不定期連載の「マンションを買った」シリーズ。バックナンバーはこちらから。

[不定期連載]マンションを買った~その3(2,225字)
[不定期連載]マンションを買った~その2(1,846字)
[不定期連載]マンションを買った~その1(2,592字)

さて、マンションのプランが決まった後は、建材や資材などの詳細を決めていく。
まずタイルや床材などは、原宿にあるADVANという会社のショールームを見にいった。

ADVAN

ぼくは、賃貸用にリフォームするマンションの床をタイルとフローリングにしようと決めた。

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普通、賃貸住宅の床はすぐに取り替えられるよう、費用を抑えたカーペットやプラスチック製のフローリングにするのが一般的なのだが、ぼくは、そういう「安かろう悪かろう」な部屋では、これからの椅子取りゲーム社会を生き残っていけないのではないかと考えた。

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まずいラーメン屋はどこへ消えた?「椅子取りゲーム社会」で生き残る方法

そういう、どこにでもあるような代替の利く部屋では、競争に負けてしまう。競争に負けないためには競争に巻き込まれないことが肝心で、そのためには賃貸では珍しいフローリングやタイルの床にする必要があると感じたのだ。
これからは、オンリーワンを目指さなければ、賃貸でも勝てないと思うのである。


次に、キッチンの流し、コンロ、あるいは洗面所の洗面器などは、サンワカンパニーという輸入建材会社の青山にあるショールームを見にいった。

サンワカンパニー

この会社は、近頃のリフォームブームの影響を受けてか、急成長しているのだという。このショールームも最近できたばかりだそうで、なるほど内装も新しく、飾られている建材もどれもぴかぴかで、見ていてとても興味深かったし、面白かった。
最近では建材にもデザインが重視されるようになったため、デザイン性にすぐれている外国の製品に注目が集まっているのだという。そのため、輸入建材のサンワカンパニーはとても業績が伸びているらしいのだが、そうした話を聞いた直後に、その会社の株価が急上昇していた。

(株)サンワカンパニー【3187】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス

こんなことなら株を買っておけば良かったと悔やんだが、もはや後の祭りだった。


さらに、新宿にあるTOTOのショールームでは、お風呂とトイレなどを見た。

TOTO

TOTOのショールームも、やっぱりつい最近できたらしい。というのも、TOTOの長年のライバルだったINAXが、2011年に他社と合併して「LIXIL」という巨大な住宅設備機器総合メーカーに生まれ変わったので、それとの対抗軸を明確に打ち出す必要性が出てきたかららしい。

LIXIL


と、自分がたまたまリノベーションをしているということもあるのかもしれないが、建材メーカーはどこも元気に見える。というのも、日本は高度経済成長期(60年代)に建てられた多くの建物が、半世紀を経過して老朽化し、近年、続々と建て替えの時期を迎えているからだ。
その中で、不況の影響もあってなかなか建物そのものを建て直すというのは少ないのだが、その代わり、費用を抑えたリフォームや修繕でまかなうところが多くなっているのである。そのため、インテリアを中心とした最新の建材に、大きな注目が集まっているのだという。

また、いわゆる「物余りの時代」に人々が物を所有することに豊かさを見出せなくなったこともあって、豊かさや幸せは「空間」に求めるということが多くなった。家や職場の環境を良くしたいと願う人が増え、それに伴って、やっぱり建材への注目は上がっているのだ。

ぼくは、そういう時代に対応して、「空間」をテーマにした新しい本を出したのだが、今回、マンションのリノベーションに際していくつかのショールームを回ると、そのいずれもが新しく作られたばかりで、しかも活況を呈していたのがとても印象的だった。
そうして、ぼくの「これからは空間の時代だ」との思いは、ますます強くなったのだった。

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  「部屋を活かせば人生が変わる」


さて、そういうふうに建材が確定すると、今度はいよいよ工事に取りかかることになった。
と、その前に、まずは現況の設備などを取り外す、いわゆる解体工事が必要で、10月の後半にその着工に取りかかった。

といっても、リノベーションする部屋はとても小さなものなので、解体工事自体はすぐに終わった。
そうしてこれが、スケルトンになった部屋だ。

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小さな部屋も、スケルトン状態になるととても広く見えるのだが、これからいろいろ建てていくと、やっぱりそれなりの小ささに収斂していく。
と、そうした感傷に浸るまもなく、下地となる配管の工事が執り行われ、いよいよ本工事に取りかかろうとした、その時であった――

なんと!
リノベーションを担当してくれているライフデザインさんからの報告で、重大なトラブルが発生したのである。
それは、