結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年11月14日 Vol.294
はじめに
おはようございます。結城浩です。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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新刊の話。
『プログラマの数学 第2版』が2018年1月に刊行になります。
ここしばらく『数学ガール6』と並行して作業を進めていましたが、 先日ようやくアマゾンにも商品ページが公開されました。 ただし、書影はまだダミーになっています(2018年11月14日現在)。
◆『プログラマの数学 第2版』(アマゾン)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797395451/hyuki-22/
『プログラマの数学』の第1版が刊行されたのは2005年のこと。 結城が生まれて初めて「数学」という言葉を書名に入れた本となりました。 たいへんな人気となり、ネット書店やリアル書店で、 何週にもわたってランキング入りしたのを覚えています。
現場で働いているプログラマは、 必ずしも理数系の専門的な学びをしてきたとは限りません。 「文系プログラマ」と自称する方もときどきいらっしゃいます。 『プログラマの数学』は、そんな方向けに、 基本的な離散数学とコンピュータ科学の話題を書いた本です。
「数学」の本ではありますが、 数式はほとんど出てきません。 クイズと図と説明文を使って、 プログラミングにもよく出てくる「数学の考え方」 に親しんでもらおうという本です。
ところで『プログラマの数学』と銘打ちましたが、 実際の読者さんはプログラマばかりではありませんでした。 理数的な読み物を純粋に楽しむ一般の方や、 中高生、大学生などにもたいへん人気となったのです。
さて、今回の第2版でのもっとも大きな変更は、
「機械学習への第一歩」
と題した付録を巻末に付けたことです。
最近は、機械学習、ニューラルネットワーク、 ディープラーニング(深層学習)、強化学習、 人工知能(AI)といった用語がニュースなどでもよく登場します。
『プログラマの数学 第2版』では、 「機械学習」を学び始めるための第一歩として、
・機械学習とは
・予測問題と分類問題
・パーセプトロン
・機械学習における「学習」
・ニューラルネットワーク
・人間は不要になるのか
といった項目についてお話ししています。 数式も少し登場しますが、ごくごく基本的なものだけで、 登場する数式はすべてていねいに解説しています。
機械学習は、現在たいへんホットな分野ですし、 そのカバーする範囲は広大、話題もいっぱいあります。 当然ながら、 本書ですべてがわかるわけではありません。
機械学習を学び始める「とっかかり」として、 本書を読んでいただければいいなあと思っています。
刊行は2018年1月になります。 応援よろしくお願いいたします。
◆『プログラマの数学 第2版』
http://www.hyuki.com/math/
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Web連載の話。
毎週金曜日に、 cakes(ケイクス)で「数学ガールの秘密ノート」というWeb連載を書いています。
先週から、10週にわたる新シーズンが始まりました。 今回のテーマは、
「無限を探そう」
です。数学では「無限」という概念があちこちに登場しますし、 しかも非常に重要な意味を持っています。
その一方で「無限」はなかなかとらえどころのない面を持っています。 数学以外でも「無限」という単語はしょっちゅう出てきますね。 新シーズンでは、 数学ガールたちにいろんな無限を探してもらいたいな、 と思っています。
そこであなたにお願いがあります。
・「無限」のイメージ
・「無限」のここがわからない
・「無限」ってこういうものだ!
というあなたの考えを、 ぜひ結城あてに送っていただけませんか。 数学の話である必要はありません。 「無限」という単語を聞いたときの、 あなたの心に浮かんだことを教えてください。
TwitterのDMで @hyuki あてにお送りいただければ感謝です。 もちろん、 この結城メルマガへの返信という形でもかまいません。
◆結城浩
https://twitter.com/hyuki/
なお、個別に返信するのは難しいので、 その点はご了承ください。「無限はこれでいいんですか?」 という質問にもお答えはできかねます。ごめんなさい。
また、お送りいただいたDMの内容は、 無断で使用させていただく場合がありますので、 その点もご了承ください(ご本人の名前やユーザ名は出ません)。
先日Twitterで同様のお願いをしたところ、 たくさんのDMをいただきました。 ぜひ、あなたもお送りください。
先週は「無限ポテチ」の前編を公開しました。 今週はその後編になります。 一週間は無料で読めますので、ぜひどうぞ。
◆Web連載「数学ガールの秘密ノート」
https://bit.ly/girlnote
また後ほど「数学ガールの執筆メモ」のコーナーで、 「無限ポテチ」(前編)での「発見」のお話をしましょう。
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アイキャッチ画像の話。
「無限を探そう」シーズンのアイキャッチ画像は結城が作りました。
結城はいつも、MacのPixelmatorというアプリを使います。 適当に選んだイフェクトを試しに掛けてみて、 何となくそれっぽいものが作れたら完成!という雑な作り方なので、 同じ画像は二度と作れません。それはそれとして、 自分が書く文章のアイキャッチ画像を自分で作るのは、 とても楽しい作業ですね。
今回は「無限」がテーマなので「無限大」の記号をあしらい、 ふわふわっとした背景に半分とけこんだものを作りたい! と思って作り始めました。うまくいったでしょうか。
妻にこの画像を見せて「これどう思う?」と聞いたら、 「まあいいんじゃない」という塩対応。 「私がゼロから作ったんだけど」と言ったら 態度ががらっと変わって、 「え、えええっ!絶対どこかからダウンロードしたと思った!」 とほめられました。
先日、妻とお出かけしたときに見たミナペルホネンのお店や、 渋谷Bunkamuraのオットー・ネーベル展を妻に誘われて見た経験が、 この画像のどこかに影響しているような気もします。
◆オットー・ネーベル展(渋谷Bunkamura)
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/
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イヴァンカ氏の話。
トランプ大統領の娘、イヴァンカ氏の話。
とある場所で「イヴァンカ氏の服装」についてからかって笑い合い、 それに絡めてイヴァンカ氏の能力を批判している人たちを見かけました。
ふだんは「女性の活躍」について述べたり、 「見た目で人を批判するな」と言ってる人たちだったので、 私は、とてもがっかりしました。
私自身は、イヴァンカ氏の服装や能力を判断できません。 またそもそも、 彼女の服装や能力について議論したいわけでもありません。
私ががっかりしたのは二点。 その人たちが、ふだんの自分の主張と矛盾している行動をとっている点。 そして、その矛盾に気づいていない点。
誰かを批判しようとするとき、 自分の倫理基準が甘くなるものかもしれません。 これが高じるといわゆるダブルスタンダード(Aに対する基準と、 Bに対する基準を恣意的に切り換えること) につながりそうです。
特に「この相手ならいくら批判しても、 自分の仲間から賛同されるから大丈夫」 というときがあぶない。 安全圏にいて誰かを批判するときには注意が必要でしょう。
他山の石とします。
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『数学ガール6』の話。
『数学ガール6』第7章を書いています。
「なかなか進まないなあ」と思っていて、あるとき、 ふと「盛り込み過ぎかも」ということに気づきました。 ものは試しで、読み返して大手術をしてみました。 後半部分をばっさりと別の章に移動します。
『数学ガール6』はぜんぶで10章になるのですが、 どこかの章の題材がどっとあふれたときのために、 第8章は「空き」にしていたのでした。 これでおそらく第1章から第10章までがうまくフィットすることになる(はず)です。
大手術の後全体を読み返して、 30〜40ページに収まるはずという目算が立ちました。 おそらく大手術して正解。 そして、第7章もいい感じに収まりそうです。すばらしい!
大手術の成果か、登場人物の声が聞き取りやすくなりました。 とても楽しいですね。私が勝手に話を進めると、 引っかかりが生じてあまり気持ちがよくありません。 でも、登場人物にとって自然な流れにすると、 節のつながりもスムーズになり、 たいへん気持ちがいいのです。
第7章もがんばって仕上げなくてはなりません。 第8章と第9章の分担がまだ決まっていませんが、 「未来の私」がきっとがんばって考えることでしょう。 よろしくね!未来の私! ……なんてことを言ってると「未来の私」 から反発をくらうのですけれどね。 「そういうのはやめてくれないかなあ」って! いや、反発するのも考えるのも「現在の私」なのか?
ともかく、現在は第7章に集中、集中。
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ほめて、ほめて、ほめ続ける話。
先日公園を通りかかったときのことです。
公園には木がたくさんあり、 落ち葉が一面に広がっていました。
そんな中に、足元がおぼつかない小さな子と、 そのママさんらしき人がいました。
小さな子は、両手でいっぱいに落ち葉をつかんでは、 よたよたと歩いて、ぱあああっと散らしています。 何度も何度も繰り返して、散らしています。 あたりまえですが、どこかに落ち葉を集めるわけでもなく、 落ち葉を選んできれいに並べるわけでもありません。 ただ単に、ぱあああっと散らしているだけです。
でもそのあいだ、ママさんは子供の隣でずっと、
じょうず、じょうず! じょうずだね!
と言い続けています。
子供はうれしそうに、落ち葉散らしを繰り返し、 ママさんもうれしそうに、ほめ続けます。 ほめて、ほめて、ほめ続けているのです。
通りかかった私は、そのようすを見て、 とても幸せな気持ちになりました。
私も、文章を書きながら、自分自身に対して、
じょうず、じょうず! じょうずだね!
とほめ続けましょう。
それはきっと、 うまずたゆまず繰り返すための、 大きな力となるはずだから。
じょうず、じょうず! じょうずだね!
きっと、あなたにとっても。
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それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。
どうぞ、ごゆっくりお読みください!
目次
- はじめに
- 平和なSNS
- 再発見の発想法 - 過学習
- 無限ポテチの「発見」 - 数学ガールの執筆メモ
- おわりに
コメント
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