結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年11月10日 Vol.189
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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新刊の話。
いよいよ『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』 の刊行が来週に迫ってきました。今週の金曜日には、 書店さんに配本される「サイン本」を作るために編集部へ行きます。 その頃までには、印刷所から編集部にサイン用のベクトル本が送られ、 山のように(大げさな比喩)積まれているはずです。
サイン本を作るのは(作れるのは)感謝な作業です。 一冊一冊感謝を込めながら「スレッドお化け坊や」のアイコンを描きます。
サイン本にはもちろん限りがありますが、 今回はその他に「メッセージカード」が封入されている書籍も用意されます (一部の書店さん)。サイン本への要望が多いことと、 物理的にサイン本を作るのには限界があること、 でも一人でも多くの読者さんに喜んでもらえるようにと用意するものです。
詳しい情報は、 出版社さんからアナウンスの許可を得てから展開する予定です。
出版までもう少し。もうちょっと、お待ちください!
◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』
http://note6.textfile.org/
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Twitterで使う数学記号の話。
数式を含む文章を公開するときには、 LaTeXを使ってPDFにしたり、MathJaxでWebページを作ったりします。 でも、簡単な数式をツイートしたいときもあります。 たとえば、以下のようなものです。
ここには、xの3乗やxの2乗のように、 右上に小さく指数の数字が表示されています。 実はこれ、普通にUnicodeで規定されている文字なので、 入力さえ出来ればふつうにTwitterで使えます。
結城はiPhoneの Uniconsole というアプリを使っていますが、 「Unicode 入力」などで検索すれば、 さまざまなサービスやアプリが見つかると思います。
◆Uniconsole (公式サイト)
http://www.uniconsoleapp.com
指数の数字以外にも、実数を表すRや有理数を表すQなど、 数学で使う文字が入力できて便利です。 さらに、それらを「じっすう」や「ゆうりすう」などで登録しておくと便利です。
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Twitterの「投票」機能の話。
Twitterに「投票」機能が付きました。 でも「投票」というよりは「ネタ」として遊んでいる人が多いみたいです。 結城は「投票」というよりは「クイズ」のように楽しんでいます。
たとえば、プログラマ向けのクイズとして、 「false xor true(は何になるか)」という問題を出しました。
xorというのは「排他的論理和」と呼ばれる演算子で、 二つの値が不一致のときにtrueとなるものです。 falseとtrueでは不一致なので、答えはtrueになります。
◆false xor true(スクリーンショット)
https://twitter.com/hyuki/status/658586117353025536
このクイズには76%の人が正解していましたね。
Twitterでフォロワーさんとやりとりするのはとっても楽しい!
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楽しいといえば、手描き問題の話。
前回の結城メルマガでも書きましたが、 「イラスト」というか「お絵描き」のマイブームは続いています。
ここでは「1の2乗、2の2乗、3の2乗……をnの2乗まで加えたらどうなるか?」 というWeb連載のテーマをイラストにしています。 お化け坊やの腕ぐみ、できてませんが。
描くのがどんどんおもしろくなってきたので、 スレッドお化け坊やのキャラを使って、 やさしい数学のお話を描いて楽しんでいます。
まずは、四角形の分類のいちばん楽しいところ。 長方形・ひし形・正方形の分類のお話です。
それから、数式の展開のお話。 このように動きがある説明には絵が便利ですね。
この「展開」のお話を踏まえて、因数分解の問題はいかがでしょう。 答えは後ほど。
他にもたくさん問題を作りましたので、 あわせて後ほど紹介しますね。
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お仕事時間の話。
結城は毎日のように仕事をしながらツイートをしています。 その結果、一日の終わりには、 まるで自分の作業記録のような連ツイ(連鎖ツイート)ができます。
ある日、2015年10月29日(木)の執筆の様子は以下のような感じでした。 この日は木曜日なので、金曜日更新のWeb連載を書く一日です。
08:56 家を出て散歩がてら「森を抜けて仕事場へ」向かいます。
09:31-11:13 執筆(約1時間半)
12:50-13:59 執筆(約1時間)
14:48-15:42 執筆(約1時間)
16:22-17:10 執筆(約50分)
17:15-17:34 執筆(約20分)
18:11-20:23 執筆(約2時間)
ここまでで、累計執筆時間は7時間になっています。 ここでいったん「ひとさまにお見せできる状態」になったので、 Webページ更新のための予約投稿を行い、 あとは時間が続く限り推敲と校正を行いました。
執筆時間の推移をみますと、 午前中はまだ元気なので1時間や1時間半の執筆ができていますが、 午後から夕方に掛けて疲れが出てきたのか時間が短めになっています。 でも、投稿直前には急に元気を出して2時間連続の活動をしています。 確かに、主観的にもそんな感じを受けます。
おもしろいなあと思うのは、 別に時間を見て休憩を入れているわけではないのに、 ほぼ一定時間に区切りを入れたくなるという点。 やっぱり執筆は労働なのかもしれないなあと、 いまさらながら思います。休憩大事です。
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休憩といえば、リラックスするアプリの話。
結城は文章を書いている頭をリセットするときに、 iPhoneでちょっとパズルゲームを楽しむことがあります。 この結城メルマガでもこれまでにいくつかのゲームを紹介してきましたね。
今日は、先日WIRED.jpで見かけた「Pause」というアプリのご紹介。
◆デジタルインクの「しみ」に我を忘れる、美しいアプリ「Pause」(WIRED.jp)
https://wired.jp/2015/10/26/beautiful-new-app-pause/
といってもこれはパズルゲームではありません。 分類は何だかわかりませんが、しいていえば「リラックスアプリ」でしょうか。
アプリを起動して、iPhoneの画面で指をゆっくり動かすと、 指のまわりに美しいグラデーションの粒子がふわふわふわっと集まってきて、 だんだん大きな「しみ」を作っていく。そんなアプリです。
言葉で説明するのもなんなので、 実際に結城がiPhoneで動かしているところを「録画」してみました。 指の動きに合わせて「しみ」が動いて大きくなっていきます。
◆じわじわと「しみ」を広げてリラックス。アプリ"Pause"
https://youtu.be/S0sG6Kb4PkE
最初は「何じゃこれ?」と思ったのですが、 何回か使ってみるとだんだん楽しくなってきました。
子供の頃、醤油ラーメンを食べたときのことを思い出します。 ラーメンのスープの上に細かい油の粒が浮かんでいる。 それをつつくと、次第に粒が集まって大きなマルを描く。 夢中になって遊んでいて、 親に「早く食べなさい」と言われたことを思い出しました。
そんな個人的な思い出はさておき、 こういう美しいグラフィクスのアプリ、 自分でも作ってみたくなりますね……
◆PauseAble - Relaxation at your fingertip(公式ページ)
http://www.pauseable.com/
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それでは今週の結城メルマガを始めます。
今回は「再発見の発想法」のコーナーで、
公開鍵暗号
についてお話しします。
また「本を書く心がけ」のコーナーでは、
「著者として、図書館について思うこと」
をお話しします。この文章は、 図書館の関係者から強い賛同を受けた、 結城の連ツイをもとにしています。
どうぞごゆっくりお楽しみください!
目次
- はじめに
- 再発見の発想法 - 公開鍵暗号
- 著者として、図書館について思うこと - 本を書く心がけ
- 数学の問題を手描きイラストで出題
- ほめられることほめること、愛されること愛すること - 教えるときの心がけ
- おわりに
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