結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年10月10日 Vol.289
はじめに
おはようございます。結城浩です。
いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
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風邪の話。
ちょうど前回の「結城メルマガ」を書いているときのこと、 何だか急激に体調が悪くなりました。 体調が悪いとき、結城は喉が痛くなります。
まずいまずいまずいと思っているうちに、 喉がどんどん痛くなってきました。 何とかメルマガを書き上げて、帰宅してダウン。 そのイメージ図はこちらになります。
結城が「自分、風邪引きかけてる?」というときには、 まず温かいものを食べたり飲んだりします。 特に生姜蜂蜜や大根蜂蜜をお湯にとかしたものが効きます。 葛根湯を飲んで、ドライヤーで喉のまわりやお腹を温めます。 お風呂に入って湯冷めしないうちにすぐ眠ります。 眠るときにマフラーやマスクもします。
しかし、今回はそれらの対処もうまく効かず、 火曜日はまる一日寝込んでおりました。 イメージ図はこちら。
幸いにして、水曜日くらいから回復し、 木曜日のWeb連載執筆にはなんとか復帰することができました。
でも、一日寝込んだだけで、 何となく一週間がふっとんだような気分になるものですね。 健康大事です。
それはそれとして、火曜日一日眠ったのは、 私にとって大切な意味があったようです。 頭の中がいい具合にリセットされて、 新鮮な気持ちで仕事に向かうことができたような気がします。
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専門家の話。
ちょっとした技術的内容に関して、 専門家に打診していたことがあります。 二、三日で返事がやってきて、だいたい結城の想像通りの答えで一安心。 専門家の意見というのは本当に助かります。
専門家の意見がありがたいのは、 「AとBのどちらがよいか」という二者択一の局面ばかりではありません。
「AとBのどちらがよいか」以前に、
・AとBを候補に挙げるのは妥当なことなのか
・いま選択しておいて取り消すことは可能か
・この選択はのちのち重大な結果を招くか
という情報が素人にはなかなかわかりません。 専門家から、
厳密にいえば長期的にはまずいけど、
ここさえ押さえておけば、
後からでも直せます。
のような意見をもらえるのはありがたいもの。 「案配」も含めて答えてくれる専門家の存在は助かります。
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「落差攻撃」の話。
人のコミュニケーションに関連して、 先日、こんな発見がありました。
そのとき結城はスーパーのレジに並んでいました。 私の前には30代くらいのカップルが同じようにレジ待ちをしています。 ところが、この二人、どうも険悪な雰囲気です。
「険悪な雰囲気」というレベルを次第に越えて、 明らかに「言い合いのケンカ」に近づきました。 方向性としては、女性が男性に不満をぶつけていて、 男性はなだめようとして失敗している状況です。
そんな状況のそばにいたくはありませんけれど、 別のレジに並び直すわけにもいきません。
やがて、レジの順番がケンカしている二人のところまで来ました。 すると、カップルの女性が「奇妙な行動」を始めました。 レジを打っているお兄さんに、やさしい声を掛けたのです。
え、この女性、レジのお兄さんの知り合いなの? というくらい親切で心のこもったあいさつをしています。 「今日は気持ちのいい一日でしたね」のような言葉も出てきました。 レジのお兄さんは、やや困惑しながらも「そうですね」のような返事。 もちろん、このレジのお兄さんと女性は赤の他人です。
やがて会計が終わり、 カップルの二人はケンカしながらレジを過ぎていきました。
私は、
「あの女性は、どうしてレジのお兄さんに、
飛びきりやさしい声を掛けたんだろう?」
と考えました。そしてすぐに答えがわかりました。 あの女性は、カップルの男性に対して、
落差攻撃
を仕掛けたのだ、と。
無関係な他人に「優しく振る舞う」とします。 そうするとその優しさを基準に考えるなら、 攻撃したい相手に対する振る舞いは、 「落差」を使った攻撃となるのです。
無関係な他人にプラス100の態度(100の優しさ)で接して、 攻撃したい相手にマイナス100の態度(100の不機嫌さ)で接すれば、 その落差を使ってマイナス200の態度(200の不機嫌さ)を示せる。 そういう理屈ですね。
相手に直接200の不機嫌さを示すことは難しい、 しかし、第三者を利用して落差攻撃をすれば、 間接的に200の不機嫌さを相手に示すことができるのです。
落差攻撃。こわいなあ。
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個人間の少額送金の話。
ネットで活動している人が頭を悩ませるのは「マネタイズ」の問題です。 自分でちょっとしたコンテンツを作り、 それを販売してお金にしたいと考えたとします。 どのような形でプロモーションして売るかというのは、 自分がリーチしたい層やお金の規模によって変わるでしょう。
たとえばnote(ノート)では、 コンテンツを手軽に「販売」することができます。 文章やイラストを用意して、それをブログ感覚でアップロードし、 途中に「ここから先は有料」というラインを置くだけ。 とても手軽に「販売」することができます。
しかし、販売する側には手軽でも、購入する側にも手軽とは限りません。 note(ノート)で支払いをするためには、アカウントを作ったり、 アカウントを作らないまでもクレジットカード番号の入力が必要になるからです。
そんなことを考えていて、ふと思ったことがあります。
もしかして、 日本で一番手軽な「個人間の少額送金」とは、
「アマゾンギフト券」を使うこと
ではないでしょうか。
「アマゾンギフト券」は15円以上50万円まで、 1円単位で買え、しかもメールで送れます。 ですから、信頼できる相手に少額送金するにはかなり手軽ですね。
結城は以前、数学の同人誌を作っている人に郵送してもらい、 「アマゾンギフト券」で支払ったことがありました。 料金は1000円くらいだったと思います。
そんな話をしていたら、 ある方から「同感です」というコメントをいただきました。 その方は、飲み会の割り勘で細かいお金が出せなかったときに、 「アマゾンギフト券」を使ってその分を支払ったとのことです。
あるいはまた、別の方は、 「親御さんの還暦祝い」を購入する際に、 遠方に住む兄弟と共同購入するため「アマゾンギフト券」 を用いたとのこと。代表して買った人に「アマゾンギフト券」 をメールしたのでしょう。
◆アマゾンギフト券
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004N3APGO/hyuki-22/
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DoS攻撃(?)の話。
このあいだ見た風景です。
駅の改札をおばあさんがSuicaで通ろうとしてエラー。 赤いランプが点いてゲートが閉まります。
おばあさんは「あら?」と首をかしげ、 故障なのかしらと隣のゲートにタッチします。当然またエラー。 赤いランプが点いて隣のゲートも閉まります。
おばあさんは、首をかしげながらそれを繰り返し、 あれよあれよというあいだに、 並んだゲートは軒並み通行不能になりました。
結城はそれを見て、
「リアルDoS攻撃だ!」
と思いました。
おばあさんは攻撃していたつもりはないんですけどね。
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それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。
どうぞ、ごゆっくりお読みください!
目次
- はじめに
- 再発見の発想法 - DoS攻撃
- 信頼は何から生まれるか
- レビューアさんはどうやって選ぶ? - Q&A
- おわりに
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