二〇一三年六月、ぼくは赤坂に投資用マンションを購入した。
その部屋は、建物の密集した地区にあるのだが、窓の前は比較的開けていて、遠くのビルが見通せるほどだった。
そこでぼくは、この部屋の思い切ったリノベーションに取りかかった。コンセプトは、「一点豪華主義」に基づき、個性的な「ビューバス」を作るということだ。
賃貸用マンションというのは、どれも似たような作りだ。間取りや設備というものは、部屋の大きさに合わせて自動的に決まってくる。だから、「差別化」が非常に難しい。他と違った「個性」を出すことを、どの物件も苦労している。
そのため、顧客が部屋を借りる決め手となるのは、ほとんどの場合で「価格」である。ただしそうなると、競争になったときに簡単にダンピングが発生してしまう。
賃貸物件というのは、空き部屋になることが最大のリスクの一つだ。だから、何とかしてそれを回避しようとするのだが、そう
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