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「この間も『鶴の恩返し』の話を委員会でしたんだけどね」
――猪木さん、委員会で『猪木詩集』の詩を読まれたんですか?
猪木 例えば「鏡」の詩も読ませてもらったんですね。
――あ、『駄洒落の神様』という詩ですね。
猪木 要するに「怒った顔には怒った顔で 優しい顔には優しい顔で 笑った顔には笑った顔で」って、あ、これ凄く大事だなって思ってね。
――はいはいはい。
猪木 だから外交にしても四角定規の決まったことじゃなくて、もうちょっとハミ出した部分というか、日本的な「平和」のメッセージを打ち出せないか。それが俺からすれば「スポーツ交流、文化交流」なんだけど、それをもっともっと積極的にやれれば。確かに日本でも徐々にサッカーも流行って来ましたけど、俺からすれば格闘技がそれに当たるわけだから。実際、俺なんかは中東においてもどこにおいても(人気がある)。ただ、俺ももう現役じゃないしね。
――それでも猪木さんの詩の朗読が聞ける委員会があるって話自体がいい話ですね。
猪木 たまにしかやらないけどね。
――それでも凄いです。そういう国会であれば、少しは活気が出て来る気がしますね。
猪木 やっぱり「1ミリの非常識」というね。その言葉自体、「とんでもない」とかって言う人もいるんだけど、ほんの1ミリだとしてもハミ出さないと見えない世界があるんです。だから凝り固まってしまうんじゃなく、もっと参議院とは自由であり、「良識の府」という原点に立ち返らなければ。確かに壁を破るのは大変だけど、メッセージは送れますから、中には「そうだよな」と思う人もいると思うしね。
――コピーという話から少しだけつなげれば、最近は偽ベートー•ベンといわれる佐村河内守氏やSTAP細胞の小保方晴子さんの話にしろ、コピーというかパクリというか。そういったニュアンスの話がテーマになっています。
猪木 俺はその辺の話は詳しくわからないから何も言えないんだけど、佐村?
――あ、実は別の方が曲を作っていたという。
猪木 まぁ、黙って騙されていたほうがよかったのかもしれないから、気にせずに騙されていてよ(笑)。
――あ、はい(笑)。確かにそういう情報が入らなければ、気持ちよく聞けた曲なんでしょうしね。
猪木 この間も『鶴の恩返し』の話を委員会でしたんだけどね。
――鶴の恩返し?
猪木 言ってなかったっけ?
――童話にある『鶴の恩返し』ですか?
猪木 農家の夫婦が、鶴が怪我をしていたから手厚く看病したら、だんだん元気になって、これで大空に飛び立てるなってなってね。
――回復したわけですね。
猪木 うん。そして飛び立ってしまった鶴に、「おーい、『鶴の恩返し』を知らないのか?」って言ったら、「俺は鶴じゃなくてサギ(詐欺)だもん」って言ったという(笑)。
――なるほど(笑)。
猪木 だって1週間も経ってみなよ。とくに日本人は飽きっぽいんだから。だから騙すヤツは悪いけど、騙されるヤツも悪かったんじゃないの?
――お互い様な部分もあるのかもしれないですね。
猪木 もうひとつのナントカ細胞のほうは、全くわからないから答えようがないけどね。ただ、マスコミに出るのは怖いんだよ(苦笑)。俺らはいつもそこに露呈されてきたけど、年末にあった俺の事件(懲罰)を考えてみなよ。もう忘れたように、誰一人それについて触れる人もいないでしょう。もちろん、俺だって反省はしてますけど、それはそれとして、俺は信念を貫き通しただけですから。
――猪木流ですよね。
猪木 そんなところでいいですか? バタバタなんでね。
――ありがとうございました。
猪木 どうもどうも。またよろしく。
【4月8日、参議院議員会館にて収録/聞き手◎“Show”大谷泰顕】
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