ぼくは、二十七歳のときに年収が一千万円あった。ところが、三十歳のとき百万円まで下がってしまった。十分の一になった計算だ。

 なぜそれほど下がったかといえば、「エンターテインメント」という浮き沈みの激しい業界で、フリーランスという不安定な立場で働いていたからだ。安定や保証とは無縁の世界だ。だから、売れなくなれば収入は問答無用で減った。
 それから、年収百万円前後のどん底の生活が三年ほど続いた。というより、三年ほど続けることができた。
 なぜ続けることができたかといえば、それは実家に暮らしていたからだ。そのため、家賃という固定費を抑えることができた。
 そのおかげで助かった。これが借家暮らしだったら、こうはいかなかっただろう。もっと早々にその生活から脱落しており、エンターテインメント業界から足を洗わなければならなかったかもしれない。

 その後、なんとか復活のきっかけを得て、今に至る。その復活したときに