結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年3月5日 Vol.362
目次
- アルバイトについて
- 数学トークと《対話》について - 文章を書く心がけ
- やりたいことがあるけれど時間が足りない
- 評価関数 - 再発見の発想法
- 数学の点数が取れないので得意と言いにくい - 学ぶときの心がけ
- 言葉の行き先と着地させない問いかけと - 文章を書く心がけ
はじめに
結城浩です。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
この冬は寒くありませんねえと思っていたら、三月になって急に寒くなりました。寒い寒い。
三月はいろんな人にとって変化のときですね。新しい何かが始まる。新しい何かに切り替わる。そんなときを迎えている人が多いと思います。
あなたはいかがですか。
* * *
マグカップの話。
「結城浩のマグカップ」を作りましたというお話は、先週の結城メルマガにも書きました。
ありがたいことに、さっそくたくさんの方からご購入いただいています。ありがとうございます。
ところで、Twitterで宣伝するときに、文章をこんなふうに書きました。
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おしゃれでかわいい結城浩のマグカップです。私も自宅で使っています。左手で持つと数式は相手に向かい、右手で持つと数式は自分に向かうようにデザインしました(はーと)
<<<
この文章、まちがったことは書いていないのですが、大事なことを書いていません。書いていないのは、
このマグカップは一般の方が購入できるものです。
リンク先で売っていますので買って下さいね!
というメッセージです。「買えます。買ってください!」と書いていないのです。実際、複数の方から「このマグカップは購入できるんですか」というご確認や質問をいただいてしまいました。わかりにくくてごめんなさい!
購入してくださると、その一部は結城の収入になりますので、ぜひ買ってください!(明示的に書いていくスタイル)
◆結城浩のハートとシグマ マグカップ - SUZURI(スズリ)
https://suzuri.jp/hyuki0000/1613145/mug/m/white
* * *
確率の話。
先週からWeb連載「数学ガールの秘密ノート」で新しいシーズンが始まりました。今回は「確率の冒険」と題して《確率》がテーマになります。
◆「確率の冒険」シーズンのイメージカット(トランプのクイーン)
数学で多くの方が苦手と感じる分野はありますが、《確率》はまちがいなくその一つに入るでしょう。その理由の半分は《場合の数》に関係しているからで、もう半分は「何かが起きるか起きないかという不確かなもの」を確かさの権化のような数学で扱う意味の難しさがあるのだと思います。
実際、確率の計算はできるけれど、そこにどんな意味があるのかがわからないと感じる人もたくさんいらっしゃるでしょう。
「確率の冒険」シーズンでは、いつものように本当に基本的なところから素朴な疑問を通して《確率》に迫ってみたいなと思っています。もちろん、迫っていくのは数学ガールの登場人物たち。結城は彼女たちの思考や発想をていねいに追いかけていくのです!
第1回目は「二回に一回起きるとは」(前編)です。「コインを投げたときに表が出る確率が1/2である」とはどういう意味かを考えていきましょう。
◆確率の冒険:二回に一回起きるとは(前編)
https://bit.ly/girlnote251
「数学ガールの秘密ノート」はひとつのシーズンが十週間に渡ります。ぜひ応援よろしくお願いいたします。毎週最新回は一週間無料で読めますので、リンクを宣伝していただければうれしいです。もちろん、cakesの有料会員になって結城のページを読んでいただくことも直接的な助けになります(明示的に書いていくスタイル)。
◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」
https://bit.ly/girlnote
* * *
レビューア募集の話。
結城は現在「数学ガールの秘密ノート」シリーズの第11冊目、
『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』
という本を執筆中です。数学とプログラムの話題が入り交じった対話形式の物語になります。本書の執筆にあたり、この原稿を読んでレビューしてくださる方を募集しています。
以下のリンク先に書かれていることをよくお読みの上、もしもやってみたいというお気持ちがあるならば、ぜひご応募ください。
◆レビューア募集『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』
https://math.hyuki.net/20190301120025/
募集開始は3月1日でした。3月4日現在十数名の応募があるという状況です。先着順や抽選ではありませんが、ご参考まで。
〆切は2019年3月15日(数学の日の次の日)になります。
* * *
空腹感の話。
つらいとき、ストレスかかったとき、どうしても食べ過ぎちゃう人は多いと思います。
食事のときにお腹に手を当てて「自分、お腹空いてるかな?」と問うと、自分にストレスがかかっているのかどうかわかるかもしれません。
「胃袋を埋めるため」ではなく、「心を埋めるため」に食べようとしているかどうか。
「空腹感をなくすため」ではなく、「空虚感をなくすため」に食べようとしているかどうか。
* * *
古今和歌集の話。
結城はnoteで「古今和歌集を読む」というマガジンを不定期連載しています。
◆古今和歌集を読む - note
https://mm.hyuki.net/m/mfa4fe40c022b
古今和歌集からおもしろそうな歌を見つけては現代語訳をつけて文法事項を簡単に解説する短い読み物集です。
先日から、noteに掲載したものを、少しずつScrapboxに転載しています。といってもnoteを削除しているわけではありません。Scrapboxに記事を載せてリンクをつけていくと、さくさくとネットワークが作られていくのが楽しいのです。
また、文法事項をリンクすると、あちこちの歌に出てくる同じ項目がまとまりを見せてくれるのもうれしいですね。まだほんの少しですけれど、長い目で見ていただければと思います。
◆古今和歌集を読む - Scrapbox
https://scrapbox.io/kokin/
◆「推量の助動詞」という項目を介して「なむ」と「らむ」が自然に結びついたようす(スクリーンショット)
* * *
インタビュー記事の話。
結城がインタビューされている記事が、技術評論社刊行『WEB+DB PRESS Vol.109』(2019年2月23日発売)“at the front”のコーナーに掲載されています。
インタビューアはフリーランスの竹馬光太郎さん(@mizchi)で、以下のような話題を話しています。
- 執筆一本で食べていけるのか?
- 「無駄」な作業が良い本を生む
- 技術書典は書き手と読み手をつなぐ
- 「読者」というテキスト処理系
- 良い文章を書く原則はたった一つ
ぜひ、お読みください(以下のリンクはアマゾンの電子版です)。
◆『WEB+DB PRESS Vol.109』
https://www.amazon.co.jp/dp/B07NW8637Q/?tag=hyuki-22
* * *
それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
アルバイトについて
質問
結城先生は、学生時代にアルバイトをやっていましたか。
もしもやっていたら、どんなバイトだったか教えて欲しいです。あと「こういうバイトやっとくといいかも」みたいなのがありましたら教えてください。
回答
ご質問ありがとうございます。
学生時代にやったアルバイトは、家庭教師とちょっとした原稿書きくらいですね。それほどたくさんバイトはしませんでした。
「やった方がいいバイト」は具体的には思いつきません。強いて言うなら、自分が特に「どうしてもこれはやってみたいと思うバイト」や、「自分が学んでいることに関連性のあるバイト」は悪くないと思います。
「やらない方がいいバイト」は思いつきます。できるならば「自分の時間を売るだけのバイト」は避けた方がいいと思います。
それから、バイト先の場所柄や、バイト先の雰囲気には十分に注意しましょう。直観的に、あなたが「雰囲気が良くないぞ」と感じたり、「何だかギスギスと荒れた感じだな」と感じるところは注意深く避けた方がいいと思います。
若い時代というのは感受性が豊かなものです。その分、誘惑も大きく、経験が浅いのでうまくかわせない可能性もあります。その結果、たとえばバイト先に集まった人から良くない影響を受けてしまう可能性が高いと思います。
それから、「親や友人に言えない類のバイト」は避けましょう。
学生にとってバイトは貴重な収入源ですが、できれば長期的な視野に立って選んでほしいと思います。投資と同じです。自分が何と引き換えにそのお金を手に入れているか。自分を損なうことがないか。老婆心ながら気になります。
以上、参考になれば。
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