1994:その13(1,737字)
1994年を語る上では1980年代がだいじになってくる。
ところで、ぼくは1980年に12歳になり、1989年に21歳になっているから、ティーンエイジャーの青春時代を丸々80年代で費やした。そして、当時は分からなかったが、そのときも歴史は動いていたのだ。抗いがたい力が社会に作用して、人々を右往左往させていた。
当時ティーンエイジャーだったぼくには、そういう意識は全くなかった。自分が時代の流れに翻弄されている意識すらなく、ただ毎日をがむしゃらに乗り越えようとしていた。日々をどうにか耐えしのぐことで精一杯だった。
だから、極めて近視眼的だった。俯瞰できていなかった。メタ的な視点がなかった。自分が今どこにいて、どこに向かおうとしているのか、分からないだけではなく、そういう考え方が存在するということすら知らなかった。
井の中の蛙とはこのことだ。周囲を壁のようなもので目隠しされているので、そこが「時
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