結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年9月9日 Vol.128
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
* * *
来月刊行の『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』の初校読み合わせが終わりました。 特に大きな問題もなく全ページの確認を終え、ボールは出版社に渡りました。 次は再校ゲラが出てくるのを待つばかりです。
今回のテーマは数列です。 数列は楽しい話題がたくさんあるのですが、 今回の秘密ノートは単におもしろい話題を拾うだけではありません。 「シグマの読み方」を考えたり「極限」が登場したりと、 ちょっぴり高度な内容にも触れるように心がけました。
本書の刊行は2014年の10月ですが、 アマゾンでの予約はすでに始まっています。 お知り合いへのご紹介もお願いいたします。
◆『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』(アマゾン)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797375698/hyam-22/
ぜひ応援してくださいね!
そして、入れ替わりのように、 『数学文章作法 推敲編』の初校ゲラがやってきました。 こちらは2014年12月に刊行予定。今年最後に出る本です。 分量は前回の「基礎編」とほぼ同じくらいですね。 現在ゲラをちゃくちゃくと読み進めているところ。
こちらも応援してくださいね。
* * *
別の話。
ときどき、お仕事のオファーのメールをいただく。 「雑誌に原稿をかいてください」あるいは「こんな本を書きませんか」のような。 それはそれでたいへん感謝なことなのですが、ちょっと気になることが一つ。
これまでコンタクトしたことがない人からのメール一通目に、
「まずは一度お会いしてお話を」
と書かれていること。結城は多くの場合、ちょっぴり困惑しながら、
「その前にメールで少しやりとりしませんか」
という返事をすることになる。実際にお仕事が進むことになり、 お互いの意識合わせなどをするために実際に会うことにはやぶさかではない。 でも、ほとんど相手のことを知らない段階で「一度お会いして」というのには、 抵抗を感じる。
若くて時間があったときには比較的気軽に出かけていった。 でも、「こんな話だったら会うまでもなかった」 という結果に終わることが多かった。 良い経験といえば良い経験だったけれど、 無駄な時間といえば無駄な時間である。
オファーのメール一つにも相手の力量のようなものがよく現れる。 自己紹介、企画の説明、なぜ結城に声を掛けたのか……といった、 「結城が知りたいと思うこと」をどう表現するか。 結城が知りたいと思うことが的確に書かれていると、 「お、何だかすごい人からメールが来たぞ」とわくわくする。
もしも偉そうに聞こえたら申し訳ないけれど、 そのようなつもりで書いているのではない。 どんな人でも時間は貴重である。フリーランスならなおさら。 ひと一人にあうのにはそれなりに準備もするし、移動時間もかかる。 その分、本来おこなうべき仕事は圧迫されることになる。 だから「人に会う」という高いコストの作業には慎重になるべきなのだ。
それに、企画内容を手際よくメールで説明できないとしたら、 きっと一時間かそこら話したところで状況は変わらない。 さらに、企画が進んだ途中のやりとりもメールではらちがあかなくなるかも。 だから「まずはメールで」という判断はまちがっていないと思う。
逆に、いったん会うとなったら、 結城は「相手の場所」に行くのが好きだ。 会社がある事務所など。 それは相手の時間をできるだけ奪わないという意味もあるし、 相手の状況をよく理解するためでもある。 職場の様子なんてメールに書いてはくれないので、 実際に会うときに見るのは合理的な判断だと思う。
「まずお会いして」というオファーについて、 あなたはどう思いますか?
* * *
それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
今回は、来月予定している「講演会の準備」として、 いったいどんな内容にするかを考える様子をお届けします。 何を考えて準備を進めるかをブレーンストーミングしましょう。
また、今年の夏の「英仏旅行」について。今回はフランス編です。
「本を書く心がけ」のコーナーでは、 編集者から言われたひとことから考えた、 「物語をゆがめない」というお話をしましょう。
それでは、お楽しみください!
目次
- はじめに
- 講演会の準備 - 教えるときの心がけ
- 英仏旅行(2) - フランス編
- Q&A - 使いやすいソフトウェアやWebサービスとは?
- 物語をゆがめない - 本を書く心がけ
- おわりに
コメント
コメントを書く