結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年12月24日 Vol.404
目次
- 本棚について
- 20歳大学生、昔の自分を考えたくない
- そろそろ定年、どんな分野を学べばいいか - 学ぶときの心がけ
- CI/CD - 再発見の発想法
- 朝のニュース番組を観たくない
- どこへも行き着かない恋
はじめに
結城浩です。
いつもご愛読ありがとうございます。
この結城メルマガ(Vol.404)が配信されるのは、はからずもクリスマスイブですね。
結城は特にいつもと変わらない一日になる予定です。町に出ると大混雑になりそうなので、早めに家に帰るかも。
みなさんはどのようにお過ごしになるでしょうか。
* * *
賢者の贈り物の話。
クリスマスといえば、結城はずいぶん以前にオー・ヘンリーの『賢者の贈り物』(The Gift of the Magi)を翻訳したことがあります。
◆『賢者の贈り物』
https://www.hyuki.com/trans/magi.html
俳優・ナレーターの西村俊彦さんが、結城の翻訳を朗読してくださっているのをつい先日発見しました。西村さんの心にしみる朗読をぜひお聞き下さい。
◆【朗読】オー・ヘンリー『賢者の贈り物』訳:結城浩
https://youtu.be/mXvxzwuS00k
結城がこのテキストを翻訳したのは1999年のこと。いまからちょうど20年も前のことです(!)。これまでもたくさん朗読やラジオドラマに使われました。フリーで使えるテキストを公開していると、こんなふうに思いがけず楽しい展開があるのでいいですね。
* * *
往復書簡の話。
「圏論と学びをめぐる往復書簡」という新企画が始まりました。
これは『ベーシック圏論』を翻訳なさった土岡俊介さんと結城浩がWeb上でメールのやりとりを行うという読み物企画です。
これは丸善出版さんの提案による企画で、2020年の3月まで毎月更新する予定です。
2019年12月現在、No.01とNo.02が公開されていますので、ぜひお読みください。
◆圏論と学びをめぐる往復書簡
https://talk.hyuki.net/
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クレジットカードの話。
買い物でクレジットカードを使うことがあります。
支払いのときにレジの人にカードを渡すと「お支払いはカードでよろしいですか」と聞かれることがあり、そのたびに結城は驚いてしまいます。「いまカードをあなたに渡したのにどうして『カードでよろしいですか』と訊くのだろうか」と疑問に思うからです。もちろん、レジの人を非難しているわけではありませんよ。
質問の意味は「ポイント支払いではなくクレジット支払いでいいですか」ということ。でも私は毎回それをなかなか思い出せず、どうしても驚いてしまいます。
質問の表現はお店によって違います。ある店では「お支払いはカードでよろしいですか」と尋ねるけれど、別の店では「お支払いはクレジットでよろしいですか」と尋ねます。「クレジットでよろしいですか」と言われるとまったく驚きません。ちょっとした表現の違いで誤解を避けることができるものですね。
そんなことをツイートしていたら「提示されたクレジットカードにポイント付与はするけれど、支払いは別の方法を使う場合があるので、そう単純ではない」ということを教えていただきました。なるほど! 支払いのシーンにおけるレジの人と客のやりとりのプロトコルはかなり複雑なのですね。最近では○○Payで支払う人も多いので、さらに複雑になっているでしょう。
* * *
「冷たい/寒い」話。
「雨が冷たい」とは言うけれど、「雨が寒い」とはあまり言いません。まあ、絶対に言わないわけではありませんけれど。
私個人の語感では「冷たい」という表現は、「寒い」という表現よりも直接的で、実際に触れている感覚があります。「雨が冷たい」というのは「雨」が身体に触れる感覚があります。
「冬は寒い」とは言うけれど、「冬は冷たい」と言いません。これは「冬」が触れることのできないものだからかも。「早朝は寒い」というのも同様。
と、ここまで書いてきてから精選版『日本国語大辞典』で「寒い」を調べてみました。すると、次のような解説がありました(抜粋)。「……〔「寒い」とは〕身体内部の生理感覚にもとづく話し手または感覚主の状態の表現。「冷たい」が、身体の一部における皮膚感覚にもとづく対象としての事物の表現として使用される点で、「寒い」と意味領域を異にしている」とのこと。
なるほど。「寒い」は「身体内部の生理感覚にもとづく」で、「冷たい」が「身体の一部における皮膚感覚にもとづく」と。
「懐が寒い」(手持ちのお金が少ない)は、確かに身体内部の生理感覚かもしれません(財布内部の生理感覚……)。
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「発達障害の啓発マンガ」の話。
筑波大学のDACセンターでは、「マンガ」を通した発達障害の啓発活動をおこなっています。多くの人に発達障害を理解してもらうために、提供されている発達障害啓発マンガはパブリック・ドメインとしているとのこと。発達障害当事者の職員(ダックスさん)が作っていらっしゃるようです。
◆ヒトはそれを『発達障害』と名づけました
https://dac.tsukuba.ac.jp/radd/joint-base/manga/
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さてそれでは、今回の結城メルマガもどうぞごゆっくりお読みください。
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