庭について:その43(2,061字)
トーマス・チャーチは、ランドスケープデザイナー(作庭家兼建築家)として1930年代に独立した。独立直後は、ヨーロッパの伝統的な(あるいは最新の)コンセプトやデザインに則って、庭をデザインしていた。するとやがて、その伝統的な庭のデザインと新しく勃興してきた近代建築(住宅)のデザインとの間に、拭いがたい「齟齬」があるということを強く感じるようになった。
前にも述べたようにこの頃都市部の高層ビル群を出発点に「近代建築」が確立し、急速に広まっていった。1930年代に入ると、それらは郊外に新しく建てられる住宅のコンセプトやデザインにも強い影響を及ぼすようになった。
そして当時、それら近代住宅は主に気候の厳しいところに建てられていたため、建物の内部と外部が寸断されている場合がほとんどだった。多くの近代住宅で、庭は置き去りにされていた。
そのため、「近代住宅」は確立しても、それに見合った「近代庭園」はな
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