映画『闇金ウシジマ君』監督インタビュー
PROFILE
兵庫県神戸市出身。
フジテレビに入社後は、トレンディドラマとは一線を引いた社会派ドラマを数多く手掛ける。
代表作は『ナニワ金融道』シリーズ、『きらきらひかる』シリーズ、『カバチタレ!』、『漂流教室~ロング・ラブレター~』、『ランチの女王』、『ビギナー』など。
現在はフジテレビから独立し、株式会社ヒントを設立。
― ウシジマくんシリーズに取り組むにあたってのモチベーションや魅力は何ですか。
取り組んでいる作品には、基本的に“育てられる所まで育てたい”という意識があるんですが、ウシジマくんに関してはそれが凄く困難でした。
最初、地上波のテレビ局で深夜にSeason1をやったんだけど、クランクインの時点でもOAが100%できるかわからないという状況で、闇金が舞台の、主人公が犯罪者であるというドラマを、社会に対するメッセージ性も含めて立ち上げるということが難しかったんです。
けどまぁ、難しいと頑張りたくなりますよね。
以前テレビ局にいた時に、SMAPの中居君が主人公の『ナニワ金融道』を作った時から「お金をモチーフにした社会性のある物語」を作るのが得意だったので、ウシジマくんみたいな現代社会を正面から、深いところ、見たくないところまで描ききっている作品を実写化するということにやりがいがありました。
― シリーズを通してウシジマを山田孝之さんが魅力的に演じていますね。
ウシジマは絶対的に完成された生き方をしていて、彼自身は、観客や視聴者と同じ目線ではない「壁」なんですよね。
この作品は、債務者の側にドラマがあって、その中でウシジマはブレない。
ただ、山田孝之が演じる事によって、ウシジマの奥にある人間としての生き方の一貫性が垣間見えて、ウシジマに共感してしまう部分を作り出してしまう。
まぁ山田君は喜ばないと思うけど(笑)。
ウシジマは本当に悪、悪人だから、その悪の状況をちゃんと演じきってますよね。
それと、綾野剛演じる戌亥(いぬい)が出てきたことによって、ウシジマがどうしてこうなったか、彼の人間の成り立ちの片鱗が見える時があるので、それで人間っぽく見える時もあると思います。
作品の構造としては、ウシジマ君は今の時代の金融モノ最前線という感じで、例えるなら「怪獣映画」。
ウシジマが演じているのは絶対的な“状況(怪獣)”で、あくまでドラマがあるのは“金に踊らされる債務者(人間)”という作品かな。
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