結城浩の「コミュニケーションの心がけ」

Vol.194 結城浩/再発見の発想法 - データ圧縮/問題を「分けて解く」話/後悔の少ない人生/

2015/12/15 07:00 投稿

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Vol.194 結城浩/再発見の発想法 - データ圧縮/問題を「分けて解く」話/後悔の少ない人生/

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年12月15日 Vol.194

はじめに

おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

寒くなりました。

いえ、今年は暖冬らしいので、 朝晩と昼間の温度差が大きいことが多いというべきでしょうか。

本当に寒いなら(あるいは暑いなら)いいのですが、 朝は寒いのに昼間暑くなると、着るものが困るんですよね。 寒いと思って厚着をして出かけたら、 暑くなってコートを持ち歩くことになったり、 汗をかいて身体が冷えてしまったり……

特に先週の金曜日はひどかったです。 朝はざんざん降りの雨となり、これは寒いか?  と思わせておいて、昼は二十度を越す暑さ。 フェイントにもほどがあります。

結城は、天気が悪いときや体調が優れないときには、 もう無理をしないことにしました。 調子が悪くなったら、早めに休むことにします。

あなたも、体調管理にはご注意くださいね。

 * * *

CodeIQの話。

CodeIQに「マヨイドーロ問題」というプログラミングの問題を出題しています。

ありがたいことに、 月曜日昼の時点で589名というたくさんの方が挑戦済みになっています。 出題者として、多くの方に挑戦していただけるのは、 たいへんうれしいことです。

 ◆結城浩の「マヨイドーロ問題」
 https://bit.ly/c19mayoi

今回は一年ぶりの出題ということで少し緊張しましたが、 出題ミスなどの大きなトラブルもなく、無事に推移しています。 よかったよかった。

結城は今回の出題のために「出題編」と「解説編」 という二つのPDFファイルを準備しました。 問題に挑戦する人は「出題編」を読んでプログラムを書き、 結城が用意したすべてのテストケースにPASSすると、 「解説編」へのリンクが表示されるようになっています。

ただ、この方法ですと、問題に挑戦したものの正解には至らなかった方や、 そもそも挑戦しそこねた方には「解説編」が手に入りませんよね。

そこで結城は、CodeIQ MAGAZINEに、 今回の「マヨイドーロ問題」の解説記事を書かせてもらうことにしました。 単に解説PDFを公開するだけではなく、付加的な解説記事を書くことで、 挑戦者さんにいっそう楽しんでいただけると思ったからです。 また「今回は挑戦できなかったけれど、次の機会には挑戦したいな」 という方を増やしたいという思いもあります。

解説記事は、〆切が過ぎてから数日くらいで公開できたらいいと思っていますが、 実際にいつになるかは、運営さんとの相談になりますので、 現時点ではわかりません。

「マヨイドーロ問題」の〆切は今週の木曜日、朝10時です。 もしまだでしたら、問題を「チラ見」してみてくださいね。

 ◆結城浩の「マヨイドーロ問題」
 https://bit.ly/c19mayoi

それにしても、結城はこういう出題ってすごく好きなんだな、 と改めて思いました。 仕事の都合で今年はほとんど出題できませんでしたが、 来年(2016年)はたくさん出題していきたいな。

 * * *

ベクトル本のタチヨミ版の話。

『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』の、 「タチヨミ版」ができました。

Webブラウザで、電子書籍の本文20ページほどを読むことができます。 (スマートフォンだと大きさ的につらいかも)。 もしも未読でしたら、ごらんになってください。

 ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』タチヨミ版
 https://bit.ly/vectortrial

 * * *

「よかった探しリース」の話。

「よかった探し」をする自分のWebを登録する企画です。 ぜひあなたもお気軽にご参加ください。

 ◆よかった探しリース
 http://www.hyuki.com/ring/

 * * *

CodeIQ MAGAZINEの話。

そういえば、CodeIQ MAGAZINEに、 「『数学ガール』とプログラミングの関係」 という記事を書きました。

結城が書いている『数学ガール』は、 決して数学を学ぶだけの本ではありません。 プログラミングにも通じる考え方を学ぶこともできる本なのです。

……ということで、『数学ガール』に登場する三つのスローガンを通して、 プログラミングにも使える考え方の一端を解説しています。

よろしければ、お読みください。

 ◆『数学ガール』とプログラミングの関係
 https://codeiq.jp/magazine/2015/12/34755/

 * * *

フラクタルの話。

「ロマネスコ」という野菜を知っていますか。 スーパーで野菜を買う方なら、たぶん見たことがあると思います。 ブロッコリーやカリフラワーの親戚のような形状で、 ちょっとガウディの建築を思わせる部分もある「幾何学的野菜」です。

 ◆ロマネスコ - Google検索
 http://bit.ly/1IOvMJT

あ、いまちらっとWikipediaを見てみたら、 やっぱりカリフラワーの一種らしいですね。

このロマネスコの形は非常に綺麗な「フラクタル」構造をしています。 フラクタル構造というのは、 「一部分を切り取って拡大すると、全体と一致する」 という構造のことです。

ブロッコリーとカリフラワーもフラクタルっぽい構造をしていますが、 でも、ロマネスコほど綺麗なフラクタル構造はなかなかありません。 スーパーで見かけるたびに、 「ほらほらフラクタル!」と家内に思わず言ってしまいます。 最近では、家内のほうから「ほらほらフラクタル!」 と言われるほどになりました。

もしあなたがロマネスコを見たことがないなら、 こんどスーパーに行ったときに探してみてくださいね。

先日、ロマネスコのことをツイートしていたら、 noneさん(@last_alterego)から、

 「ロマネスコはバラすと小さいツリーのように見えるので、
 クリスマスシーズンの夕食にぴったりです」
 https://twitter.com/last_alterego/status/670101552401678337

と教えていただきました。なるほど、確かに!

 * * *

数学の授業の話。

UEMATSU.Yさん(@aramisakihime)が、Evernoteの共有ノートブックの形で、 数学の授業用に作成したプリントや資料などを公開していますのでご紹介。

 ◆Math_Share - Evernote共有ノートブック
 https://www.evernote.com/pub/aramisakihime/math_share

 ◆UEMATSU.Yさんのツイート
 https://twitter.com/aramisakihime/status/668753764963106816

 * * *

ゲームの話。

テトリスのように、ブロックなどが落ちてくるのを集めて消去するゲームがあります。 いわゆる「落ちゲー」ですね。 落ちゲーは、多くの場合、プレイしていると次第にスピードが早くなって、 やがてプレイヤーがついていけなくなって終わります。 でも、スピードが早くならず、ずっと同じ調子で続くモード、 いわば「無限モード」が欲しくなることがよくあります。

当然ながら、落ちるペースが早くなると、 だんだん焦ってきます。そのスリルを楽しみたい、 というときもありますが、 同じペースでずっとプレイを続けたいときもあるのです。 あなたはそういうとき、ありませんか。

最近結城が好きなのは、 iPhoneアプリの「bit bit blocks」という「落ちゲー」です。 かわいい顔をした四角いキャラクタが上から落ちてくるのを集めると、 だんだん大きなキャラクタになるという、ほほえましいゲームです。 ぜひこれに「無限モード」を入れてほしい。

 ◆bit bit blocks
 http://www.bitbitblocks.com

なぜそんなに「無限モード」にこだわるかというと、 半分機械的にゲームをしながら、 自分はどこかで考えごとをしているのです。 図形的な判断をぱっぱっと行いながら、 頭はぜんぜん別のことを考えている。 その時間が心地よいのです。

「ゲームなどせず、きちんと考えごとすればいいのでは?」 という意見もあるかもしれませんが、考えごとだけをしていると、 すぐ眠くなってしまったり、飽きたりするのです。

たぶん、単純な「落ちゲー」をやっているときって、 脳のどこかに定期的な刺激が行って、退屈しないんじゃないかなあ。

ああ、もしかすると、 結城がタイピングしながら考えごとをするのが好きな理由も、 それに近いかもしれない。両手の指を運動させていると、 脳に心地よい刺激が行くんですね、きっと。

そんなことをツイートしていたら、 飴乃ちはれさん(@chihare)から、 「リリアンを編むのはどうか」というリプライをいただきました。

 https://twitter.com/chihare/status/670222865145290752

確かにそういう感覚に近いですね。 リズミカルな手の運動と機械的な判断が、 ずっと続く感じが欲しいみたいです。

 * * *

論理の話。

「Aならば、Bである」という命題Pがあるとします。このとき、 「Bでないならば、Aではない」という命題Qのことを、 Pの「対偶」といいます。

命題Pが真のとき、Pの対偶である命題Qも真になります。 また、命題Pが偽のとき、Pの対偶である命題Qも偽になります。

ところで先日、 村上春樹の『意味がなければスイングはない』という本をネットで見かけました。 Kindle版が出たからでしょうかね。村上春樹の音楽エッセイです。

 ◆『意味がなければスイングはない』
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B017CNDCKW/hyam-22/

そして……このタイトルは「Aがなければ、Bはない」という形をしていますよね。 なので、つい、対偶(に近い形)の文を作ってみたくなりました。

 意味がなければ、スイングはない。
 ↓
 スイングがあるならば、意味はある。

このように言い換えて、その意味するところを想像してみる。 そして「なるほど、細かいニュアンスはずいぶん変わるけれど、 その大意は確かに変わっていないな」などと考えました。

ちなみに、以下の「対偶bot」は、 よく知られているフレーズや決まり文句の対偶をつぶやくbotのようです。 ツイートをながめていると、何ともいえないおもしろみが出ていますね。

 ◆対偶bot
 https://twitter.com/taigu_bot

 * * *

女子力の話。

いがときしんさん(@igatoxin)が、 数学ガールには女子力が隠れているという話をツイートしていました。 画像で。

 ◆数学ガールの中の「女子力」

CUzPnJxUEAAw8pn.png

 https://twitter.com/igatoxin/status/670138716921311232

 * * *

それでは、今週の結城メルマガを始めます。

どうぞ、ごゆっくりお楽しみください!

目次

  • はじめに
  • 再発見の発想法 - Data Compression(データ圧縮)
  • 問題を「分けて解く」話
  • 後悔の少ない人生を送るために大切なこと
  • 数学の問題
  • おわりに
 

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