に引き続き「Asia-Pacific」が前期比107%と最も伸び率が高い。「US & Canada」は前期比101%で成長スピードがやや鈍化しているが、それ以外の地域では順調に増加している。

 

Facebook MAU 2016Q4

(出典:Facebook決算資料

 

 

InstagramはMAUが6億人で、前回発表時(2016年6月)から半年間でMAUが1億人増加、これまでで最も早いペースでの増加となった。2年間でMAUは3億人から6億人へと倍増している。

 

機能面でも、2016年8月に消える投稿「Instagram Stories」をリリースし、2017年1月時点でDAU1.5億人を超え、「Instagram Stories」内で広告の試験運用も開始した。

 

同社が以下のように発表している通り、引き続き最注目のソーシャルメディアのひとつであることは間違いないだろう。

Instagramはビジネスとの親和性が高いプラットフォームです。利用者の70%がInstagram上で何らかのビジネスアカウントをフォローしており、最も閲覧されたインスタグラム ストーリーズの投稿のうち、3分の1はビジネスによるものです。

(引用:Facebook newsroom

 

 

他方でTwitterのMAUは3.19億人で前期比101%とほぼ横ばい。ここ1年の増加率が前期比101%程度とユーザー数が伸び悩み、前年同期から1,400万人の増加に留まっている。LINEのMAUは2.17億人で前期比99%と、四半期ベースでの減少はサービス開始以来初めてとなった。

Twitter、LINEともに日本国内では好調な一方で、全世界ではユーザー数の増加が停滞している。

 

 

次に上記各社にSnapchatを加え、2016年10-12月期(Q4)の1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)と、サービスの定着率を示す1日に1回以上サービスを利用している人の割合であるDAU率(DAUs/MAUs)をみてみたい。

InstagramとTwitterに関しては、最新のDAU発表がなかったため、前期の数値を用いている。また、LINEは全体のDAU率が非公開であるため、発表されている主要4カ国(日本、台湾、タイ、インドネシア)の数値を入れている。

 

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【2016年10-12月期(Q4)MAU,DAU】

 

 

参考値ではあるが、最もDAU率が高いのはメッセンジャーアプリであるLINE。

 

 

次いで高いのはFacebookで、DAU率は66%。過去1年ほどDAU率は66%前後を維持しており、規模拡大に関わらずユーザーの定着率は一定を維持できている。

Instagram、Twitterに関しては最新のDAUではないため参考値ではあるが、引き続きInstagramの方がDAU率が高い。上述した通り新たにリリースした「Instagram Stories」のDAUが1.5億人を超えていることから、Instagram自体のDAUも成長している可能性が高い。

 

 

今年に入って上場申請をしたSnapchat(運営会社名 Snap)のDAU推移をみてみよう。

 

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【Snapchat DAU推移】

 

上場申請書を見ると、2016年4-6月期(Q2)時点でTwitterのDAU(米Bloomberg調べ)を超えているが、「Instagram Stories」がリリースされた2016年7-9月期(Q3)あたりから前期比の増加率が鈍化しており、影響を大きく受けている可能性がある。

単月でみると2016年12月のDAUは1.61億人で、9月からの増加率は若干の上昇傾向である。

 

 

日本国内MAU比較(Facebook、Instagram、Instagram、LINE)

次に、日本国内における各社のMAUを比較した。

 

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【日本国内における2015年10-12月期(Q4)〜2016年10-12月期(Q4)までのMAU推移】

 

 

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【日本国内における2015年12月時点MAU、2016年12月時点MAU比較】

 

 

LINEを除き日本国内のMAUは決算資料には掲載されないため、各社がインタビューやイベントなどで発表した数値を使用している。特に発表がない期は直前の数値を使用している。

 

 

日本国内MAUが最も多いのはLINE。メッセンジャーアプリとしての立ち位置を確立しているためMAUは多いが、規模が大きいためか増加率は前年比108%でFacebookと同程度。

次いで日本国内MAUが多いのは、Twitterだ。2016年11月の発表によると、日本国内MAUは4,000万人を超えており、Facebook、Instagramに大きく差をつけている。

 

 

Facebook、Instagramに関しては2017年2月の発表で、2016年12月時点の日本国内MAUが明らかにされた。

日本国内のMAUは2,700万人、2015年9月時点の国内MAUは2,500万人(2015年12月の発表)で、前年比108%でLINEと同程度の成長率。9割以上のユーザーがモバイル端末から利用している状況は変わっていない。

 

大きな成長を見せたのはInstagramだ。2016年12月時点の国内MAUは1,600万人で、前年比174%と大幅に増加した。記事内では、「Instagram Stories」が好評であり気軽な投稿をしやすくなったことがMAU増加に影響を与えたとしている。

Facebookでも一定時間で消える投稿機能をテスト中であり、正式リリースされた場合のMAUの変化には注目したい。

 

 

各社のライブ動画配信機能に関する動き

2016年はFacebookを中心に各社のライブ動画配信機能への動きが多く見られた。そこで本記事の最後に、これまでの各社のライブ動画配信機能に関する媒体リリースやアップデート、ユーザー数などの情報をピックアップして時系列にまとめた。上記サービスにYouTubeも加えている。

 

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Facebook

Facebookのライブ動画機能への参入は、2015年7月に芸能人(セレブ)向けのライブ動画配信アプリ「mentions」をリリースした。その後、同年12月にFacebookのアプリ内の機能として「Facebook LIVE」をテストリリース。

 

「Facebook LIVE」は2016年2月から一般ユーザーに開放している。以降はファミリーアプリである「MSQRD」やジャーナリスト向けアプリの「Signal」などからの「Facebook LIVE」配信を可能としており、ユーザーが様々な状況でライブ動画を配信できるようになった。

 

2016年12月には360度動画でのライブ配信に対応、またライブ動画をリアルタイムで加工できるディープラーニングプラットフォームを発表するなど、2016年最もライブ配信機能のアップデートが多かった印象がある。インサイト画面も充実している。

 

 

Instagram

Instagramは、2016年8月に消える投稿機能「Instagram Stories」をリリース。同年12月にライブ配信機能をアップデートしている。他のサービスと違い、ライブ配信後は投稿を保存できないことが特徴。気軽に配信できるものの、効果測定がしにくい側面を持つ。

 

 

Twitter

Twitterは2015年ライブ配信サービスである「Periscope」を買収し、同年3月にTwitterとは別アプリとしてリリースしている。リリース10日間でユーザー数100万人を突破するなど大きく盛り上がった一方で、Twitterとは連携こそしているもののライブ配信の視聴は「Periscope」上でのみ可能であった。

 

2016年1月にTwitterのタイムラインで「Periscope」によるライブ配信の視聴が可能になり、同年の12月にTwitterアプリからのライブ配信に対応している。

 

 

LINE

2014年に芸能人(セレブ)や企業向けに「LINE LIVE CAST」をリリースしている。一般ユーザーは視聴専用で、ユーザーのライブ配信促進というよりは動画メディアの要素が強いだろう。

2015年12月には「LINE LIVE」として改めてリリース。5日間で総視聴者数1,000万人を突破している。一般ユーザーへの開放は翌年の2016年8月で、9月には早くもMAU1,900万人を突破している。配信ユーザーの年間表彰も行っており、コミュニティ活性に力を入れている。

 

 

YouTube

最も早くライブ配信機能を取り入れたのは、YouTubeだ。

2011年にパートナー企業向けに「YouTube Live」をリリースし、2013年には一般ユーザーに開放している。他社と比較すると元々動画メディアの要素が強いため、直接な競合となっていたのはUstreamやニコニコ生配信などだろう。

倍速再生機能の追加や360度動画配信への対応など機能アップデートが他社より早い一方で、モバイルアプリからの配信が可能になったのが2016年6月で他サービスよりはやや遅い。

 

 

※各社の決算資料:FacebookTwitterLINE

 

 

記事執筆:若月 翼(わかつき つばさ)

 

1990年山梨県生まれ。三浦海岸在住。早稲田大学スポーツ科学部卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。in the looop編集長。最近の興味関心はスポーツ×VR。@tsubasa_waka

【2017年2月最新版】直近決算発表に基づくFacebook、Instagram、Twitter、LINEの比較in the looopで公開された投稿です。

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