結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年7月1日 Vol.118
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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あいかわらず、本を書いています。
最近は特に『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』を進めています。 秋の刊行予定ですけれど、できるだけ早めに進行しておきたいのです。
現在はようやく第2章までレビューアさんに送ったところ。 結城は第3章を進めています。
梅雨のせいか、はっきりしない天気の日が多く、 そういう日にはどうにも頭が回りません。 特に雨の降る直前は「どよん」とした感じになってつらいです。 どうも結城は気圧の変化に弱いのです。
そういう天気のときには数学を考えたり、 文章を考えたりする作業はあまり能率があがりません。 ちょっと深く考えようとすると眠くなってしまうからです。
経験上、そんなときは図版を作るのがいいようです。 結城は MacBook 上の OmniGraffle というドローソフトを使って図を描くことが多いです。 図を作るのにLaTeXのTikZというパッケージも使いますが、 説明図に関しては、どうしても直観的な調整が必要になるため、 ドローソフトを使った方が効率がいいのです。
◆OmniGraffle
http://www.omnigroup.com/omniGraffle
特にOmniGraffleは、 WindowsのVisioで作っていたファイルもインポートできるので便利です。
『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』は秘密ノートシリーズの書籍化第四弾になります。 Web連載のテキストをベースに、書籍化の作業をしています。 Web連載で週単位に読むのと、書籍でまとめて読むのとではずいぶん感覚がちがうので、 そのあたりも注意して作業を進めています。冗長な部分は大きく削りますし、 図版もだいたいすべて作り直しになりますね。
いつも感じることですが、思い切って削った方が品質は高くなります。 もちろんやたらと削ってはだめです。
「ここで最も大切なことは何?」
「ここで最も言いたいことは何?」
と自分に問いかけて、それ以外を削るのです。 そうすると必然的に大事なところだけがコンパクトにまとまる結果になります。
……というのは簡単ですが、実際に作業していくと頭を抱えたくなることも。 「こっちを削るべきか、あっちを削るべきか」と迷うからです。 でもそのように迷うときというのは、自分が「最も大切なこと・最も言いたいこと」を わかってないときなのですから、頭を抱えて当然ですね。
解決策は、何度も読み返し、頭を絞ることしかないのでしょう。
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さて、結城は毎日の作業をするとき、作業記録代わりにツイートをしています。 たとえば、こんなふうに。
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『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』第2章読み(三十分)。
そろそろ移動しよう。
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要するに、自分の「作業内容」と「それに掛けた時間」をまとめてツイートするのです。
そのような自分のツイートは「自分あてのリプライ」の形にしています。 そうすると、自分の作業ツイートをまとめて読むことができるからです。 この「連鎖ツイート」について詳しくは以下をご覧ください。
◆Twitterで長めの文章をまとめて「連鎖ツイート」する方法
http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20140110/twitter
そのように自分の「作業内容」と「それに掛けた時間」をツイートしていると、 自分が連続して作業に集中できる時間がどれだけかよくわかるようになります。 午前中は一時間半から二時間で、午後になると三十分から一時間くらいですね。 私の集中力の限界はそのあたりにあります。
つい、気持ちの上では「よーし、何時間もばりばり仕事するぞ!」と思っちゃうんですが、 実際にはそんなことはほとんどできず、 かえって一時間くらいで「そろそろ休もうかな」という気分になることが多いのです。
ちょっと変な言い方ですが、
「実績は嘘をつかない」
ように思います。 つまり、昨日まで毎日コンスタントにできた作業はきっと今日もできる。 きっと明日もできる。そこにはぶれがない。
でも、昨日までまったくできなかったような作業を いきなり今日できる保証はありません(できるかもしれないが、 できないかもしれない)。ですから、
「実績は嘘をつかない」あるいは「実績は裏切らない」
といえるのです。 ですから、初めて取り組む作業は、時間に余裕をもってプランする必要があります。
本を書く作業は短距離走ではなくて長距離走です。 こつこつと、少しずつ、コンスタントに続けるのがとても大事。 力を入れてぐーんと進むこともたまにあり、 それもはずみを付けるうえでは重要なのですが、 基本はこつこつ。基本はマラソン。
そのためにも、普段から自分のペースをしっかりつかみ、 うまずたゆまず進む心がけが必要になります。 普段の自分の(実績をもとにした)ペースをつかんでいれば、 自分が「さぼっている」のか「通常モード」なのかを把握できるからです。
ちゃんと時間を掛けて作業を進めていても、そして実際に成果を出していても、 主観的に《何だか進んでない》と感じてしまうことがあります。 けれど、そんなときでも、自分がどれだけ時間を掛けているか把握しておけば、 無駄に焦ることが少なくなります。
自分に対して、
「いやいや、焦らなくてもいいんだよ。
今日の分の仕事はちゃんと進めたんだから、
あとは明日に備えて休みましょう」
と言ってあげるのは長距離走では大事なこと。
その意味でも、自分の作業のツイートは意味があるのです。
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ツイートといえば。
結城は毎朝最初のツイートは聖書の言葉にしようと心がけています。 何というか、朝、自分の家の玄関先をお掃除するような感覚です。
そして眠る前のツイートは、 フォロワーのみなさんへの「おやすみ」にすることが多いです。
特に最近は「おやすみおやすみまたあした」というフレーズがお気に入りです。 ちょっと子供っぽいんですけれど、私にとってTwitterという場所は、 フォロワーのみなさんとのとても楽しい交流の場所で 「遊び場」なのです。
最近一週間の「おやすみ」のツイートは以下のような感じでした。
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(月曜日)
おやすみおやすみまたあした。
(火曜日)
きょうもいちにちありがとう。
あしたもあそんでくださいね。
おやすみおやすみまたあした。
(水曜日)
それではそろそろねむります。
おやすみおやすみまたあした。
(木曜日)
あしたはようやくきんようび。
おやすみおやすみまたあした。
(金曜日)
あしたはたのしいどようびね。
おやすみおやすみまたあした。
(土曜日)
そしてあらたないっしゅうかん。
おやすみおやすみまたあした。
(日曜日)
きょうもいちにちありがとう。
おやすみおやすみまたあした。
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あなたは、朝一番に何をしますか。
そして、一日の終わりに何をしますか。
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ツイッターはSNSの一種ですよね。
先日、変わったSNSを知りました。"Yo"(ヨウ)というSNSです。
非常にシンプルなSNSで、単に誰かに対して"Yo"(よう)と声を掛ける機能しかないというもの。
Twitterだとひとつのツイートが140文字以内という制限はあるものの、 言葉を使ってメッセージを送れますよね。 でもYoはそういう言葉でのメッセージは送れません。
単に"Yo"と声を掛けるだけ。 声を掛けるといっても、自分の声じゃなくて、 アプリが発する声になります。 要するに自分から相手に「通知したよ」ということだけを伝えるSNSなのです。
さっそく結城もアカウント作りました。
◆Yo
http://www.justyo.co/HYUKI/
変なSNSですね。
使い方などは以下の記事を参照ください。
◆「Yo」と送り合うだけのコミュニケーションアプリ「Yo」の使い方・楽しみ方
http://sp-pedia.com/article/140621-enjoy-yo
数日使ってみて、確かに"Yo"と送り合うだけのSNSだということがわかりました。
発想はおもしろいのですが、使っていておもしろいかというと……うーん。
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ではそろそろ、結城メルマガを始めましょう。
今回は「再発見の発想法」のコーナーで「Template(テンプレート)」 という読み物をお送りします。このコーナーでは、技術的なキーワードを軸にして、 日常生活をもう一度見直してみようという読み物をお届けします。
また、今年後半になって最初のメルマガなので、 新年の抱負(年間目標)を振り返ってみましょう。 もう一年の二分の一が過ぎてしまったんですねえ……
「Q&Aのコーナー」では、 読者さんから「講義よりも自学自習した方がいいのでは?」というご質問をいただいたので、 それにお答えしました。
では、結城メルマガをどうぞ!
目次
- はじめに
- 再発見の発想法 - Template(テンプレート)
- 年間目標(書籍、連載、習慣)
- Q&A - 講義よりも自学自習のほうがいい?
- おわりに
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