審美眼を養うためには、目を「磨く」必要がある。磨くというのは、「ちょっと削る」という意味である。だから、審美眼を養うためには、目をちょっと削る必要があるのだ。
では、どうすれば目を削ることができるのか?
その昔、骨董商が後継を育てるときには、弟子にお金を持たせて、それで実際に買いに行かせたそうである。その際、アドバイスは一切なし。とにかく、弟子の感性に任せて、まずは買いにいかせる。
そうして、買ってきた物を見て、初めて評価を下すのである。すると、ちゃんとした物を買ってきた場合には問題ないが、例えば偽物をつかまされた場合などは、弟子の心がひどく傷つく。彼らの内奥に、「間違ってしまった」という深い悔恨の念が刻まれる。
これが、「目を削る」ということなのである。
人間というのは、どうしたって怠惰なものなので、そういうふうに傷つかないと、なかなか前に進めない。西洋の諺に「No pain, No g
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