ここ数年、社会における「コミュニケーション能力」の重要性はいや増すばかりだ。なぜ増したのかといえば、それはコンピューターが進歩・発展したからだ。今回は、そのことについて書いてみたい。


30年くらい前まで、コミュニケーション能力は、社会の中でそれほど重視されていなかった。それよりも、それ以外の能力の方が重視されていた。

例えば、職人的な技術を持っていたり、計算が得意だったり――といった能力だ。こういう能力を持つ人は、えてして無口でコミュニケーションが下手だったりした。
「あの人は、口は下手だが腕が立つ」
「あの人は、無口だけと計算は絶対に間違えない」
そんなふうに、コミュニケーション能力の低いことがマイナス評価になることはなく、むしろ信頼につながるくらいだった。

しかし、そうした能力は、やがてコンピューターに取って代わられるようになった。職人技術はコンピューターが管理する工作機械に取って代わられ、計算は