「時代を読む方法」にはいくつかのコツがある。
その代表的なものの一つが、「人々が無意識で行っている行動に着目する」ということだ。
人々は今、どういう行動を無意識的にしているか?
――それを読み解ければ、時代の流れというものが読めるようになる。


例えば「もしドラ」でも、人々の無意識というものに着目した。
企画した当時、中学生の間では「合唱」が流行っていた。それは、もちろん「合唱が楽しい」からなのだが、「なぜ楽しいか?」そこのところにぼくは注目した。

中学生が合唱を楽しいと思う理由――それは、「みんなで一つのことをする」ということだ。
合唱はカラオケとは違う。単に歌を歌いたければカラオケで十分だ。
しかし彼らは合唱が楽しいのだという。だとしたら、カラオケと合唱の違いに着目するべきだ。
そうしてその一番の違いは、1人でするか、みんなでするかということにある。合唱が楽しいということは、すなわち「みんなでする」のが楽