他の数多くの日本文化と同様に、「庭」も中国から輸入された。その中でも象徴的なのが「浄土庭園」だ。「浄土式庭園」ともいう。

一般に、我々が豪邸の――あるいは古式ゆかしい神社仏閣の日本庭園と聞いたとき、頭の中に思い浮かべるのはこの浄土庭園である。
「浄土庭園とは何か?」というと、文字通り「浄土=極楽浄土=天国」をイメージした庭である。中国人が考える天国の姿を、そのままビジュアル化したものだ。

その中心はなんといっても「池」である。そして、その池に浮かぶ「島」だ。そこでは、植栽は取り立てて重要ではないが、しかし仏陀の象徴でもある「蓮」は、必ずといっていいほど池に浮かべられる。
また、島にはほとんどの場合で橋が架かっていて、渡って行くことができる。それも含めて、散策を楽しむことを一つの目的としている。

池の前には「阿弥陀堂」が据えられている。そして、その阿弥陀堂から見た池(庭)が浄土だ。そのため、