Vol.627 結城浩/大人になってからこそ、趣味で数学/書き下ろしの書籍執筆の序盤戦で何をやっているか/ベンチャー時代の思い出

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2024年4月2日 Vol.627


はじめに

おはようございます、結城浩です。

早くも四月ですね。新しい生活が始まった方も多いのではないでしょうか。あなたはいかがですか。

春の新生活がすてきなものとなりますように!

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Logseqのグラフビューの話。

結城はアウトライナーとしてLogseqを使っています。

◆Logseq: A privacy-first, open-source knowledge base
https://logseq.com/

Logseqにはグラフビューと称して、各ページの接続の様子をグラフィカルに表示する機能があります。たとえば、以下のように表示されます。

◆Logseqのグラフビュー

20240401201215-c2b9cc36f1813f29.jpg

これを見ると、ページがひとかたまりになった「クラスタ」が明確に分かれているのがわかります。クラスタごとに中心となるホームがあり、そこから各ページには深さ1〜2でたどり着きます。クラスタどうしの間はかなり疎結合になっていてサイクルも少ないのがわかりますね。おもしろいものです。

クラスタに注釈を入れたものが以下の図です。全体のページ数は191個と少な目ですが、これは一つのページがかなり長いからでしょう。そして結城が「今年書く本」の近辺には、まだまとまっていない実験的なアイディアのページがあるのが観察されます。自分の活動を俯瞰できておもしろいですね。

◆Logseqのグラフビュー(注釈付き)

20240401201249-17b06576f1db7255.jpg

ちなみに「今年書く本」はまだまだ序盤戦です。後ほど「本を書く心がけ」のコーナーで「書き下ろしの書籍執筆の序盤戦で何をやっているか」というお話をしましょう。

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チョコの話。

結城は明治の「チョコレート効果」(商品名)が好きです。目覚ましおやつとしてコンビニでよく買って食べていましたが、あるときアマゾンで大容量の箱を見つけてからは、そちらの方を定期的に買っています。

「チョコレート効果」には72%と86%と95%の三種類があります。72%は普通のチョコで、86%はほとんど甘くないチョコ、そして95%になると「お菓子」というよりも「食材」という感じがします。

結城は毎日、86%と95%を食べています。食べ過ぎにならないように、朝一番で「今日の分」を数個とりわけておき、それを一日掛けて少しずつ食べています。

◆チョコレート効果カカオ86%(大容量)
https://amzn.to/3VBoMtR

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一人で作る話。

芸術人類学者の中島智さん(@nakashima001)のこんな投稿を見かけました。

子どもの頃、山で秘密基地を作った体験について「一人で作ると世界に開くが、仲間と作ると仲間に閉じる」とポストしたことがある。この「仲間」というのは「人間界」とも言い換えられる。一人でしか開かれない視界というものがある。とくに美術制作では顕著である。できれば美術鑑賞でも一人がよい。 https://twitter.com/nakashima001/status/1739033683733225887

この中にある「一人で作ると世界に開くが、仲間と作ると仲間に閉じる」というのは、なかなか含蓄のあるフレーズだと思います。

ここから我田引水で結城自身のことを語ります。本を書いていると「これは一人じゃないと難しい」と感じる場面がしばしばあります。それはたとえば、本を書き進めていて、一つの章をまるまる書き直すような思い切った判断をする場面です。

もちろん、一人でできる分量には限界がありますし、レビューアさんや編集さんの助けは貴重です。「一人で仕事をする」とはいっても、応援してくださる方や協力者はたくさんいます。しかし、内容に関する最終判断は、著者がたった一人で下す必要があるとつねづね思っています。一人の判断を通り抜けてはじめて生まれてくるものがあるからです。たとえ、一人で判断するがゆえに発生する誤りがあるとしても。

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それでは今週のメルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。


目次

  • ベンチャー時代の思い出 - 結城浩の談話室
  • 大人になってからこそ、趣味で数学! - 学ぶときの心がけ
  • 書き下ろしの書籍執筆の序盤戦で何をやっているか - 本を書く心がけ