結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年9月23日 Vol.130
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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今週は、『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』の再校読み合わせがあります。 編集部に出かけていって、再校ゲラを一ページ一ページめくり、 疑問点や修正事項のチェックをするのです。
とはいえ初校読み合わせとは違ってずいぶん「なめらか」になっていますから、 再校読み合わせはそれほど問題は起きないと思います。 時間もきっと短時間で済むでしょう。 再校読み合わせでは文中イラストの確認なども行います。
考えてみますと、Web連載→再編集で原稿書き→初校→再校というプロセスで 一冊の本ができあがるわけですよね。このテキストとも長いおつきあいです。 本書に収められているWeb連載をしていたのは昨年(2013年)の5月31日〜8月2日。 なんと、一年以上も前のことです。 先のことを考えて仕込みをしておくって大事だなあと改めて思います。
現在はアマゾンで予約が始まっています。 来月刊行の『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』の応援をよろしくお願いいたします。
◆『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797375698/hyam-22/
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「数学ガール」シリーズの翻訳をしているBento Booksさんが、 ジャパンタイムズの『通訳・翻訳キャリアガイド2015』で取り上げられた、 とのことでご紹介します。
◆Bento Books
https://twitter.com/BentoBooks/status/496162532084551681/photo/1
トニーさんは(当然ながら)日本語が堪能な方で、 現在もばりばりと結城の本の翻訳しています。 いまは『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』の翻訳を進めていますね。
◆トニーさんのツイート
https://twitter.com/tonygonz/status/507669506093641728
そのBento Booksさんから先日、『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』の英訳本が出ました (日本で購入できるのは少し先になるようです)。 「数学ガールの秘密ノート」シリーズは、英語では"Math Girls Talk about ..."シリーズとなっていて、 今回は、"Math Girls Talk about Integers"(数学ガールが整数についておしゃべりする)という タイトルになっています。
以下のページでは、サンプルとして初めの章をPDFで読むことができます。 "Download a sample!"のリンクをたどってください。
◆Math Girls Talk about ...(Bento Books)
http://bentobooks.com/math-girls-talk-about/
さらに、来年のことになりますが、Bento Booksさんは San Antonioで開かれる2015 Joint Mathematics Meetings でブースを出すとのことです。 もし参加する方がいらっしゃいましたら、ぜひBenbo Booksさんのブースにお立ち寄りくださいね。
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さて、電子書籍がらみでお知らせが二つあります。
まず、結城が公立はこだて未来大学などで行った講演集が電子書籍になりました。 数式の問題があるので、 「数学ガール」シリーズは固定レイアウトの電子書籍になるのですが、 この講演集はリフロー型になっています。
◆『数学ガールの誕生 理想の数学対話を求めて』(Amazon Kindle)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00NAQA33A/hyam-22/
◆『数学ガールの誕生 理想の数学対話を求めて』(Google Play)
https://play.google.com/store/books/details?id=NjVqBAAAQBAJ
さらに、昨年刊行された『数学文章作法 基礎編』が、 来月(2014年10月)に電子書籍となります。お待たせいたしました! こちらもリフロー型ですね。
ぜひご利用ください。
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ぜんぜん違う話。
妖怪ウォッチが流行していますが、 ジバニャンならぬ磁場ニャンが以前話題になっていました。
◆磁場ニャン(前野先生)
https://twitter.com/irobutsu/status/508092556857470976/photo/1
この図を見たとき、最初は「ジバニャンのだじゃれか」と思っただけでした。 でもよくよく見ると、磁場ニャンには「向き」と「大きさ」がちゃんとあることに気付きました。 つまりベクトルですね。
磁石の上に紙を置き、その上に砂鉄を振って磁力線の様子を調べるというのは 学校でよくやることだと思うのですが、あれだと「向き」はわかるけど、 大きさはわかりにくいなあ、とも思いました。
さらに前野先生の説明の中に「2次元の処理です」とあったので、 ああなるほど。ほんとうの磁場は3次元か……と思いました。 奥村先生が「NとSが非対称に見える」とコメントをしていたのも興味深かった。
ちょっとしたネタの図でも、 さらっと見過ごさずにじっと見ることは大事かもしれませんね。
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iPhoneの話。
先週はiPhone 6とiPhone 6 Plusの話題をよく見かけました。 結城は現在iPhone 5を使っていて特に大きな不満はないのですが、 やはり「買い換えるかどうか」を多少考えています。 Softbankの乗り換えキャンペーンは12月14日までらしいので、 そこまでには判断しようかなと思っています。
機能追加にはあまり関心はないのですが、大きさの変化には関心があります。 というのは「読書端末」としてiPhoneを考えているからです。 結城はこれまでKindle PaperwhiteやNexusやiPadやiPad mini(これは家内用)を 使いましたが、なかなか一長一短です。
ふだんMacBook AirとiPhoneを持ち歩いているので、 さらにそこに読書端末を別途持ち歩くというのは耐えがたいものがあります。 じっくりメモを取りながら読む場合にはMacBook Airを使うし、 電車で気楽に読むならiPhoneを使います。
でも、さすがにiPhoneの画面はいささか小さすぎるかなと感じるときもあります。 テキストだけならまだしも、数式や図版が出てくるとズームとスクロールを 繰り返すことになってうっとうしく思うからです。
そこで画面が大型化したiPhone 6に興味が出てきたのです。 もしもiPhoneの携帯性を保ったまま読書端末としても利用できるなら、 それに越したことはありませんから。
とはいうものの、「これは買い!」という熱狂的な気分になっているわけでもありません。 「まあ、実機を触ってみて、すごくよかったら買い換えるかもね」くらいのスタンス。 それだけ、現在のMacBook Air + iPhone 5である意味「こと足りている」のでしょうね。
後ほど詳しく書きますが、最近結城はシンプルなブログっぽいものが欲しくなって、 flip(フリップ)というサイトを作りました。 自分用にちょこっとネットでメモ書きする場所です。結城しか書けませんが。
◆flip(フリップ)
http://flip.textfile.org
そこに試しに自分が翻訳した「幸福の王子」を載せてみました (こういうとき、自分のテキストがあると著作権気にせずに使えるのでいいですね)。
◆幸福の王子 - flip
http://flip.textfile.org/?20140912181308
そしてiPhoneで「幸福の王子」を眺めていたのですが…… いまさらながら、こういう読書体験(ブラウザでテキストを読む)というのは、 そんなに悪くないですよね。 特に「テキストだけなら、これでいいじゃん」と思ってしまいます。
何を言ってるかというと「電子書籍」って何なのかな、と思いまして。 紙の本はわかる。それからWebページで読むのもわかる。 では電子書籍って何だろう。あまり大げさに書くのも変だけど、 人類はまだ、電子書籍のことをとらえきれてないよな……と思うのです。
執筆の仕方、編集の仕方、パッケージングにデリバリー、 読書体験、人への紹介や貸し借り、そして廃棄…… そのすべてのフェーズにおいて、電子書籍はまだふわふわしているみたい。 今後十年、二十年経てば、いまよりは固定化するのかしら。
ちなみに、responsinatorというサイトを使うと、 いろんな画面サイズの端末で、自分のページがどんなふうに見えるのかを確認できて便利です。
◆responsinatorで「幸福の王子」を見る
http://www.responsinator.com/?url=http%3A%2F%2Fflip.textfile.org%2F%3F20140912181308
◆responsinatorで「幸福の王子」を見る(画面キャプチャ)
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Webで読むといえば。
結城がWeb連載をしているcakes(ケイクス)が二周年を迎えたそうです。 Webで雑誌を実現するプラットホームということですが、 こういう活動は継続がとても大事だと思います。 そういう意味で、二周年を迎えたというのはおめでたいことですね。 以下はCEOの加藤貞顕さんの文章です。
◆cakesが2周年をむかえました。
https://note.mu/sadaaki/n/nc914d214f0cd
この文章によりますと、これまでcakesに登場したクリエイタさんは、 全部で357名とのこと。すごい人数ですね。
きっと「中の人」は継続と改良で努力なさっていることと思います。 今後もがんばってほしいです。
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それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
今回は「教えるときの心がけ」として、 最近はまっていたブログいじりを通して結城が学んだことをお話しします。
また、「いつもくよくよしてしまう」という読者さんの質問へのお答え。
そして、実家にいる「母」の話をお送りします。
それでは、お楽しみください!
目次
- はじめに
- やってみて、はじめてわかることがある - 教えるときの心がけ
- Q&A - いつもくよくよしてしまう
- 母の話(1) - 文章を書く心がけ
- おわりに
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